広島工業大学図書館が「水伝」を推薦のコメント欄での、OSATOさんによる情報。
『水からの伝言』は、国会図書館やTRC図書館流通センターでは「147」(超心理学・心霊研究)に分類されているそうだ。詳細はリンク先を参照。
広島工大図書館のように「435.44」(無機化学/水・重水)なんてところに分類されていたら、司書さんに国会図書館やTRCでの分類を教えてあげよう。
図書館の司書さんなどが信じちゃっているわけではなく、「水の話だから」と科学関係に(誤)分類しているだけなのであれば、それなりに説得力があるんじゃないかな。虎の威を借るなんとやらみたいだけど(しかも、なんだか迂遠だけど)、読んで信じちゃった人にも「これ、科学関係書じゃなくて、オカルトやなんかの分類だよ」と教えてあげると、ひょっとすると一定の効果があるかもしれない。
ぼくも余裕ができたら、地元図書館での分類をオンライン検索してみようと思う。
東京都公立図書館横断検索
2008/12/28追記:
図書館とニセ科学と過去の誤謬(火薬と鋼 2008-12-27)で次のご指摘をいただいた。
分類の話はちょっと誤解があるようなので補足。ごもっともな話で、「147」(超心理学・心霊研究)がニセ科学関連の本全般に好適な分類だというわけではない。本エントリでは「水伝」の話だけをしつつ、タイトルはニセ科学全般の話になっていて、これは不適切だった。タイトルを改めるとともに追記する。
・ニセ科学の資料を一律147(超心理学・心霊研究)にしろ、というのは不可能。
水伝をこの分類にするのが妥当なのは、スピリチュアリズム(詳しく書くと波動)を主とした内容・表現だからである。
ホメオパシーは化学療法や薬物療法を装っているわけでもない(むしろ薬物療法以上の効果を強調し、オカルト的な説明を盛り込む例が目立つ)。だから訂正されるべき例として出している。
逆に言うともっと巧妙に科学を偽装しているような場合は、内容の真偽はさておき147に分類するのは妥当ではない。
「火薬と鋼」さんでは、ほかの例として「492.79(民間療法)」が挙げられている。
例えばホメオパシーの図書はNACSIS-CATではほとんどが492.3(化学療法、薬物療法)に分類されている(実態を考えれば492.79(民間療法)に分類されるのが妥当だ)。このように、それぞれ「適切な分類に」というのが本筋。
悩ましいのは、箸にも棒にも、失礼、適切な分野が見当たらない書籍だろうか。そういう場合は「914(評論、エッセイ、随筆)」か「917(箴言、アフォリズム、寸言)」あたりではいかがだろうか。
ただし、これは「内容の出来不出来」で判断するものではない。その点はこれまでも書いてきているし、「火薬と鋼」さんでも〈内容の真偽はさておき〉と釘を刺されている。したがって、たとえば森「ゲーム脳」や茂木健一郎式の「脳」に関する本などの、ふつうに考えると医学どころか学術的知見などと言えるレベルにない(あるいは疑わしい)、単なる心情の吐露のような内容であっても、「これもエッセイね」とはならないかもしれない。科学的アプローチによって主張しようという「方向性」が見てとれるような場合は、それが達成できているかどうかは問われないわけだし、もともと科学エッセイなどは「400(自然科学)」あたりに分類されることもあるからだ。そうすると「490(医学)」とか「370(教育)」あたりに分類される可能性が高く、一概にそれを誤分類ともいえなさそうだ。
タグ:図書館
「水伝」関連ならば、実際図書館の館長さんに読んでもらえば納得されると思います。
ただ、「ゲーム脳」とか「脳内汚染」とかの書籍は中々難しい所ではあります。『波動』などの分りやすいキーワードがあるものは楽なんですがね。
書籍の分類記号というのは、最初は出版社の営業が決めるのです。
図書館で購入する時に、昔なら司書さんが再度中身を検討してそこの図書館独自に分類を改めるものだったのですが、近年の書籍数の多さから今ではほとんどTRCからの供給データを用いています。
分類記号が変更されていないというのは、その辺をあまりチェックしていないだけだと思われます。
(http://www6.atwiki.jp/cactus/pages/7.html )
最近は全然調べてないんですが、水からの伝言以外の波動本も、147に変わってきたんでしょうか
…って、すみません。最近あんまり余裕ないもので、今アレの再調査はできなくて (^^;
さっそく地元の県立図書館を調べてみたら、
見事に435.44でした。
週末にお願いに行ってきます。
ERC出版-図書コード(ISBN)
http://www.erc-books.com/ERC/How/H1-7.html
第109回 バーコードの意味(2)本・雑誌編(雑学万歳)
http://www.uraken.net/zatsugaku/zatsugaku_109.html
図書館によって出版社の意向重視とかいろいろな考え方もあり得るし、システムの制約などによる「分類し直しができない」といった事情も、あるようです。
あまり課題な期待を持つのは禁物かもしれませんね。変えてくれれば、いや、話を聞いてくれればラッキーぐらいに考えたほうがいいのかな。
水伝本の分類については、以前 (記録によると2006年の4月と11月) 、自分が通っている大学の図書館の意見箱に入れたことがあります。
1回目は、 「内容が 『化学』 じゃないから別の分類にした方が良いんじゃないか」 「この分類になった理由も教えてほしい」 という内容で出したところ、 「水について書かれた本だから」 「判断の難しい図書だが、他の多くの図書館でもこうなっているようだ」 (要約) という回答が返って来て、その後も分類はそのままでした。
まぁしょうがないか、と思っていたのですが、時間が経つうちに、書き方が悪かった (そのせいで言いたいことが伝わらなかった) のではないか、という気がしてきて。
くどいとは思ったものの、書き方を変えてもう一度出すことにしたのでした。
まず最初にはっきりと 「分類を 『心霊研究』 に変えてもらえないか」 ということ書いて、次にその理由を続け、ついでに 「国会図書館ではそうしているらしい」 こともつけたして、最後に関連するWebサイトのURLを書いた紙をひっつけて出しました。
回答は、ちょっと微妙な印象でしたが、一応 「本学でも分類変更を行う予定です」 となっていました。
とは言え、すぐには変わらなそうだったので、いつ変わるかウォッチしておくつもりだったのですが、いつの間にか忘れてましたorz (だってなかなか変わらなかったんだもの)
さっき調べてみたところ、現在は 「147」 になっているようです。
この件に関しては、私が色々と駄目だったので、反省するところが多かったりするのですが、変わったこと自体は良かったと思います。
貴重な事例報告をありがとうございます。
何はともあれ、変えてもらえたのはよかったです。
関連して、新しくエントリを起こしました。
図書館での分類方法と再検討の申し入れ方
http://shibuken.seesaa.net/article/107059307.html
改めて気づいたのですが、図書館は、かなり明確な目的と合理的な判断基準を持っているのでこういう話も可能なんですね。個人ではこうはいかないだろうし、精神世界の話として受け入れちゃった人との対話もまた、頭が痛いところではあります。
「水からの伝言」の江本氏のインタビュー記事 を引用して
「水からの伝言はポエムだと思う。科学だとは思っていない。僕は科学者ではない」
と言っています。
科学者ではない著者が科学ではと言っているものを科学に分類するのは適切ではありません。
これは説得力が非常にあると思うのですが
下記をどうぞ。
Q:著者は、これを「科学的な事実」だとは言っていないのでしょう?(『水からの伝言』の基礎知識【基礎編】)
http://kameo.jp/mizuden/faq.html#shuchou01
【FAQ】「科学の問題であるかどうか」は、提唱者が「科学」と呼んでいるかどうかではない
http://shibuken.seesaa.net/article/112862099.html
彼の詭弁を利用すると図書館での交渉が上手くいくのではと提案しているのです。
著者が「科学ではない」と言ってる書籍を図書館が科学に分類する根拠を要求したら、根拠を提示できるとは思えないので
ああ、なるほど。司書の方によっては、それで納得する方もおいでかもしれませんね。
それでも、「本人が科学だと言っているかどうかで『科学的な主張かどうか』が決まるわけではない」ということ自体は変わりません。悪印象だけ与えて終わってしまうリスクもありますね。
#継続的にお見えになるなら、別のハンドルをお使いになることをお勧めします。