2008年11月04日

【FAQ】ウソと間違い

今日が〆切とか、とっくに〆切を過ぎているとか,そういうのがてんこ盛りなのでこんな時刻までパソコンに向かっているのだが、ついついブラウザを開いて、kikulogとか見てしまった。911がらみで、大阪のイベントが大変に興味深いことになっていたようなのだが、ここで書きたいのはそのことじゃなくて(その辺はこの辺から)、これ。
34. smac ― November 4, 2008 @00:48:13
(略)
24、パイソンさんの「地球温暖化問題」に関するコメントに付けられたレスです。以下全文引用します。

【引用開始】
 「嘘」ではないですよ。
 「嘘」と主張する否定派はたしかにいますが、もしCO2が主因でないとしてもそれは
 「嘘」ではなくて「間違い」です。

 問題は「不完全な情報と不確実な予測に基づいてどのような意志決定ができるのか」
 であって、「嘘なら詐欺」とか「陰謀」とかいう単純な話ではありません。
【引用終了】

 このレスを読んで私は咄嗟に、あの「イラク大量破壊兵器」問題を連想してしまいました。
 イラクに大量破壊兵器がなかったと分かったとき、ブッシュ政権は、こう言いましたよね。
 「2003年3月時点、我々はイラクに大量破壊兵器があると確信していた。だがそれは『間違い』だった。
確かに『間違い』ではあるが、断じて『嘘』ではない」

 先生は、上記ブッシュ政権の言い分を支持されますか? それとも否定されますか?
(略)
きくちくんへの質問になっていて、きくちくんからの回答はまだない。回答されていないのをいいことに、勝手にあれこれ考えてみる。

「温暖化の主因が二酸化炭素か」「ブッシュはウソをついたのか」は、まずは置いておく。「ウソと間違いの違いってなんだ」ってことが気になったのだ。

間違いとウソは違う。じゃあ、その違いはどこに? 「間違っていることを知っているかどうか」と「意図の有無」だろうか。うー、そういうことが多い、ぐらいかな。

自分でも気づかずにウソを言ってしまうことだってあるだろう。それはボクにもわかる。「傷つけたくなくて、思わず言っちゃった」とかね。でも、それはやっぱり「事実じゃないと知っていたけれども、それに反することを言った」というわけで、間違えたわけじゃないよね。「知っていた」のだけど「意図的ではない」ってわけだ(ここに間違いがあるとしたら、「そういう理由ならウソをついていいか」とかいうことへの答えの出し方、って話はあるかもしれないけど、別の話だよね)。

ただ、間違いを間違いだとわかっていて意図的に言い続ければ、それはウソになる。「最初は単に未科学(検証できていない仮説)だったのだけど、確認できてない効果効能を『ある』と強弁し続けた結果、晴れてニセ科学の仲間入り」と似たような構図だな。

そうか、「間違いだとわかったときに撤回できたら『間違い』止まりだけど、そこで自説に固執すると『ウソ』の域に行ってしまう」ってことはある。「間違いなんかじゃない!」と一人だけ言い張っているような場合はどうか。本人としてはウソのつもりは、ないわけだ。

実のところ、その「ウソとわかってるか」「ニセ科学とわかってやってるか」ってのは、ほとんどの場合は推測するしかないんだよな。

たとえば江本勝が、どこまでわかってあの主張をしているのか。傍証としては中谷宇吉郎だって読んでるようだし、ぜーんぶわかってウソをついている可能性が高いと思えるのだけど、某氏が教えてくれた江本氏の古い著書なんかを見ると、単に「科学について決定的に間違った理解のまんまな人」という可能性も捨てきれなくなる。なんか、「あれはあれ、これはこれ。中谷の業績とこの事実は両立する」と考えていて、そこを説明できるのが「波動」だと、本気で考えている節がある。

そうだとすると、彼は間違えてはいても、結果的にウソになっちゃってはいても、本人はウソをついているつもりはない、ってことになっちゃう。意図と理解がからむと、ややこしいのだ。

さて、最初の二酸化炭素とかブッシュの件はどうだろう。

ブッシュのケースは、彼が「大量破壊兵器はない」と知っていたかどうかが鍵か。かなり濃厚に「知っていたのではないか」「いい口実だ、って飛びついただけで本気じゃなかったに違いない」と思えるとしても、それは確認できない。少なくとも、いまのボクには。

ってわけで「ウソっぽいけど、確実なことはわからない」「ただし、本当かどうかには、そもそも関心が低かったのではないかと疑える。そうだとすると、そこは不誠実で、ウソに近くなるような感じ」だな。

二酸化炭素の件は……ウソではないと全例について言えるのか。あれ? そこから違うなあ。誰それによる「二酸化炭素が主因だ」はウソか、っていう構図じゃない……となると? うー、同列に論じることは難しそうだなあ……。

論者によるってことはあるのかもしれない。きくちくんは、多分「まあ、ほとんどすべての場合はウソとまでは言えない」ぐらいなんだろうか。うーん。正解がわかってないしなあ。なかには「実際には二酸化炭素が主因じゃないと考えているのに、あれが主因だと言い続けている人」がいてもおかしくない……かしら……。そんなこと、する理由がなさそうだなあ。なんのためにだ。経済的な利益?

えーと、政府や大企業が排出権の売り買いで儲けることができることに気づいて、いち早く「あ、これは間違いだけど、そう言っておいた方が得だぞ」とか考えて、企業とかからお金をもらえるように立ち回り……陰謀論みたいだなあ。なんか、ありそうもない気が……。気がするだけですけど。

それよりだったら、「なんか疑わしいけど、世間(あるいは先輩の学者でもなんでも)に合わせておこう」ぐらいだったら、あるかしらんとは思う。でも、この場合、「二酸化炭素が主因です」と積極的に主張するってことは、あまりなさそうだなあ。

なるほどなあ、「ウソだ」とまではなかなか言えないもんだなあ。

#どっかに「環境問題のウソ」って本があったなあ。
#あの本で言う「ウソ」は、どういうものなのかなあ。


posted by 亀@渋研X at 05:02 | Comment(9) | TrackBack(0) | FAQ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする はてなブックマーク - 【FAQ】ウソと間違い
この記事へのコメント
あ、そうか。
「ウソか間違いか」と「その主張を支持するか否か」は、また全然違う話だなあ。質問の主は、そこは意図的なのか、それとも混乱しているのか、それを踏まえての回答を望んでいるのか(^^;;
Posted by 亀@渋研X at 2008年11月04日 05:09
どうもこの辺、法律用語で云うところの「善意」とか「悪意」とか「重過失」とかの概念で整理をつけたくなるんですけどね。どうでしょう。
Posted by pooh at 2008年11月04日 08:08
poohさん、どもです。
ああ、そうかあ。似てますねえ。

実は、後で気づいたことが、もひとつありまして。
質問の主がいう「支持しますか」は、「ウソではなく間違いだ」という主張を受け入れるかという意味だけでなく、侵攻したことの是非とも受け取れますね。

で、それとも関係するのですが、「未必の故意」なんかも関係ありそうですよね。「聞き手/読み手が錯誤することを期待して言葉を選ぶ」とかいうことになると、そう疑えるだけで限りなくうさんくさい。

しかし、こういうのを明白だと言いきれるかと言うと、かなり面倒ですねえ。「××というような推測が十分になりたち、またその蓋然性が十分あるとみなす」とか言えるためには、かなりたくさんの傍証が必要そう。
Posted by 亀@渋研X at 2008年11月04日 08:22
きくちくんのコメントが出ましたね。なるほどなあ。しかし、端から見ると勉強になるけど、なんて不毛な会話なんだ……。

言及先のコメント欄、なんかわらわらと中途半端な人たちが湧いて、異様な光景になってるんですが、京都・大阪・東京でのイベントの影響ですかね。この質問の主にしても、今質問しているあまざきさんにしても。

特にあまざきさんは、常識について問う前に、対話について学ばれた方が良さそうです。きくちくんのコメントを「眺めただけで読んでいない」のではないか、と思えてなりません。

>「なんでこんなので納得できるのだろうか」

なぜほかの人が納得できる答えで自分は納得できないのか、試しにその点を考えてみればいいのに。


陰謀論がいかに有害かというエントリでも起こしたくなって来ました。
Posted by 亀@渋研X at 2008年11月04日 14:28
「CO2主因説は仮に間違いだったとしても嘘ではない」というのは、これが特定の個人の主張ではなくて、IPCC4のような多数の科学者が関与して書かれたレポートの主張だからです。個人としては、嘘をついた人もいるかもしれないんだけど、科学者集団が議論の結果として出したものなので、間違いの可能性はあっても意図的な嘘の可能性は考えなくていい。
一方で、大量破壊兵器問題についてはそれほどはっきりしたことが言えません。外交問題なので、嘘をつくことはありうるし、「間違い」といってもどのレベルでの間違いかはわからない。あるいは誰かが嘘をついたかもしれない。「嘘ではなかった」が本当かどうかを知るには、今後の政府内部文書の公開や検証を待つしかないです。
 
もしもその問にまじめに答えるとしたら、こんな感じですかね。科学の問題と外交の問題では「間違い」の意味も「嘘」の意味も違うと思うんだよね。
単に言葉が同じだからというだけの理由で噛み付いてこられても、「問題が違うでしょ」としか言えないんじゃないかな

Posted by きくち at 2008年11月04日 18:37
おお、まこさん、わざわざの解説深謝であります。

>IPCC4のような多数の科学者が関与して書かれたレポートの主張だから

ああ、そうかあ、そりゃあ確かに個人の主張と同様には考えられないなあ。いや、科学者が結託しているとか言い出せば、なんでも言えてしまうんだけど。

という意味では、陰謀論って万能だなあ。気に入らない証拠は「ねつ造だ」で済ませちゃうし。

>単に言葉が同じだからというだけの理由で噛み付いてこられても、「問題が違うでしょ」としか言えないんじゃないかな

あー、「波動」だ(爆)
Posted by 亀@渋研X at 2008年11月04日 22:13
そうそう、なんでもかんでも陰謀論を言いたがる人には、こういう本を読んで陰謀の企て方を勉強してほしいですね。

『独裁者になる方法』
アンドレ・ド・ギョーム著 夢をかなえる!世界制覇研究会編訳
マガジンランド刊
http://www.amazon.co.jp/dp/4944101546/

著者プロフィール
アンドレ・ド・ギョーム
英・サンドハースト王立士官学校で学んだ後、インド洋のキャッシュマン諸島で民兵組織の将校となる。1973年にクーデターを計画して失敗、1990年まで投獄される。現在は、暗殺者養成学校と呼ばれる米軍フォート・ベニング基地で教官を勤める。 (以上、自己申告)
Posted by 六@渋研 at 2008年11月05日 01:57
ついでなのでポインタ。

一連の集会後、kikulogで投稿ラッシュが始まったのは、各エントリのこのコメントから。

■911真相究明フォーラム in OSAKA
14. バイソン ― November 2, 2008 @09:11:26
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1225423553#CID1225584686

■きくちゆみはなぜ支持されるのか
#218. まっすー ― November 4, 2008 @23:07:58
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1211854431#CID1225807678

すべての投稿者の皆さんの投稿が、陰謀論のだめさ加減や有害さを、とてもよく示していると思います。流れが早くて、ぜんぜん追いつけませんが(-_-)
Posted by 亀@渋研X at 2008年11月05日 08:28
こんにちは、亀@渋研Xさん。

要は「刑事罰の対象じゃなくて民事の賠償(原状回復)の対象」という事でしょうね。こういうのは悪徳商法批判をしていると良くぶつかるんですよ。例えばね、亀@渋研Xさんが安いパソコンを買おうとして、どうせなら地デジTVも映るのをと思って店員に「これは地デジも映るかい」と聞いたとしますね。でもって、ボードを入れれば映る能力は有るけどそのままでは映らない機種を、店員が勘違いして「映りますよ」と答えて売ったなんて時の場合です。

これが、店員が映らないのを知っていて、「映りますよ」と言って売ると、欺罔により利益を得ようとした行為ですから刑法上の詐欺罪にあたるんですが、あくまで勘違いだと刑法犯罪にはならないのね。過失詐欺という罪はないからね。でもね、民事的には、当然、民法第96条(脅迫・詐欺取消)の対象となって、契約は取消可能なんですね。買う前の状態に戻す、つまり店はお金を返して、お客はパソコンを返す事になります。通常使用汚損については、判例から店持ちです。民事に関しては民法第709条の損害賠償に書いてあるように「故意または過失による不法行為」と過失も含めて考えるからね。

なんていうか、世の中には刑法罪ではないから民事解決も拒否出来ると考える人が結構居て、私なんかはその説明ばかりしていた時代があるんですね。
Posted by 技術開発者 at 2008年11月10日 16:51
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