2008年09月20日

国土交通省にも神戸市にも「水伝」汚染?

前エントリのような「水からの伝言 site:ac.jp」なんてやってみたのは、kikulogのこのコメントがきっかけ(ええ、もちろん仕事からの逃避ですともさ)。
73. 多分役立たず(HNです) ― September 20, 2008 @14:32:13

(略)
国土交通省河川局もかなり問題があるかもしれません。様々な水に関するサイトを紹介しているのですが、

ふれあい館・市民の活動
http://www.mlit.go.jp/river/link/kawanavi/hureai_001.html
>・Project of love and thanks to water
(略)

ふれあい館・研究/調査
http://www.mlit.go.jp/river/link/kawanavi/hureai_007.html
>・HADO 波動 波動と水を科学する
(略)
>・HADO NET
>上記、英語版

いったいどういった基準で選んだのかと...
いずれもリンク集であり、どういったフィルタリングがされているのかは定かではない。外部の業者とかに丸投げしていてもおかしくないとも思う(それで免責されるわけではないだろうけど)。

その前には、こういうエントリも見ていた。

神戸市の水行政が危うい件(A-WING::Frog is not Blog 2008/09/19)

すでに幻影随想さんも採り上げている(自治体って水伝みたいなネタに対する耐性が弱かったりする 2008年09月20日)ので、お気づきの方も多いだろう。

それで、はたと思いついて「水からの伝言 site:go.jp」さらに「edu.jped.jp」「ac.jp」でググってみたのだ。でまあ、見つけてしまったものの、見つけたらどうするかなど考えていなかったので、見つけてから困っているわけだ。

数は少ないんですよ。go.jpでは、確か、ほかには肯定的言及はなかったと思う。クオリアの茂木さんが否定的に言及していたり、おそらくIHMがコラボ先をJETROのサーバーで探していたり、「niaes.affrc.go.jpってなんだ? 農業環境技術研究所!?」と驚いたら『メディア・バイアス』の紹介だったり、AISTのサーバーにあったのでギョッとしたらたざきさんの「信じないでください」を紹介している日記(月記?)だったり、国会図書館の書誌情報が出て来たり、それぞれうわあと思ったけど。

まあ、さすがに公的機関や教育機関の公式サイトでは、そんなに残っていないし、そんなに追加されていない、と見ていいのだろうと思います。その意味では、国土交通省のケースも女性校長会のケースも例外的だと言っていいのだろうと思う。
ただ、地方自治体のサイトは探しにくいんですよね。例の「地名ローマ字.jp」で片端から検索もできんし。

一応、見つけたものを列挙すると、こんな案配。

肯定的言及
■徳島県生涯学習情報システム - 「水からの伝言」の詳細情報
http://syougai.tokushima-ec.ed.jp/info_detail.php?no=6647&tn=YXZfdGFibGU=
ビデオの貸し出し用目録情報。「教材種別:理科」とされている。
どうも、下記によると平成19年12月以降に入荷されたものらしい。
http://syougai.tokushima-ec.ed.jp/manabii/newlib.php
平成20年4月8日現在の徳島県視聴覚ライブラリー所蔵目録にも記載。
http://syougai.tokushima-ec.ed.jp/slibdl/SLib/VTR/vr.pdf

■― 美しいことば 美しい心 美しい学校 − を目指して
http://www.tokorozawa-stm.ed.jp/kotesasi-eh/syoukai/tayori2.htm
所沢市小手指小の校長先生が「「水からの伝言」1・2 江本 勝著 の本を読みませんか」と語りかけている。例の女性校長会の役員さん。そのせいで、あの講演に呼んだのはこの人ではないかという憶測もささやかれているが、本当のところどうなのかはわからない。

■平成17年度 月有野台 だより 3 もうすぐ 春 です[Flash]
http://www.kobe-c.ed.jp/ard-es/flashpaper/gakkou-dayori-3-2006.swf

■宿毛市教育研究所発行『所報すくも』平成16年12月20日[PDF]
http://www.kochinet.ed.jp/sukumo-l/shohou/2004/34-4.pdf
表「咸陽小学校公開授業の内容」として「2年B組 ありがとう/出典:「ありがとうがいいたくて」(旺文社)、「水からの伝言」(波動教育社)/2-(1)礼儀」という記述がある。いわゆる「水伝を使った道徳の授業」が行われたと見ていいでしょう。

■「思いやりの心を伝え合う力」を育てる 道徳プログラムの開発
http://www2.gsn.ed.jp/houkoku/2004c/04c20/04c20h.pdf
サーバーは「ぐんまスクールネット」のもの。運営は「群馬県教育委員会」「群馬県総合教育センター」の模様。
『水からの伝言』を用いた授業を含む、何段階かにわたる道徳授業を通じて、児童にどのような変容が起きたかの研究報告。おそらく2004年の文書ないし2004年の研究。
PDFの7ページ目に「4 心に響く道徳授業の作り方 (1)資料提示の工夫 @資料を厳選する〜子供の心に響く資料を用いる。」として資料が挙げられており、そこに資料名として同書が挙げられている。そのまま同書を使うのではなく、編集していることもわかるが「言葉によって結晶の形が変わる」という根幹は同じ。

■佐谷田だより6月号(熊谷市立佐谷田小学校 平成19年5月29日)
http://www.sayada-e.ed.jp/dayori/dayori-6.pdf
「ことばの力 子ども達に元気や勇気を与えることばがけを」と題して、同書の実験(もどき)に基づいた訓話が記載。
トップページからはたどれないので、すでに、キャッシュにしかないのかもしれません。というわけで、全文を下記に引用。
ことばの力
子ども達に元気や勇気を与えることばがけを

 「水からの伝言」(IHM総合研究所・江本勝著)という本の中に次のような実験結果が記載されています。「2つの同じガラスの器に入れたご飯の一方には毎日『ありがとう』ということばをかけ、もう一方のご飯には『ばかやろう』とかけ続けた。1ヶ月後、『ありがとう』とことばをかけ続けたご飯は芳醇な麹のような良い香りになり、もう一方は黒く変色して腐り、いやな臭いになってしまった」
 なぜこうなるのか、この本では言霊(ことだま)ということばで説明しています。言霊とはことばに宿っている霊威。ことば自身に何か力があって、その力が働いてそのことばどおりの事象がもたされるというのです。
 私はどちらかというと、超能力とか心霊などというのは信じないのですが、年をとるにつれて、言霊はあるような気がします。
 あることばを何度も何度も口にしていると知らず知らず、その気になってくることがあります。また、繰り返し言われ続けると、やはりその気になってきたりします。
「君は親切でやさしい」と言われると、そのような行動がとれるし、反対に「ぐず」だの「のろい」などと言われると本当に「ぐず」や「のろま」になってしまいそうです。
 ひとつひとつのことばには使っている人が意識している以上の重さがあります。子どもたちをはじめ周囲の人々にかけることばは勇気や元気を与えるもの、幸せな気分にさせることばでありたいものです。日常何気なく使っていることばこそ大事にしていかなければならないと思います。


微妙な言及
■読み聞かせ
http://www.machida-tky.ed.jp/j-tadao/pta/pta_katsudou/yomikikase%2005.html
中学校でのPTA活動の一貫として「読み聞かせ」を行った記録。生徒による感想文なのだが「結晶の本は小学生の時に道徳で見たことがある」と書かれており、なんと2度に渡って「水伝」の洗礼を受けてしまったことになる。
むろん内容に関しては肯定的に言及しているのだが、本気……なのかなあ……。空気を読んで調子を合わせているだけなのであれば、なんか三重に気の毒でもある。

■18年度読んだ本学年順50音順
http://www.city.hamamatsu-szo.ed.jp/miyakodaminami-e/18tosyo/honnoshoukai/18nenndo-yonndahonn.htm
浜松市立都田南小学校の、読み聞かせボランティアの記録。平成18年度の読み聞かせ、小5に同書が見える。

■山口東京理科大学 加納誠研究室 研究業績 学会発表 
2002年 日本物理学会 秋 環境物理学部門
http://www.ed.yama.tus.ac.jp/mkano/html/gakkai/2002_1.htm
「地球環境の物理学ー水ー 」と題する発表(ページ末尾)の文献として同書が挙げられている。
水の分子構造は分子の回転スペクトルを分析して、結合角 104.523°、O-H結合の長さ0.9518×10 -8 cmという値が得られている。この水分子に対しては水素結合の特質として、水分子同士の相互作用が大きく分子同士が結合しあったマイクロクラスターの存在を指摘する報告もある。更にそのマイクロクラスター水にレーザー照射をし、磁場を加えると「機能水・波動水」なる生体活性効果も得られるという (4) 。
の(4)がそうなんですけど……そんな話、出てましたっけ……。ていうか、わざわざこんな本を文献に挙げなくても……。

■2005年2月24日(木)待合室の本
http://www.ip.kyusan-u.ac.jp/J/morikawa/nikki3.html
「九州産業大学国際文化学部講師 森川友子のホームページ」の一部。いわゆる過去の日記ですね。
で、これ、どう考えていいのか、よくわからない。当日の記事を全文引用する。
昨日は、整備局という、河川の管理をしている機関でカウンセリングの授業をさせていただいた。
その後、九産大の臨床心理センターの、待合室の書籍を買い足しにいった。
新たに3万円の予算をいただいている。
待合室に置く本というのは、どういうものがいいのだろうか。
カウンセリングが始まる前の5分、10分のあいだに読み、どこで時間がきても、「切が悪すぎる」ということがないような本。
主張が強すぎない本。
癒される本。

ということでまず絵本を10冊買った。
絵本は、大人でも興味がある方は、手に取って読まれるだろう。
でもこれだけではいけない。
臨床心理センターが主として子どもさん対象だと思われてしまう。
大人の女性でも、男性でも場違いだと感じないような、待合室の本の背表紙の並び‥。
ということで、空や道のいくつか写真集を買った。

お陰で普段、見ないような本も見た。
出色だったのが、「水からの伝言―世界初!!水の氷結結晶写真集」(江本勝) だ。
水を凍らせ、顕微鏡で観察、写真撮影をしたものだ。
水に見せる言葉や聞かせる音楽、宗教によって、形がいろいろと違ってくるという。
まあ、どの程度、一定の手法でなされたことがが分からないから、誰か理系の人が検証してくれないかなあと思うが、「ほんとうに、水が変化するんだたら楽しいなあ」と思うし、インパクトのあるメッセージだと思う。
現時点でそれが証明されようが、されまいが、そもそも水の結晶写真はきれいだ。
買った。

明日、たくさんの本が待合室に届く。
最初に出て来てるのは、まさか冒頭で紹介した「国土交通省河川局」の話じゃないよね? いや、そうなのかな……でも、カウンセリングの講義で出た本が、リンク集には載らないよなあ。
この日記については、後でちょっと言及。

批判的言及
apjさんきくちさん、こなみさん、たざきさん、あらきけいすけさんによる言及は有名なので割愛。

■教育委員だより No.137 トンデモ科学と道徳の授業(平成17年12月9日)
http://www.komaki-aic.ed.jp/kyouikuiindayori/H17/iindayori137.htm
小牧市教委・副島孝教育長の有名な文章。

■北野SSコースだよりNo.2(2 0 0 7.1 2)
http://www.osaka-c.ed.jp/kitano/kitanozen/SSH/2007SSH/2007_12_SSHtayori2.pdf
◆1年生「情報C(研究基礎)」
(略)
・科学的とは何だろうか:科学の方法と歴史,現代科学の問
 題点などについての講義を行いました。
・小論文演習:「水からの伝言」をテーマに科学的態度につい
 ての小論文を作成しました。
・発想力トレーニング:仮説の作成と実証実験を考えること
 を通じて,ブレインストーミング法などの発想力トレーニ
 ングを行いました。
(以下略)

「大阪府立北野高等学校SS委員会」だそうです。すごいすごい。

■特別授業・SSH講演会
http://www.osaka-c.ed.jp/sumiyoshi/ssh/2007/houkoku/rikei_kouen.pdf
大阪府立住吉高等学校。平成19年7月に、毎日新聞の元村有希子記者が1年総合科学科の生徒を対象に講演をした記録。

SSHというのは文部科学省の指定する「スーパーサイエンスハイスクール」の頭文字。

■教育委員だより No.179 怪しい情報と教育(平成19年5月8日)
http://www.komaki-aic.ed.jp/kyouikuiindayori/H19/iindayori179.htm
小牧市教委・副島孝教育長の文章。昨年も言及されていたんですね。


肯定的な言及が、まだこんなにあるんだ、とまでは思わなかった。古いものが少なくないしね。まあ、いまも推薦されるような文言で公開されていたり、新しいものがあるのは痛いなあとは思うのだけど(なかなか隅々までは届かないよねえ……)。
教委が貸し出しているビデオは、さすがになんとかしてほしいなあ、とも思う。

一方では高校で批判的に読むような取り組みがあったのは、ちょっと感心。

「水からの伝言」以外のキーワードで検索すると、ほかの事例も拾えるのかもしれない。

個人的な関心としては、PTAやボランティアによる「読み聞かせ」が悩ましい。ぼくの地元でも「読み聞かせ」は盛んに行われているんだけど、採り上げられる図書は読む人にまかされているじゃないかなあ、どこでも。

あと、カウンセラーかなにかをしておられる方が、待ち合い室に置く本として選択基準を挙げながら書いている日記。〈どの程度、一定の手法でなされたことがが分からないから、誰か理系の人が検証してくれないかなあ〉とか〈現時点でそれが証明されようが、されまいが〉とかって書きぶりは、なんか言い訳がましいというか……ほんとに「とりあえずきれな写真だからいいや」みたいな考え方って、カウンセリングの待合室にふさわしいんでしょうか。「なんか怪しい」とか「げ、こんな本が」とか思っちゃったら、カウンセリングに悪影響があったりしませんか?

なんだか、「プラセボとわかってれば」とか「限界を解って利用すれば」とか言いながら、「ホメオパシーも必ずしも悪くないことも、むにゃむにゃ」みたいな(ぼくもついついしがちな)考え方って、実はこういう危うさを持っているのかもしれない、なんて頭がぐるぐる。


posted by 亀@渋研X at 18:18 | Comment(6) | TrackBack(4) | 渋研X的日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする はてなブックマーク - 国土交通省にも神戸市にも「水伝」汚染?
この記事へのコメント
>はたと思いついて「水からの伝言 site:go.jp」さらに「edu.jp」「ac.jp」でググってみた
>「水からの伝言」以外のキーワードで検索すると、ほかの事例も拾えるのかもしれない。

いま気づいた。これ、「EM菌」でやるとどういうことになるのだろう……。あんまり考えたくはないけど、すさまじいことになったりするのかなあ……。

百猿は、あんまりなさそうな……そうでもないか。

しかし、根絶を目指すのか??? 一つ残らず??? ううむ、それも気持ち悪いような……。ああ、しかし、個人はともかく公的機関や教育機関はなあ……。ううむぅ。
Posted by 亀@渋研X at 2008年09月20日 18:48
今晩は。

私もやってみました。0時にアップ。

頭痛必至です。
Posted by TAKESAN at 2008年09月20日 23:21
>これ、「EM菌」でやると

やってみました。「EM菌 OR EM団子 site:ed.jp」の検索結果。
http://www.google.com/search?as_qdr=all&q=EM%E8%8F%8C+OR+EM%E5%9B%A3%E5%AD%90+site:ed.jp

最初「約 1,140 件」とか出ますが、終わりを求めてめくってみると「305 件」てところです。ざっと見た感じ、ほとんどが肯定的。批判的なもの、検証しようという態度のものは、ごく少ない印象です。
今までではいちばんの大物ですね。

「"マイナスイオン" site:ed.jp」が243件。なかにはリテラシーの話題や、単に負のイオンの話もある。しかし、ほとんど「癒される」「健康効果」などという文脈。批判的な文脈のものは、「"マイナスイオン" ニセ科学 site:ed.jp」だと2件しかヒットしないという辺りから推して知るべし、ですね。

ちなみに「ニセ科学 site:ed.jp」18件(きくちくんが来てしゃべった、という話が半分以上か)、「"疑似科学" site:ed.jp」28件、「オカルト site:ed.jp」75件。
多勢に無勢ということはよくわかります。
Posted by 亀@渋研X at 2008年09月21日 21:37
ああ、とうとうやってしまったのですね。これだけは見せたくなかったのですが(^^;)。<EM菌
Posted by OSATO at 2008年09月21日 23:26
神戸市にメールしたら迅速に対応してくれたもようです。下記に神戸市からの返信を公開しました。

http://sea.ap.teacup.com/mimizuku/69.html
Posted by とらこ at 2008年09月22日 20:16
とらこさん、いろいろとありがとうございます。
簡単ですが新規にエントリを起こしました。
http://shibuken.seesaa.net/article/106983146.html
Posted by 亀@渋研X at 2008年09月22日 22:07
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

とりあえず神戸市にメール送った
Excerpt: A-WINGさんの記事を読んでからメールを書き始め、あとで渋研Xさんの記事を見たら神戸だけじゃないこともわかったのですが、まずは目に付いた神戸に下記の内容でメールを送りました。 神戸市環境保健研究..
Weblog: みみずくからの伝言
Tracked: 2008-09-20 19:43

調べてみた
Excerpt: PSJ渋谷研究所X: 国土交通省にも神戸市にも「水伝」汚染?を読んで、私も「ゲー
Weblog: Interdisciplinary
Tracked: 2008-09-21 00:01

水伝汚染が広がりつつあるのか?
Excerpt: 不見識と言うタイトルでTAKESANさんが挙げているエントリー。 中身はううう=
Weblog: 瀬戸智子の枕草子
Tracked: 2008-09-21 11:00

疑似科学 混ぜるな危険!
Excerpt: 深層心理学(フロイト・ユング)、トランスパーソナル学、シュタイナー教育 船井幸雄、森田健、村上和雄、江原啓之 マクロビオティック、お産、ホメオパシー、さまざまな医療、レイキ 超心理学、精神世界・新霊性..
Weblog: 幻影随想
Tracked: 2008-09-23 01:10
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。