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最初のエントリ〈「親がアホ」のツケは子どもに回って当然なのか〉で「そう思うのは、ぼくが法律や世間の常識に疎過ぎるからなのだろうか」と書いた。こと法律に関しては、ほんとにそのようだ。誠に世間知らずで申し訳ない。
最も理解が浅かったのは「学校の規則だとかよりも、ずっと根本的な法理=重要な規範」と書いておきながら、その根本的な法理がなんなのかをわかっていなかった点。だから根拠として示せず、商取引だの何だのを持ち出す愚を犯した。そこで(かどうかわからないけど)ブコメやコメント欄、トラックバックで、教育基本法や児童の権利に関する条約を挙げてくださった方が複数おいでだ。
■手短かに理解したい方にオススメ
上記の点からの論としては、
子どもを守らないものは大人とはいわない(地下生活者の手遊び 2009-03-07)
細かいところまで論を追えていないけれども、大筋では異論はない。特に
親を選んで生まれてくることはできにゃー。本当にどうしようもにゃー親は現実にいくらでもいる。だから、親がDQNだったら、社会でガキを守ろうよ、という話になっているんだにゃ。という点は、ボクが学校に関わり続けている理由の一つでもあリ、強く同意する。
ただ、ぼくの最初のエントリが、単にそういう条約等をうっかり忘れていただけとかいう都合の良い話ではないので、以下に改めて自分の考えを整理してみたい。
■「未成年なら無条件・無制限に保護しろ」という主張ではない
すでに書いたかもしれないが、問題にしているのは「未成年者本人の責任として問うべきでないと思われるケース」だ。ポイントは「親がアホ(非常識とか悪辣とか間違った認識とか)なせいで授業料を調達できない」という場合に、未成年者に責任があるか、ということになる。ぼくは、それは未成年者の責任ではないと考えている。授業料納付に関しては「保護者のアホの責任は保護者に帰すのが筋ではないか」という話。
ただ、apjさんから「責任」という言葉のとらえ方が雑だというようなご指摘は受けている。あれこれ調べて考えたけど、どうも「世間でいうことろの責任」という以上の説明ができない。法的な裏付けなどのある概念ではない。でもまあ、気を取り直して。
単純に言えば「責任追及は責任のあるところに」ということで、これはどんな法律でも基本になっているのではないか。で、そこから導けるのは「責任のないところにシワを寄せてはアカンだろ」という話だ(ただ、この考え方を支える条文などは見つけることができなかった。こんなこと、まともに条文にはしないぐらいの基本なのか、そうじゃないのかはわからなくなってきたところ。法律の条文を読んでいると、未成年者は保護者の従属物みたいだなあと思えて来てしまうのだ)。
上記のような意味では、私企業の経済活動だって原則的には同じだ。その「責任がないはずのシワの寄る先」が「弱者だから、そこに追い込まれる」のであってはなおマズい。特に、代表的な弱者のひとつである「未成年者=次世代」について、彼らの責任ではない部分で責任をおっかぶせるような振る舞いを社会がしていたら、それはその社会の自殺行為であって最もアカンのではないか。だから、構図としては「バカ親を野放しにしちゃマズいよね」とか「公教育に関わる機関がアレじゃまずいんじゃないの?」という話だけではないのだと考えている。
ただ、ここまで普遍化しちゃうと、とくに未成年者と保護者の問題については、今の法律では上記のような「責任追及は責任のあるところに」という構図としてサポートすることは、うまくできなさそうだ、というのが昨夜調べた限りでの感触。ほかの多くの法律は上の理屈に合っていると思うし、ぼくはこうした考え方は、戦後社会が養って来た当然の原理のように考えて来たのだけれども、実は細かいところではそうなっていないということなのかもしれない(もっと違う理由もあるのかもしれない。たとえばぼくの誤解とか)。
そのため、法律上の問題にしても、「これは制度上の不備であって克服されるべきだ」と考えるか、それとも「そんな考え方は、まったく共有されていない」「社会負担の大きさを考えると、そこまで拡大して考えるべきではない」ということになるのかは、意見の相違があることは理解した。でまあ、地下に眠るM氏のエントリへのブックマークのコメントでも「生活信条の問題なのかも」みたいなことを書いたわけだ。
■現行法では「保護者と未成年者は一体」が正解くさい
昨夜以来、ずーっとごそごそして理解できたことは、どうやら現行法はこういう理屈らしいということだ。
- 高校や大学というのは、本人の責任で=本人負担で行くところである。つまり生徒本人が契約の当事者である。
- ただし、未成年者は単独で学校と入学に際して契約することができないので、保護者の同意を得る必要がある。
- 保護者は生徒が責任を果たすように監督する義務がある。
- 怠学・素行不良・授業料を納付しないなどといった事態が起きた場合、それは保護者の監督不行き届きとみなされる。
- 生徒が責任を果たさない場合、出席停止・退学などの形で生徒が責任をとる。
本人負担というよりは保護者と生徒を一体とみなしている、保護者と生徒の間の約束ごとの内容にまでは法律も学校も踏み込まないということなのかもしれない。そうであれば、それこそ「学校は善意の第三者」で、学費が納入されないことについての責任は、契約当事者である生徒本人(あるいは、一体になった生徒と保護者)に帰せばよいということになる。高校生が契約当事者で、支払い義務を負う当人であって、そのお金が元を正せば保護者から出たのだろうが、自分が稼いで貯めたのだろうが、そこは関係しないと考えることができる。現行法ではそういうことになるのかな、というのが今のところのぼくの理解。
もっとも、こういう理屈だと考えるとつじつまが合うというだけのことなので、ちょっと専門家の意見を聞いてみたいところではある(しかし、どういう専門家だろう? 未成年に関する法律の専門家なんていうのが、いるのかしら)。また、高校や大学の先生はどう考えているのかしらんとも思う。督促が保護者に行く以上、学校だって上記のようには考えていないのだと思うのだけど。それとも、単に「実態として保護者が払うことが圧倒的に多いから」というだけで、それ以上の意味はないのかもしれないけど。
たとえばapj氏の下記エントリでの主張は、上記のような理解に基づいているのだと考えると飲み込みやすい。
アホと貧乏は別の話(Archives 2009/03/07)
法も条約も無限のサービスの実現を要求してはいない(Archives 2009/03/07)
しかし、前述の「責任の所在」めいた意識からすると、これはかなり悩ましい。ダメな保護者と言うか悪意のある保護者の類いは、未成年者と一体としてとらえてはマズいと考えている。保護者単独で責任を追及できる必要があるんじゃないのか。
多くの場合、親権者が不在でなければ親権者に代わる保証人(法律用語では法定代理人というようだ)を立てることは困難なようだという問題もある。
極論すれば、不心得な保護者からは親権を奪えばいいという話なのだが、これはまた難しい判断になるだろう(先のエントリで書いた英国のChild Steelerのことが念頭にある)。
■現行法と社会の認識にズレがあるのかもしれない
ただ、多くの人は上記のようなとらえ方をしていないだろう。学費の支払いに関しては、保護者が自分の意志で支払いを請け負い、学校と保護者の間で契約が交わされると考えているのではないだろうか。法律の理解としては、それでは間違っているとしても、なんとなくそう思ってしまっている。
「それは法律を知らないからだよ」でオッケーかというと、これまたよくわからない。現行法の上ではしかたがない成り行きなのかもしれんとは思えても、それでいいとか、ほかの道はないのだとは思えない。
当たり前に過ぎるかもしれないけれども、これまで参照して来た法律は、保護者の悪意(法律用語じゃない方の、ふつうの悪意ね)を前提にしてはいないために、悪徳保護者がいたらバックレ放題みたいなのだ。滅多にないだろうけど「よし、金は払ってやる」と子どもに約束しておいて、「そんな約束は知らん」とシラを切ることもできそうだ。
身内が約束を守らない場合って、法律に訴えることができるのかな。できるとしても、保護者の同意を得ないで未成年者が訴えるなんて、かなり難しいぞ。
もちろん「お前、上の学校行きたいなら好きにしろや。金はあるけど生活費しか出してやらん。学費は自力でなんとかしな」ってこともできる。これは人生観の問題ってことで通るのかもしれない。たぶん通る。これがダメなことだとしても、たぶん道義的に非難することしかできないんじゃないのか。
たぶん、この「人生観」のケースと「金はあるし、いったんは払うと合意したんだけど、払わないで済まそうと目論んでいる」という場合の区別がなかなかできないという点が、現状の法律のネックなんじゃないかとにらんでいる。
どっちの場合も、子どもができることは、バイトでもして金を稼ぎつつ定時制に行くこととか、勉強して奨学金をもらえるようにすることぐらいだろう(親の収入が多いと、奨学金はもらえないかもしれない)。当たり前だが生活保護は受けられない(支援できる親類縁者がいないことが前提なので)。
親権者が不在なら、たとえば親が死んじゃうとか投獄されるとかすれば、別なのだけど。「そんなことしてると、親権剥奪されますよ」なんていうと、「やったー」とかいうバカ親もいるのかなあ。
■即効薬の提案ができなきゃ黙ってるべきという指摘について
「あれこれ言ったって、学校が置かれている苦境は打開されないじゃん」というご指摘はごもっとも。しかし、まずはなにがおかしいのか、今回のケースではどこに尻を持って行くべきなのかが共有されなければ、改善の道だって開けなかろう。
また、以前、やっぱり小学校の教員と話をしていて話題になったのだけど、即効性があってもその場しのぎの方策に頼っちゃうと、問題が温存されて固定してしまうんじゃないか、なんていうことも気になっている。
即効薬とはならないかもしれないが、ケミストの日常さんの卒業証書は誰のもの?をはじめ、あちこちで引用されていた法的措置の話もご紹介しておく。
北海道立学校授業料等の新たな未納対策について
*在校生に対して*「在校中の場合は出席停止・退学」という判断が妥当だとは思わないけれども、強制執行まで視野に入れた自治体もあるということは確認できる。
保護者等に督促、面接、聴聞などの手順を踏んでも支払意思を示さない悪質な場合には、最終的に出席停止・退学処分を実施
*卒業生、退学者等に対して*
授業料等納付通知・支払督促申立て予告書を発しても、支払意思を示さない悪質な場合には、裁判所に支払督促の申立を実施(債務名義取得→強制執行)
というか、在校生の場合に保護者に対する強制執行が出て来ない理由がよくわからない。
また、こうした措置をとるのが、全部学校現場ということになっているのも違和感が強い。別に市教委・県教委にはヒマな職員がゴロゴロしているとまでは言わないし、学校が状況を把握する必要がないとも言わないけれども、なんで頭から尻まで学校の教職員「だけ」が借金取りまがいの仕事に負われなければならないのか、まったく理解できない。
仮に「未払い→督促→未払いの継続→面談→未払いの継続」と事が進むのだとしたら、そこらから先は行政の仕事でいいんじゃないのか。教委へ届け出→財産・収入・勤務先等についての調査→必要&可能なら差し押さえとか、そういう具合に。
余談だが、在校生についての文面は「保護者等に督促、面接、聴聞などの手順を踏んでも」となっている。卒業生や退学者については保護者云々の文言がない。条例等がどうなっていようとも、つまるところ高校生が授業料を支払うという認識ではないということではないか。弱いか。
■ダメ保護者への法的措置は浸透しつつある
給食費の支払い拒否についても改めてググってみた。
横浜市教委、給食費未納者に強制執行 年3000万円未収を改善(日経新聞 2008年9月23日)
同様の事例はあちこちにある。少し古いと報道が見つからなくなるのだが、下記にいくつか引用されている。
未納給食費に係る法的対処(自治体法務の備忘録 07/10/23)
東京都区内だったと思うが、その地域で「給食不払いが生活のノウハウとして一部保護者に共有されていた」という事例も新聞記事で読んだ記憶がある。
給食費にしろ学費にしろ、「いったん払うことに合意した保護者が、子どもに対する保護義務を果たしていない」と考えることができれば、そして、その回収を各学校の責務にするのでなければ、行政による強制執行が可能だということではないだろうか。飛躍があるかな。
一方でこんな調査もあった。
学校給食費を未納している保護者に対する法的措置の実施等に関する調査結果(群馬県 平成19年4月)
「(5) 法的措置を実施しない理由」には「債権債務関係が不明確なため」「法的措置を実施する体制が整っていないため」なども挙げられ、「(6) 法的措置を実施する上での課題」にも「債権債務関係の明確化」「公会計ではないため」「体制の整備」「全県統一的な法的対応の明確化」「支払い能力がありながら、意図的に支払わないという判断基準(法的措置を実施する判断基準)」などが挙げられている。
こうした調査結果を、「自分で取り立てなさい」と学校
ちなみに、上記は市教委を対象とした調査なのだが、これも現場教員まで調査票が回って回答させられたに違いない。副校長かなあ主幹(に当たるような職責の教員)かなあ、などと思うと涙が出る。
うまいこと進めるためには、
- 「保護者のダメさの責任は保護者に帰す」という法律やら社会的合意
- 学校が、もっと簡単に強制執行できる制度的な整備
【学校とか教育とかの最新記事】
私がapjさんのコメント欄で書かせていただいたのは今回の亀@渋研Xさんの記事と同じ趣旨で書いたつもりでした。
文章力が足らず、直ぐに「訴えてやる」で解決しろと読まれているみたいなのは残念です。
私の意見も亀@渋研Xさんの結論とほぼ同じです。
>即効性があってもその場しのぎの方策に頼っちゃうと、問題が温存されて固定してしまうんじゃないか、なんていうことも気になっている。
  まさにこれが問題なのだと思います。
>「保護者のダメさの責任は保護者に帰す」という法律やら社会的合意
これについては、児童の保護をタテにして学校に何かを要求するというのが筋違いであるということをはっきりさせるしかないでしょう。
義務教育が終わった後については、各家庭で多用な教育方針を持って良いことになっているので、高校に行かさないとか途中でやめさせるという親が居た場合、それを虐待だといえるかどうかがかなり微妙だと思います。道義的にはいろいろ非難されるかもしれませんが。かといって、「子どもが望む通りに親は教育費を出さなければならない」というのを強制するというのも無理でしょうし。
親の方針(授業料出さない)を書面で取った上で、授業料分の金額の奨学金を生徒単独で申請できるようにする、といった形でいけるといいんですが。保証人がネックなら、そちらをなくすかわりに本人の信用情報が追跡できるようにしておくという解もあるかも。
現場の裁量で何とかしようとすると、それ自体が違法だったり、解決すべき方向に話が行かなかったり、問題自体が解決されないままになったりしそうですし。
>学校が、もっと簡単に強制執行できる制度的な整備
これは、もっとがっつり契約社会に移行するしかないですよね。
公立高校の授業料は……契約相手が学校なのか地方自治体なのかで、誰が取り立てるかが変わってきそうです。公立高校は法人格を持ってなさそうですから、契約相手は自治体でしょうかね。
給食費だと、提供元と親が直接契約するのなら取り立て役は提供元であって、学校ではないし。
誰相手の契約かをはっきりさせ、契約相手がきちんと法的に取り立てる、学校に余計な負担をかけない、ということが必要なのではないかと。
第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
があって、
第八百二十四条 親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。
があるから、法定代理人には親権者がなるしかないです。
昨日あたりから、授業料免除や奨学金の申請を、法定代理人無しでできることにしたらどうか、と考えたのですが、免除は5条但し書以下にあてはまるのでOKでしょうけど、奨学金は難しいかもしれません。
○親に経済力が無いから支払いできず、別の何かの理由で免除申請にも同意しないケースを救済するためには、未成年者が単独で授業料免除申請ができれば解決。そもそも免除に限っては、最初から生徒が単独で申請できる制度にしておいても問題は無さそう。
○親に経済力があって支払を拒否する場合はきっちり請求して強制執行する方向で対処。
最初から「高校なんか行かなくてええ」という親は……対処のしようがなさそうな。高校義務教育ではないし「ウチの教育方針」と言い張られた場合、社会が強制的に何かしてもいいかというと、ちょっと問題有りな気が。
私も「各家庭で多用な教育方針を持って」いる場合は虐待に当たるとは基本的に考えていません。
それと私が虐待にこだわっているように見えるのは
>授業料免除や奨学金の申請を、法定代理人無しでできることにしたらどうか<
の場合に法定代理人(ダメ親権者)抜きで未成年者のための手続きをする方法として虐待と認定すれば可能ではないかと考えたからです。
なるほど、虐待とおっしゃっている意味がわかりました。
すると、
親の意に反して子どもが高校に行くために、親権を停止させることが妥当か(親権停止の理由になるか)
が本当に超えるべきハードルということになりますね。
>エントリ記事「授業料納付に関しては「保護者のアホの責任は保護者に帰すのが筋ではないか」という話」
これを実現するのが、現実的には非常に難しいように感じるのが、今回の問題がそもそも生じた根っこにあるのかも知れないなぁ……とか。根拠のないカンですけど。ただ、今回のような件に対してどんな対応をすれば「子どもが不利益をこうむらないように」なるのか、今日実際に機能している社会システムに精通しているわけでないので、ちょっと悩んでしまいます。
エントリ記事では、法律上「保護者と未成年者は一体」らしいと述べていますけど、もっと悩ましい事に、生活上も「保護者と未成年者は一体」なわけですよ。自活できるまで、その子はその保護者のもとで過ごさなければならないという事ですね。
たとえば、エントリ記事では「在学中に親が強制執行されたら、子どもが学校にいづらいだろう」と書かれていますが、現場の人間でそう考える人は少ない気がします。むしろ「在学中に親が強制執行されたら、子どもが家にいづらいだろう」と考えるのではないかなぁ。強制執行を検討されるような保護者ならば、強制執行が実行された事によって子どもへの対応がどう変わるだろうか……という事くらいは、現場の人間ならばどうしたって考えざるをえませんよね。だからと言って、その家庭の状況を逐次追跡・監視していくのにも限界があるわけです。
というか、そもそも、強制執行を検討されるような保護者の影響から、どのように子どもをまもるか――という発想に現場はとらわれすぎているのかも知れません。だからギリギリまで子どもは学校に通わせる(結果、出席停止措置は発動できず「卒業証書を渡せません」通知になってしまう)という事になってしまったのかも……かなり妄想ですけど。
以前、このブログのエントリ記事「学校教育になにを期待するか」(↓)
http://shibuken.seesaa.net/article/87906746.html
へ書いたコメントを思い出しました。
-----【以下引用】---------------
あくまで私の経験談なんで、一般的に言える事なのかどうかは分かりませんが、あまりに家庭の教育状況がひどい場合や、子どもの問題の性質が家庭環境に起因するものと思わざるを得ない場合など、むしろ退学や停学にしたほうが子どものためにならない──という判断から、結果的に学校で抱え込んでしまうような状態になってしまう場合も実際にあったりします。
教員の「子どもよりも親の教育をしたいよね」という笑い話というか愚痴というか、そんな話は、教員のブログをいくつかウォッチした事のある方なら、一度くらいは目にすると思いますけど、そんな時にどうすればいいんだろ──というのは、ちょっと悩ましかったりします。
-----【引用終了】---------------
どうするのが、どういう法整備をするのが、どういう社会的合意ができるのが、本当に子どものためになるのか――考えれば考えるほど難しい問題に感じます。
>ハードル
ですので”中途退学”だとか親権者との続柄などわかり易い部分で考えましたが、実際に虐待と認定されるレベルでない限り難しいでしょうね。
いくつか説明不足でしたが、まず当然ですが刑事裁判と今回の話の民事の支払い請求訴訟とは本質的に別の物です。
今回の場合も契約者である生徒や保護者にも前科が付くわけでもなく、単なる契約内容の適正な実行が最悪の場合強制的に執行出来る事を確認するだけの事です。
それと少額訴訟の場合でも、その場で全額用意できないと家財を差し押さえるとかいった乱暴な物ではなく、後払いや分割も含めた支払い方法を話し合いで決める事は普通に認められています。生徒自身が卒業後にでも自分で分割払いをする事にしても問題は無いはずです。
強制執行や訴訟自体が行われる日時にしても、良いかどうかは別にして卒業式の翌日にでもすれば在校生を必要以上に傷つける事や中途退学や出席停止を避けるのは可能でしょう。
まず、根本的に今回の”授業料支払い拒否ゴネ保護者”は金額自体が少額訴訟の限度額60万円を下回っている場合がほとんどで(〜20万が中心か?)想定している保護者が支払い可能である事が前提なので「法的手段に訴えると」と伝えただけで支払うか、支払い不可能なプライド保護者の場合も渋々でも手続きに応じるはずです。
手順としては 督促→最後通告→訴状→訴訟→強制執行 となるはずなので保護者が折れるチャンスは何回もあるわけです。
個人的には強制執行まで行く事は「虐待退学」よりも少ないぐらいだと考えます。
強制執行になった場合でも、普通は給与(全額ではない)や銀行口座などが差し押さえられるので、元々支払い能力がある場合は大した事にはなりません。
法的手段は生徒に教育的配慮をしつつ充分回収できる、公正で割と良い方法だと思いますが。
なにぶん素人なので間違いがありましたら御指摘ください。
亀@渋研Xさん、許可も得ず長々と書いて申し訳ございません。
(蛇足ですが寧ろ矛盾なのは納入義務者が生徒ならば原則アルバイト禁止などという校則を決めても良い物かと)