コーラの殺精子効果研究など受賞=イグ・ノーベル賞 | 世界のこぼれ話 | Reuters(2008年 10月 3日)
ユーモアがあり、かつ意義深い科学的研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」の授賞式が2日行われ、コーラ飲料に精子を殺す効果があることを発見した研究などに賞が贈られた。これでは、まるで「コーラには精子を殺す効果があるよ」と言っちゃっているようなものである。実際のところ、イグ・ノーベル賞ってのは内容を評価する賞ではないんで、コーラが精子を殺すんだか殺さないんだかは、受賞の事実からもこの研究からもわからない。
ボストン大学医療センターのチームによるコーラの殺精子効果の研究は「化学賞」を受賞。1985年に発表された研究だが、受賞者の一人であるデボラ・アンダーソンさんは当時、コーラが避妊薬として利用されていたことから研究に着手。その後、エイズウイルスの感染を防ぐ効果もあることも突き止めたとしている。(以下略)
ロイター記事の翻訳を担当した方と、それを通したデスクさん、あんたらんちにはアホな女子高校生とか女子大学生はいなくって、そういう連中はこんな記事を読まないとかなんとか考えたのかもしれない。だけど、実際には情報ってのは再生産ってえか、人から人へ伝わるんだよ。誰かがこれをネタに、記事を書くかもしれないんだよ?
で、ロイターの記事は「都市伝説が実は本当だった」と受け止められる可能性が確かにある。現にmixiではそういう主旨の日記がたくさん書かれている。
しかも、CNNの報道を見ると、実状と微妙だが決定的なズレがある可能性が高い。
CNN.co.jp:「コカ・コーラの避妊効果」研究にイグ・ノーベル化学賞(2008.10.03)
「コカ・コーラの避妊効果」について研究し、真反対の結果を導き出した2つの研究グループに、化学賞が贈られた。片方は「避妊効果がある」との結論で、もう片方は「効果がない」としている。グレーだってことが、がっつりわかるじゃん。
CNNの記事は、mixiの某日記で知ったのだが、ほんとに差が激しいですな。イグ・ノーベル賞がどういう賞かという説明のしかたにも、両者にはかなり開きがある。パロディ的な趣きのある賞で、研究成果が正しいかどうかは、この賞を受賞したことだけでは全然評価できない、なんてことは、ほとんど知られていないでしょう。知っている人だって、ぼくと同じような勘違いをしているのではないか。ぼくは昨日まで「イグ・ノーベル賞を取ったからにはダメな研究(間違った研究)なんだ」と誤解していたんだもんね。
我らがバカ親子はともかく(うちでは話題にすればいいだけだからね)、この手のよく知られた都市伝説を扱うには、ロイターの記事はかなり配慮が足りない。もう、ほとんど誤解させるために書かれているようにしか見えない。
というわけで、老婆心ならぬバカオヤジ心を発揮して、はてブのロイターの記事と、配信された記事を掲載したYahooニュース(ブクマはなかったが、よく読まれるから)、エキサイトニュース(すでにブクマが13件あったから)に、CNNのURLを貼付けてしまった。
あ、このエントリがはてブしてもらえたら、各記事のブクマにも表示されるように、各記事のURLも貼っておこう。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081003-00000890-reu-int
http://www.excite.co.jp/News/odd/E1223024154386.html
CNNの記事を紹介していたmixiの某日記は、ロイターのお里である北米と日本では、イグ・ノーベル賞の知られ方がかなり違うだろうから、そこを配慮していなかったのが結果としてこういう記事の露出につながったのではないかと指摘していた。
たぶん、そんなところなんだろうなあ、とは思う。ほんと、かんべんしてくれ。もう、ほんとにトホホであります。
避妊や感染症予防には、効果が確実により高くて、しかも手軽で安全な手段がほかにありますから、そういう手段を選択してほしいもんです。
とすると大前提として、『「避妊」とか「感染症予防」に用いる手段は、より確実で安全な手段を選択するべき』という知識が、十分に普及しなきゃならんですね。
避妊や感染症予防に限らず、
>より確実で安全な手段を選択するべき』という知識
は、あるんですよ。高校生でも。
それをオトナでもなかなか活かせないのが問題というかなんというか。「こんなんでも、やらないでもいいかと思っちゃう」みたいなこともあるし。
これは気付きませんでした。石田も想像力の修行がまだ足りませんね。
> それをオトナでもなかなか活かせない
知識としては知ってても、それを自分の行動と結びつけない(または、できない)ということでしょうか?
とすると、確かにそういうことはよくある気がしてます。例えば、新聞やテレビで報道される事件や災害が、自分の身に降りかかるとは考えてない人が、石田の身近にも居たりします。
知識を自分の行動に活かす習慣とか、訓練とかが必要なのかもしれませんね。
そんな無茶なことがありえるなら今ごろ人類が大変なことになってるくらい簡単に考え付きそうなものですが・・・。
それはマスコミの在り方云々以前に基本的な教育(というレベル以前かな?)が全くできていないことの方が大問題のような。
それはともかく、
これからこういった繁殖に絡んだ問題は増えていきそうな気がしますねぇ。
コンドームの使い方なんて教えたら「過激な性教育」ということで政治家から攻撃されますよ。
地方議員が街頭演説で「最近の教科書はエロ本まがいなのです!」と絶叫していた時はさすがに笑ってしまいました。
幸い(?)にして日本では堕胎が社会に根付いていますから
「妊娠しても大丈夫」という発想がどこかにあるのでしょう。
ま、子供の方は中絶でなんとかなっても病気は蔓延するわけですが。
はい、記事を見て、「飲んで避妊効果?」と思った人です。
何故ならば、その都市伝説自体を全く知らなかったからですね。
だから、「コーラ”の”避妊効果」という説明から組み立てた訳ですね。
知らなかった者からすると、元ネタの方が、「まさかそんな噂なんか立たないよなあ」、というレベルに感じるのです…。「飲んで避妊」の方が、「(噂が出るのが)あり得そうに思える」と。
やはり、情報の伝達のされ方というのは難しい問題だと思った次第。
------
白状します。
「飲んで避妊じゃ無かったのか」、というのを、今こちらのコメント欄で知りました。何気無く読んでそのままにして、プラセボ効果の方に関心が行ってたので。危ういなあ、ググればすぐ確かめられるのに>自分
もちろん、飲んでそんな効果があるってどういう意味だよ、という疑問は持ちましたよ…。
ひとつには、ものがイグ・ノーベル賞なので混乱するということがありますね。
「マジな話」として受け取ってしまう人は、イグ・ノーベル賞を知らないか、イグ・ノーベル賞はパロディ賞だといっても、研究結果はマジなのかもしれないとか思ってしまうややこしいケースがあります。
さらにややこしいのは、都市伝説にも「膣内洗浄伝説」だけじゃなくて、「コーラを飲んでると、男性機能が弱くなる伝説」もあるらしいんですよ。これはぼくは知らなかった。
もっと素朴には「コーラを使う」というだけで「コーラだから飲む話だろうと思った」というもので、「避妊効果が本当なのかどうか」とかいうことさえ考えていないケース。この場合は、真に受けて避妊に使うとかいうよりも、なんとなくコーラばっかり飲んでる人は妊娠しにくいみたいな状況を思い浮かべるという雰囲気です。なにしろ、なんの前知識もなく「なんとなく、そんなことかなと思った」レベルなので、なんともかんとも……。まあ、このケースはじきに忘れるなど、実害には至らなさそうな気もしますが……。
> 「コーラを飲んでると、男性機能が弱くなる伝説」
これは、石田も知りませんでした。けど、そういう伝説があってもおかしくない気はしますね。
余談ですが「コカ・コーラにコカインが入ってると思ってる人」には、いちど会った事があります。
「ネタにマジレス、カッコ悪い」
状態だと思いながら書き込んだのですが、
そうですか、けっこうありがちな解釈なのか・・・。
そうなると
「先進国で問題になっている少子化の原因はコカ・コーラ」
「世界を支配しようとしているユダヤの策略」
「ユダヤ人はコカ・コーラを飲んでいない」
とか言い出す人が出てきそうな気がするなあ。
「コカ・コーラにはコカインが入ってると思ってる人」の話は恐いですね。
それは完全に違法!(笑)
「コカの成分→コカイン」というネタの凶悪化があったのでしょうか。
人ってどんなムチャクチャな話でも信じられてしまうものなんですね。
コーラを飲むと…の件、かなり以前から存在する「メンソール煙草は精子がなくなる」都市伝説の変化版かも知れませんね。
余談ですが「ゴキに洗剤かけると気孔がふさがってすぐ殺れるYo!」という裏ワザ?
を周囲に教えているうちに
「ゴキがすぐ死んでしまうほど合成洗剤は有毒なんだYo!」
という解釈に変形されてて頭抱えました。
また、殺精子効果と避妊効果は同一ではありません。受賞論文は"Spermcide"つまり精子を殺す作用がコーラにあるといっているので、コーラが避妊に使えるとは言っていません(研究動機は避妊の可否でしょうが)。その点CNNも読み手を誤解させやすくなってしまっています…。
>受賞対象は査読を通して学術誌に載った論文なので、最低限の信憑性はあります。
ああ、しまった。記事本文では注意したのに、コメント欄では以前からの「思い込み」を露呈してしまいました。お恥ずかしい。
これは、今回の当該研究が、ということですよね? イグ・ノーベル賞の受賞者にはどう考えても論文になってるはずのないものも、ありますものね。
対象となった研究の信憑性は、受賞の有無では判断がつかないという点はまったくおっしゃるとおりだと理解しています(もっとも、記事中でも触れたように、ごく最近知ったのですが)。「イグ・ノーベル賞を取った研究なんか信じるなよ」という話は、筋がおかしいわけですよね。コメント欄での発言は不適切でした。後ほど追記しておきたいと思います。
>殺精子効果と避妊効果は同一ではありません。
ああ、確かにその点はロイターの方が正確です。CNNの方は正確さに欠けますね。もっとも、実害の生じる可能性とはまた別の視点ですので、CNNの記事に軍配があがるという判断は変わりませんけれど、指摘しておいてもよかったかもしれません。
ご指摘ありがとうございます。
娘はあんたの所有物か
死ね小飼系
しかも所有物がどうのって解釈が出て来て、
さらに小飼弾氏まで出てくるのって、
何度読んでもすごいなあ。
そう感心するようなものでもないのかしら。
ちなみに、コンドームって避妊具ではないことを知っているのって、一般的にはどのくらいいらっしゃる?
いえ、あれは感染症予防具であって、避妊具じゃないんですよね。
そういう意味の誤解って、いっぱいあると思うよ。
なにせ、医学的なのに、全人類的な内容ですよね。
だから、無知でも騙ってしまう、というトンデモさんが発生しやすい状況に。
騙りに査読が入れば、そんなこともなくなるけど、まあ雑音がない世界も生き難いから、ホワイトノイズ程度に捕らえるのが良いかと。 > 雑音な騙り
こんな事情があるんですよ。
梅毒が復活しつつあるよ、という話。
> http://blog.goo.ne.jp/idconsult/e/a6a9425bc5bb088e5a05f2c7b7e5a3ad
そういう関連で、コンドームの話をしようとしていたのに、紹介忘れてました。
そんなわけで、コンドームが感染症予防具だという話に。
そんなわけです。はい。