5月に名前はまだない(のか?)ってエントリを書きました。その続き。
つい先ほどひょんなことから知ったのですが、オカルトと、おそらくはニセ科学の一部も含む、ちょっと広い概念なら、すでに名前があったようです。
超常信念
と言っても、ニセ科学批判と言わずに超常信念批判と言おうとか、そういうこっちゃないです。なんで信じちゃうのか、という説明原理のひとつと言ってもいいのかな。
あ、知ってる人はすでに知ってる概念だと思いますんで、これはぼくの覚え書きだな。
不思議現象を信じちゃうようなケースに関する議論で用いられた用語のようです。詳細は下記などどうぞ。
■ニセ科学批判と超常信念と批判的思考(alice日記 2008-06-21)
上記エントリは、公開された当時、ちょっとあちこちで話題になったようなので、やっぱり「知ってる人は知ってる」だと思います。その辺が周回遅れなわたし。
■神道と日本文化の国学的研究発信の拠点形成 - シンポジウム「現代日本人の宗教性を考える」(國學院大學21世紀COEプログラム 2005/6/13公開)
や、『理科教室』5月号(特集:非合理と科学教育)って、オレ、持っていたか? あ、違うか。って安堵するような話でもないが(大汗)。
菊池聡氏しか使ってないのかな? ちょっとググったぐらいでは、ほかの人の用例は見当たりませんでしたが、alice日記さんでは「認知心理学の用語」とされているので、たぶんそっち方面では定着した用語なのでしょう。
シンポジウムのページでの説明を読むと、体験をキーとしてとらえているのかな? という感じもありますが、ここでは信仰とのからみで話題にされているので、そのように見えるだけかも知れません。
その超常信念の成立や強化の上で最も強い影響をもたらすのは、知識を越えた「体験」であることが多く指摘されている。alice日記さんの方で引用されている説明と読み併せてみても、以前ここでも話題にした呪術(これとかこれ)や錯視をどう考えるか、みたいなことともつながるような感じですね。また、過度な一般化とか、「3た論法」的な推論とか、誤帰属とか、そういう話にも似ているような。そういう意味では、だいぶ広い範囲をカバーできる概念かもしれません。
この一連の認知プロセスでは、超常体験における知覚情報をもとに諸解釈を検討し、超常的な原因を最も妥当と解釈して問題解決に至る推論過程が働いている。信念には、推論過程の関与程度により基本的信念-高次元信念などの区別があるが、純粋に目撃体験であっても推論プロセスが含まれることに注意が必要である。人間の推論過程は、必要な情報を正確に反映したものではないし公平に扱ったものでもない。そこに認知システム特有の情報処理のバイアスの特徴が多く現れている。
予知体験(虫の知らせ・テレパシー・霊感)のような確率的事象に関する超常信念では、推論過程の影響力が他の超常信念よりも大きくなる。そして、このような状況で典型的に起こる随伴性認知の歪みによる錯誤相関(幻相関 illusory correlation)、統計的回帰の誤認などの認知的要因が、二つの事象の背景に「何らかの原因」が存在するという解釈を選択させるようになる。この、二つの事象の「共変関係の推論された強さ」が、信念の確信性を高める。
超常信念に現れる認知バイアスは、人の推論過程の欠陥を示すものではない。限られた知覚情報から効率よく的確な意思決定を下すことができる優れたシステムである。確証バイアスは「認知的節約の原理」からみて当然のものであり(認知的保守性)、バイアスの存在は高度な環境適応の結果として考えるべきである。
とはいえ、当然ながら、かつてのエントリでぼくが書いたような、〈オカルトも含む、詐欺や悪徳商法も含む、いわゆる俗流若者論みたいなのも含む。どういう言説を問題だと考えるのかはもちろん、それをうっかり受け入れてしまう問題も、広めてしまう問題も、全部ぜ〜んぶふくめた命名〉なんていうムシのいい話ではありません。
たぶんないと思う。ないんじゃないかな。
あれ? でも、そうか、「理屈で考えればおかしな話だ」と思いつつも信じちゃうなら、含まれちゃうのかな? すいません、よくわかってないです。勉強します(汗
返事が遅くなってしまいましたが、TBいただき、ありがとうございました。
ブログ初心者のためTBあたりのマナーがわかってないのですが、この場合こちらからもTBをお返しするのが普通なんでしょうか?もしお手数でなければ教えて下さい。m(_ _)m
>上記エントリは、公開された当時、ちょっとあちこちで話題になった
いやいや、単にこれをニセ科学批判批判だと思ったらしい“ふま”氏が、あちこちにURLを
貼りまくっただけです。ブログ初めて1ヶ月程度だったのでちょっとビックリしてしまいました。
>菊池聡氏しか使ってないのかな?
私も最近は追いかけていないのですが…確かにニセ科学という境界を超え、オカルトも含めた概念というのは、菊池聡氏が関係する著作ぐらいしか見当たらない気がします。
悪徳商法や詐欺の概念も入れるとなると、「人間この信じやすきもの―迷信・誤信はどうして生まれるか (認知科学選書) (単行本)」あたりが参考になりそうなんですが、図書館で予約してはや2ヶ月、なかなか回ってきません。後6人予約待ちしているらしい。