いいサンプルが『MONOQLO』誌上にあったので、FAQ的な話題として書き留めておくことにする(なんか、専用のカテゴリを作る方がいいかな? カテゴリ「FAQ」を作ってみました)。
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『MONOQLO』vol.2の第二特集で、ナノイー・ドライヤーとナノイー・スチーマーがテストされていた。その結論として、次のように書かれている。
実態は曖昧でもこれは別におかしな話ではない。「ナノイーに効果があるかどうか」と「ナノイー製品に効果があるかどうか」は、別の問題だからだ。平たく言うと「ナノイーに効果がなくても、ナノイー製品には効果がある」といったことは、十分に起き得る。
目に見える
効果が期待できる
ナノイーは買い!
★01/23 02:30追記★誤解している人もいるようなので念のため。このエントリの内容は、マイナスイオンだのナノイーイオンだのが「存在する/しない」「定義できる/できない」「効果がある/ない」といったことを前提としていませんし、検討もしていません。「燃費向上グッズ」とか「ウルトラスーパー活水機」とか「幸運を呼ぶ冷蔵庫」とか、ほぼどんなもんに置き換えてもだいたい成立する話のはずです。★追記ここまで★
ナノイーやマイナスイオンに限った話ではないが、仮にメーカーの説明がどれほどおかしかろうと、あるいは根拠が怪しかろうと、「製品そのものがすぐれている」ということはあり得る。
説明がおかしいのに効果がある、といったことが起きる理由は(推測の域を出ないが)いくつか考えられる。たとえば、原理の説明とは関わりのない、他の部分の性能向上や技術向上などが「効果」の原因になっている場合が考えられる。まず有効性のある製品ができて、その後に「なぜよい製品ができたのか」を調べた場合など、意識的に手を加えた部分「だけ/こそ」が原因だと錯誤してしまうことは、ありそうな話ではある(「3た論法」のようなものだ)。
工業製品の場合、新しい技術を採用するだけでなく、よりベーシックな部分のマイナーチェンジも常に重ねられているだろう。実験器具を作っているわけではないのだから、新技術の部分だけが従来製品と異なるような製品を作る意味はない。総体として本当に性能が向上していれば、「性能が向上した」と言って売ることには問題はない。「なぜ性能が向上したのか」の説明が妥当かどうかは、それとは別の話だ。
もちろん、そうした「説明がおかしいが、効果はある/性能は高い」といったことが起きる確率は低いだろう。メーカー自身が「これこれの理由で、よりすぐれた製品ができるはずだ」と考えて作っているわけで、その理由が間違っていたら効果も期待できないというのは、いわば「理の当然」ということだ。
メーカーが新技術を根拠にしておきながら別の部分の性能向上が原因だったとなれば、監督官庁等から根拠を問われて適切なデータを提出できる可能性は低くなる。場合によっては、あたら「よりよい製品」が市場から排除される可能性さえあるのではなかろうか。これはメーカーにとっても消費者にとっても不幸だろう。
「他の部分の性能向上や技術向上など」もkikulogでさんざん指摘がありましたが、具体的に検討した人が誰もいなかったので、机上の空論に終わっています。
ナノイー関連商品が着々と進歩し、一般ユーザーがそのメリットを実感しているのに比べて、これを批判したい側は先入観にとらわれてスキルが伸びていません。
そろそろ先入観を捨てて、きちんとナノイーに向き合わないと、ニセ科学批判者は一般ユーザーから馬鹿にされることになりますよ。
>ナノイーモードのオンとオフで結果が明らかに違うのですから
「ナノイーに効果があるかどうか」と「ナノイーモードに効果があるかどうか」は、別の問題です。
という文中のロジックにて十分説明可能です。
ナノイーモードONとOFFで違った結果になった(と執筆者は感じた)のですから。
確かに何か効果があるのかもしれません。
マイナスイオンドライヤーよりナノイーオフの方が評価が高いというのも意外でした。
マイナスイオンドライヤーの立場ねぇよ・・・。
この記事で一番の謎は「あの髪の毛っぽく見えるものはなんですか?」ということでしょうか。
人間の頭なのか?はたまたヅラか?
ヅラだったら素材は人毛?それとも別のもの?
複数のサンプルで同時に実験した?同じもので繰り返し?
繰り返しならその順番は?
と次々疑問が湧いてきてしまいます。
疑いだせばきりがないんですけど、次ページのスチーマーの記事で
「ヒゲの生え方からしてチェックしてるのがそもそも違う場所なのでは?」
という疑念を抱いてしまったのでどうしても気になります。
まあ家電批評monoqlo自体にいい印象を持っていないというのもありますが・・・。
という文中のロジックにて十分説明可能です。
何を言いたいのかまったく意味不明です。きちんと説明してください。
追記もしたように、別にナノイーに限った話ではありません。ナノイーが例だから過剰反応されているだけだと思いますが、もしもそうではなくて、一般論としても理解できないとおっしゃるのであれば、ぼくにはSSFSさんにご理解いただけるようには書けないということなのでしょう。残念ですが、致し方ないです。
この特集記事について言うならば、実際に試したことの有意義さを否定するものではありませんし、テストされたドライヤーが価格なりの価値があるという判断を疑うものでもありません。単に試したことの内容によって、どこまで言い得るのかという点では問題があると感じました。その辺は、続くエントリ「【FAQ】なにを調べれば「効果あり」と言えるのか」とか「実験・検証・実証という表現の適合ライン。あるいは世間的イメージ」で書いている通りです。
たとえば「ナノイーモードのオンとオフ」でなにがコントロールされているのかは、わかりませんよね。しかも、どうやら一人のライターが新旧一台ずつだけで試した、ダブルブラインドでもない(ライターはどの製品をどのモードで使っているか、わかったうえで観察している)テストのようです。また、ナノイーがオフでもマイナスイオンドライヤーよりもよい結果が出ていると判断されたということであれば、比較したマイナスイオンドライヤーとの地力が違う可能性も考えられるでしょう。そのうえ本文でも「わずかだが〜違いが出た」としているわけです。
メーカーの言い分としては、それがナノイーの効果だということでしょうけれども、このテストでそれがナノイーの効果だと明らかになったとまで言っては言い過ぎですよね。
もっとも、テストした方の最終評価としては、要約しちゃえば「価格差だけのことはある。製品としてはお得だという手応えがあった」ということですから、この機種はよい製品なのでしょう。「このライターは、この機種をよい製品だと評価した」、それ以上ともそれ以下とも言えないのではありませんか?
いろんな意味で味わい深くも悩ましい記事ではあります。同価格帯で同時期の製品と比べたのだとすると、「え、まだマイナスイオンを名乗る製品も出してるんだ」ってことですし(調べたら、まだたくさん出てました。新製品もあり)、そうじゃないならまあ、そういうテストかあということですし。
>まあ家電批評monoqlo自体にいい印象を持っていない
ううむ、そうなんだ。他の記事まで精読することはほとんどないので、他のコメントでも「いい加減なところがある」とありましたね。とほほだなあ。
まあ、それでも、ああいう「お買い物情報」のような雑誌でニセ科学関連の記事を露出できるということには、価値を見いだしています。幸い、編集部も掲載の価値を見いだしてくれているようですし、切られるほど不人気というわけでもないようです。ただ、あんまり口やかましくして、それを鬱陶しがられて場を失うのも得策とも思えないので、ほどほどを考えながらやっていきます(^^;;
MONOQLOの検証は、ナノイーモードのオンとオフで、効果に差があることを報告しています(家電批評10月号も同じ)。であれば、オンとオフで何が違うか?→ナノイーが放出されているかいないかが違う→放出されていればツヤ持ちがいい→ナノイーに効果あり、と見るのは、最も自然な推論です。
>たとえば「ナノイーモードのオンとオフ」でなにがコントロールされているのかは、わかりませんよね。
メーカーはニュースリリースや取扱説明書で、オンならナノイーが出て、オフなら出ないと明記しています。それが事実でないならば「不当表示」になるでしょう。亀@渋研Xさんにはメーカーの説明を疑う材料をお持ちなのですか? 材料がないのにいたずらに猜疑心を募らせているとしたら、それは健全な判断ではありません。単なる偏見です。
>ダブルブラインドでもない(ライターはどの製品をどのモードで使っているか、わかったうえで観察している)テストのようです。
だから何でしょうか。ドライヤーの効果は、かけたその時点あるいは翌日には客観的に分かります。医薬品などとは作用のメカニズムがまったく異なるので、ダブルブラインドは必要ありません。自分でやってみるのは構いませんが、もし他者に強制するのであればそれは不当です。
>ナノイーがオフでもマイナスイオンドライヤーよりもよい結果が出ていると判断されたということであれば、比較したマイナスイオンドライヤーとの地力が違う可能性も考えられるでしょう。
MONOQLOでは「ナノイーオン◎、ナノイーオフ○、マイナスイオン△」となってはいますが、文章を読めば、○と△の差はほとんどないことが分かります。家電批評10月号では、ナノイーオフとマイナスイオンの評価が逆転していたことを思い出してください。ナノイーオフなら、マイナスイオンドライヤーと五十歩百歩です。
ちなみにこの手の検証は、非マイナスイオンドライヤーの最上位機種(たとえばEH5402)も対象にすれば、もっと説得力のあるものになります。これまでマイナスイオンドライヤーと非マイナスイオンドライヤーの違いを検証した企画はなかったと記憶します。それが早期に行われていれば、マイナスイオンをめぐるいい加減な言説はとっくになくなっていた可能性があります。
例えば、マイナスイオンSkeptic’s Wikiにあるいい加減な言説。具体的な検証を経ていない憶測にすぎません。
http://sp-file.qee.jp/cgi-bin/wiki/wiki.cgi?page=%A5%DE%A5%A4%A5%CA%A5%B9%A5%A4%A5%AA%A5%F3
>一部のマイナスイオンドライヤーには確かに効果があるようだが、それはドライヤーとしての総合的な性能が良いからであって、必ずしもマイナスイオンのおかげではないようだ。
予想以上に理解や見解に隔たりがあるようですね。どこから何をどう書いたものか、しばし考える時間をいただきます。
ご了承下さい。
>ご覧のみなさまへ
今のところ自分では行き過ぎた表現などはしていないつもりでおりますが、気づいていない不適切な部分があるかもしれません。もしも問題点等にお気づきの方がおいででしたら、どうぞご遠慮なくご指摘下さい。
よろしくお願いいたします。
どうぞじっくりとお考えください。マイナスイオンドライヤーとナノイオンドライヤーが日本国民にどのように受け入れられているかと、パナソニックがナノイー事業をどのように見定めているかを(できればシャープのプラズマクラスターイオン事業と合わせて)よく調べたうえで、客観的に判断していただければいいことです。おそらく、従来からのニセ科学批判の方法論はまったく役に立ちません。
どうしてそんな期待を抱かれたのか理解に苦しみます。新規に調査を行って新しい主張をする予定はありません。ぼくがしようとしているのは、飽くまで「ここで述べた事柄や述べ方について、SSFSさんとぼくの間に存在する溝について整理する」ことだけです。
どこまで遡ればよいのかを考えると気が遠くなりますが、折りをみてなんとかまとめたいと考えています。
詳細な調査をしなくて、安易なメタ話に逃げていては、実態に近づくことはできません。これまでニセ科学批判が行ってきた誤りの原点はすべてそこにあります。MONOQLOを評価できるのは、曲がりなりにも調査をしているからです。
>どこまで遡ればよいのかを考えると気が遠くなりますが、折りをみてなんとかまとめたいと考えています。
ものすごく遡らなければいけないことはお分かりですよね。おそらく、私が最初にこちらにお邪魔した時点まで遡る必要があるでしょう。
繰り返しになりますが、「ここで述べた事柄や述べ方について、SSFSさんとぼくの間に存在する溝について整理する」予定ではおります。SSFSさんが期待するようなものになる保証はできませんが、ご意見があるようでしたら、それをご覧になってからにしていただけると助かります。
あらかじめ申しておきますが、‘きくちくん’流のアプローチでは、マイナスイオン問題には絶対に対応できません。新たなアプローチを模索することを期待します。
日本の行く末を案じます。
新機能が無いからと買わない貧乏人のために、似非を付けないといけなくなる。
ものを買わない貧乏人が悪い。日本のためにカネを落とせ。お上に尽くせ。