「んー、どこ? 金星じゃないの?」
「金星より明るいし! 方角も違うし! ゆっくり動いてるし!」
「むー。確かに。なんだろ。飛行機かな人工衛星かな」
今月からは、ISS(国際宇宙ステーション)も検討材料に加えないといけないかも。
夜空で一番明るい星は? もう金星ではありません(Technobahn 2009/3/10)
びっくりですよね。
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UFOのおおかたは、自然現象やありふれた現象の見間違いだと考えられています。
代表的なものが金星などのひときわ明るい天体や飛行機(鳥も見間違えられやすいんだったかな。さすがにそれはなかったかな)。特に金星は、ぼくらがふつうに思い描いている「夜空の星」よりも、ずっと明るく大きく見える、だから意外なほど誤認報告が多い、なんて言いますね(ぼくは金星も報告も、ちゃんと確かめたことがない)。
金星や飛行機、人工衛星ならよく知っている人でも、ISSは知らないかもしれない。ISSの存在を知っている人でもISSがどう見えるかはまだあまり知らない。そのうちには夜空のISSにも慣れるかなとも思うんだけど、今だって飛行機を見間違えるわけでしょ? いや、それどころか金星なんか人類が始まる前からずっとあるわけだろうし。
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金星や飛行機の例からわかることは、拍子抜けするほどありきたりなものでも、「いつ、どこに、どういうふうに見えるか」を知らないと、ぼくらは「なにか特別なもの」だと思ってしまうということです。ましてや、よく知らないものを見ると「自分の驚き加減に見合った異常事態」を探しがちなのかもしれませんね。
「あんなふうに飛ぶもの、オレは知らないよ!」
「ふうん、飛んでるものみんな見分けがつくのか」
自分は出くわしたことがないけど世間にはいくらでもあるもの、ってのがあるわけですね。雲に映ったヘッドライト、人工衛星、気球なんてのは、そういう仲間と言っていいでしょう。どんなふうに見えるか、知ってますか? ぼくは知りません。
ありふれているとは言えないけど、ミサイルや砲弾なんかも、なんとなく想像がつくような気がしている。湾岸戦争のときの映像や、戦争映画をちょっと思い出す。あれは増感フィルムかなんかだったっけ? まあ、「ナゾの飛行物体」の正体としては、異星からのお客やタイムマシンよりは、誤射されたミサイルとかの方が、まだありそうな気はします。
世の中には火球とか球電、プラズマ(^^)なんてのもあるらしく、その辺になると、ぼくはどういう現象なのかさえ理解できていませんし、出くわす確率もわからない。UFO話が好きな人は、放物線を描いたり直線的に飛ぶものの場合は、まず「ああいう飛び方ならあり得ないとは言えない。だからいわゆる『未知の飛行物体』の類いではないんだろう」「逆に言うと、あり得ない飛び方のものを見たら、『未知の飛行物体』の可能性が高い」と考えたりするんだけど、それも乱暴ってば乱暴なのかもしれないですね。だって、それが本当に飛んでいるものかどうかもわからんわけだから(飛んでるように見えただけ、ってことね。雲に映ったヘッドライトが典型かな)。
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このエントリでの最初の話題、ISSの件は、JAXAのサイトによると、今のところ夜空でのISSの明るさは金星(-4等級)と木星(-2等級)の次の明るさ(-1等星ぐらい)だということです。Technobahnの話と違いますね。
国際宇宙ステーションを肉眼で見よう - 国際宇宙ステーションの探し方と注意事項(JAXA 国際宇宙ステーションを見ようの一部)
また〈光の点が飛行機のようにすーっと移動していくイメージ〉〈飛行機の場合は点滅したり、赤や青のランプを持ちますので区別は付くと思います〉という話も出てきます。ですから、UFOと誤認することは少ないのかもしれない。流れ星に見えたら、さすがにUFOとは思わなそう(でも、願い事を3回となえちゃったりして)。なにしろまだ実際に見てないから、なんともわかりませんが(^^;;
Technobahnの記事は、こういう明るさの順位が今月を境に変わる、ということなのかな。少し調べたぐらいではわからなかったのでありました。
わからんことばっかりだ(^◇^;)
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あれこれ挙げて行くと、それなりに知ってるつもりだけど実は知らないもの、よくわかってないことを知っているもの、ぜんぜんわからないもの、がある。どれもこれも不意に出くわしたら「あっ、UFOだ!」となりそうなわけだ。
先のエントリで、「宇宙の広さ」「スケール感の違い」に改めて驚いたりしましたが、それも実感をともなって理解はしていなかったから、という部分もあるのでしょう。
おそらく、いろいろなことが、それぞれの知識や体験から「自明に前提のひとつ」とされているかと思えば、まったく抜け落ちていたりもするのでしょう。素人議論の限界でもありますし、情報共有によって議論の精度を高められる可能性でもある。
てことは、わからないものはわからないとしておくことの重要性って大きいんですねえ。その人の誠実さという以上に、社会の安全弁でもあるのね、とも思う(飛躍したかな?)。昔の人が「怪力乱神を語らず」って言ったのは、そういうことも含んでるのかな。もっとも、必ずしも「わからなきゃ語るべきでない」ということではないんだと思うけど。ちゃんと留保付きで語ればいいんじゃないのかな。
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わら人形論法の話なんかを思い出しても、気をつけていてもとんでもない間違いってのはしでかしやすいんだろうなあ、なんて思います。憂鬱。
誠実な論考というものを考えて憂鬱になったときは、ここら辺を読んで寝ると元気が出て良さそうです。
懐疑論者の雑談 > 馬場秀和氏の創作与太話(懐疑論者の祈り)
馬場さん、たいへん素敵です(笑)
太陽、月に次いで全天三番目の明るさの天体になるって話を、あらかじめ教えてもらってよかったと思います。予備知識の無い状態で、最大光輝の金星をしのぐ明るさ(と解釈しました)の天体がすーっと動いていったら、やっぱりびっくりするでしょうから。(^_^;)
たぶん、代表性バイアスの一種で合ってると思います。
http://asios-blog.seesaa.net/article/114913915.html
「夜空で一番明るい星は? もう金星ではありません」
にどうも違和感を覚えます。
「君の言うところの夜空の星ってなんやねん?」
と思ってしまうわけですね。
ISSを☆扱いするのは人工「衛星」だから?
じゃあどうして「天然」衛星の「月」は除外?
月は偉大すぎるので殿堂入りということなのか。
>にどうも違和感を覚えます。
一票。全天三番目とかコメントしたのはそういう理由です。
一位 太陽(最も近い恒星)
二位 月(地球の天然衛星)
三位 工事後のISS(人工衛星)
四位 金星(惑星)
:-p