深く納得。ブクマコメントで「うーむ。ということは、あの船井・江本・七田・比嘉などの「巨魁」の背後にも、やっぱり切れ者がいるわけか……?? いるんだろうなあ…… / あ、カルトも同じ構造がありそうな……。」と書いたりしたのだが、ふとほかにも関係ありそうなことに思い至ったのでメモ。
だいたい
- 「この話、だいじょうぶかなあ?」と思うような企業のサイトを見るときには、会社案内とか企業情報といったページをチェックしてみる。
- そこに「主要取引先」とか「主要出資企業」「代表者」「役員」のような情報が出ているかどうかを確認する。
- そういう情報がなんも出てなかったら、眉につけるツバをちょっと増やす。
- もしもちゃんと出ていたら、これ幸いとググってみる。
- 書籍などでは奥付や執筆者プロフィールなどに応用する。
- 投資など切実なときは、小銭かけて登記簿や企業情報サービスを利用するなど、「自分でできる信用調査」もあり。
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ぼくは仕事でIT系の企業のWebサイトを、ちょこちょこ見る。「見る」っていうか、場合によっては理解しようとして根掘り葉掘りひっくり返す。ベンチャー系と呼ばれるような新興企業も多い。
で、ニセ科学やらオカルトやらの疑いを持たざるを得ないような製品を扱う企業のサイト(ここでは乱暴に「トンデモ系企業」と呼んでしまおう)も、まあ、よく見るわけです。やっぱり理解しようとして根掘り葉掘りひっくり返す。
トンデモ系企業も新興の企業が少なくない。で、見ていると、前述のようなベンチャー系サイトと、こういうところが違うなあなんて、以前から違和感を感じていたことがある。
数えたわけではないけれども、ベンチャー系では「会社案内」とか「企業情報」みたいなページに「主要取引先」とか「主要出資企業」「代表者」「役員」とかが、それなりの高確率で記載されている。ところが、トンデモ系企業ではほとんどの場合、まったく明かされていないことが多い。ような気がするのだ(ここ大事。その程度の信憑性の話だからね)。出ていても代表者ぐらい。
いま、いくつかのサイトをちょこちょこと確認してみたけど、まあ、うん、だいたいそういえるかな。
ちなみに、あの水伝の江本氏(株式会社アイエイチエム)の場合、かつては代表者として江本氏の名前が企業情報みたいなページに掲載されていた。が、ある時期から掲載されなくなった。代表者として出ているページもあるし、江本氏のプロフィールにも記載されているのに、企業情報としては書かれなくなったのだ。「おや? なんで引っ込めたんだろう」と思った記憶がある。
役員とか出資企業、主要取引先も出ていない。出てるのは取引金融機関とグループ会社ぐらいか。
「代表者」とか「主要取引先」とかが書かれていれば「あー、ここはちゃんとしてるな」みたいな印象を受けるかというと、そうと限ったもんでもない。内容がビミョーだなあなんていう事業や製品を扱ってるところが、麗々しく大企業の名前を「資本金出資率××%」なんて書いている場合は、逆に「あー、大資本が噛んでるから安心だよと言いたいわけね」なんて思ったりして、微妙ではある。リトマス試験紙みたいに、書いてあればいい、なんてはっきりと識別できるわけではない。
新興企業の場合、単にサイトの作り方や企業情報の出し方をよく知らないだけだったりする可能性もあるし、これだけを判断基準にすることはできないだろう。
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でも、今回「幻影随想」の記事を読んで、「書けない事情」なんてもんも、あるのかもしれない、と思ったりもしたわけです。
「幻影随想」の黒影さんの記事が教えてくれるところでは、「幹部」がいて、そこが利益を吸い上げるポジション。そうなのであれば、その名前は「主要取引先」「主要出資企業」「役員」あたりのどれかに入っちゃいそう。これは書きたくないよね。
「幹部」というか、裏で糸を引く鵜飼いの常として、あちこちで似たような商売に噛んでいるということなので、名前なんか出しちゃったら、あちこちの名前を突き合わせるとバレバレ、みたいなことになりかねないし。
「書けない」というわけでなくても、トンデモ系企業の場合は、自分では既存の権威や常識を否定しているつもりなのだとすると、「書式を整える」なんていうことには関心が薄くて出てない場合もありそうですけど(もちろん偏見ですともさ)。
また「サイトの作り方や企業情報の出し方をよく知らない」のだとすると、そこは単に「若い企業」だというだけでなく、「幼い企業」「つたない企業」である可能性が増す。いろんな点で未熟で行き届かない可能性があるのだ。
なんか連絡をよこすときでも、必要事項がなにかしら欠けているとか、タイミングがおかしいとか、そういう会社ってあるじゃないですか。ああいう感じ。
もちろん「一事が万事です」とは言いきれないけど、人も企業も体質とかものの考え方って、端々に見えるものではないですか。人のことは言えませんが。
そういう「やりとりにロスやストレスがつきまとうような企業」って、いざトラブったときの対応なんか、ろくでもないことになる可能性が高そうだなあとか、思いません? そういう企業と、おつきあいしたいですか?
というわけで、「だいじょうぶかなあ?」と思うような企業のサイトを見るときには、会社案内に前述のような情報が出ているかどうか、ちょっと見てみて、なんも出てなかったら、眉につけるツバをちょっと増やすといいかもしれない……という冒頭の話になったわけだ。
つまり「載っていれば安心できるわけではないが、載ってない場合はダメな可能性が高くなる」ってことですね。
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一方、運良く代表者や役員、関連企業の名前が出ていても、それで安心しちゃいけないのは前述の通り。
その場合は、これ幸いとその名前でググりましょう。するとなんかわかるかもしれない。これは書籍の奥付や著者プロフィールに出ている情報なんかでも同じ。なにも情報が得られないこともあるけれど、さらに運が良ければ(悪ければ?)、なにかわかることもある。似たような商売をいろいろやってるけど、どれもこれもまあ×××で、とか、悪評があるなあとか、ソッコーで出て来て「たはは」な気分になれることもある。本当に運が良ければ、安心できることもあるかもしれない。
前述の考察(ってほどのもんではないが)が正しければ、「幹部」が名前を出すわけがないのだが、冒頭の記事によると、看板にされる真性のビリーバーさんや、看板や「幹部」を支えちゃう人だって、あちこちで共通していたりするらしい。彼らは「幹部」ほど警戒する理由はないだろうから、名前が載っていても不思議ではない(黒影さんが引用している記事では、彼らは「キチガイ」と「馬鹿」と呼ばれている。彼らをカモにしている幹部の談話だったりするので、身もふたもないのだ。でも、ちょっとそう呼ぶのは気が引けるので、まだるっこしい言い方になるわけです。そう考えると「ビリーバー」とか「カモ」って、まだ優しい表現なのかもしれん。そうでもないか)。
そしてまた、そういう人たちが支えているのだとすると、「幹部」が気づかないうちに「幹部」の名前を載せちゃってたりする可能性も捨て難い。「幹部」がいろいろと周到な知能犯だったとしても、その上と下はカモで固める必要があるのであれば、セキュリティ上の大穴がいっぱい開いていてもおかしくないじゃありませんか。
もちろん、きっとそういう人たちのなかにも、世間一般の不用意な人たちと同様に「載せてもいいかどうか、確認した方がいいんじゃない?」なんて考えない人がいるに違いないし(ひょっとすると、不用意な人の介在率が高い、なんてこともあるかもしれない。ええ、これも偏見ですともさ)。
実際問題として、その「だいじょうぶかな?」などと気になった商品名なりサービス名なり企業名そのものでググるだけで、「あらまぁ」な情報にたどり着けることも少なくない。だから、これはダメ押しや、裏取りといった段階になるかもしれない。新しい商品などで、調べても空振りだったときの第二弾調査かもしれない。
また、実際になんかヒットしたとしても、決定的なものではないことも多いだろう。
でも、こういうことをやってみて、グレー度が上がっていくようなら、近づかない方が無難だ、ということは十分に言えるわけだ。まるっきりムダということもなかろう。
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そうそう。
そういう情報が全然手に入らないけれども未練断ち難く、マジで調べたいなんていうときは、帝国データバンクとか、そういう企業情報サービスを使う手もある。有料だけど(たとえば「アイエイチエム」で帝国データバンクを検索したら5件ヒットした。1件500円ぐらいか。ちょっと見てみたいような……)。
そーだそーだ、こういう情報は、Webサイトにはなくても、どこかに公開されていたりもする。登記簿とかだよね、きっと。多くのベンチャーやトンデモ系企業は上場なんかしていそうもないし、帝国データバンクあたりも把握してないなんてこともありそうだけど、そういうのも登記簿でなら調べられるんじゃないかな。その辺はよくわからんけど、株式会社とかの「法人」ならされてんじゃないのかな。
あ、解説サイトがあった。
自分で調査する「企業信用情報」- 相沢京子調査室
http://www.web-chosa.com/verification/
そうか、これって当たり前の信用調査のひとつなんですな。ま、大金を突っ込もうとかいう知人や親戚がいたら、教えてあげてください。
もちろん、素人が登記簿を見たからなにがわかるってもんでもないかもしれません。登記簿で役員とか代表とか、そういういろんな情報が得られるから、それをとっかかりにして、またググるなりなんなりしてみて、みたいな話ですわね。
ちょっとハードルが高いかもしんないけど、切実なときは、小銭と手間を惜しまずに調べましょうってことで。うわ、すげえ当たり前な結論。