2009年03月28日

「科学者にも怖いものはある」最終回

きくちくんの「科学者にも怖いものはある」が最終回を迎えた。

最終回 最後は折り合いをつける(webちくま「科学者にも怖いものはある」菊池誠 09.3.27)

第一回の「君と僕のリアル」は08.4.11だった。1年間の連載だったわけだ。もう1年経ったのね。歳とると、1年って早いねえ……。ちなみに、関係者が疲れたとか人気がなくなったとかではなくて、最初から1年間の予定だったのです。早く感じると言っても楽なわけではなくて、むしろあっという間に次の〆切が来るわけで、きくちくんも水玉画伯も担当者さんも、本当に1年間おつかれさまでした。

「ニセ科学」なんて言葉は、知らない人の方が圧倒的に多いわけで、そういう意味では問題の所在さえ知らない人にもけっこう取っ付きやすく、それなりに「どんな話」なのかという概要を知ってもらえる文章群になったのでは、と思う。ツェッペリンから入るのが本当にいいのかとかいう人もいるだろうけど、いいんです。



最終回のタイトルは「最後は折り合いをつける」なのだけれども、文中でも触れられているように、最初から最後まで「折り合いをつけることについて」書かれていたようなものでもある。連載で触れて来たテーマをいくつか挙げた上で、
その全体をさらにひとつの言葉で強引にまとめてしまうとしたら、「折り合い」なんていうのがふさわしいのかなあ、という気もする。折り合いをつけるとかつけられないとか、そういう話を書いてきたといったら、なるほどと思ってもらえるだろうか。
 たとえば、「個人的体験」については手を替え品を替え、何度か書いてきた。個人の体験はその人にとっては事実だからだいじにしたほうがいいけど、それだけでは客観的事実じゃないという話。それに自分の中で折り合いをつけられるかどうか、だよね。

と言うわけ。

「慌てて折り合いをつけちゃうからニセ科学になっちゃう」とか「科学は人間と折り合いの悪いものだ」とかいう言い方もできるんだろうと思う。別にニセ科学にさえ限らなくて、歴史認識だって、事実認定だって、教育についてだって同じようなことは言える。自分がどうあって欲しいと考えているかとか、何かについてこれまでどういうものだと願って来たかということと、実のところはどういうものかということとは、当たり前だけど関係がない。きくちくんの言葉を借りれば「身もふたもない」ことに。その折り合いが、なかなかつかないよねとか、うまくつけようねとか、そういう話。やっかいな生き物だよね、ニンゲンって。


ところで、ちょろっと予告編めいたことも書かれていた。
 もちろん、それなら本当は科学とニセ科学の現状や考えかたをきちんとまとめた「ニセ科学入門」を書くべきだし、実際書いてはいるんだけど、ゆっくりとしか進んでいないんだよね。いろいろ考えすぎかもしれないですけど。もっと軽く書けるといいなあとは思うものの、これだけ文章を書いてきて、いまだに遅筆なのだから、これはもうしょうがないのかもしれない。今書いてるこの文章だって、四苦八苦。と、それはさておき、とにかくそういう「ニセ科学入門」は遠からず必ず書きます。
これはWebちくま以前から聞いていたことのような気がするので、知ってる人は「まだそこか」なのかもしれない。

まあ、「入門」も「ニセ科学」もややこしくて手こずるのですよ。「初歩的な部分なら、さらっと書けるんじゃないの」と言う人もいるかもしれないけど、過不足のないようにとか、一応の主要な話題は網羅的にとか、まったくの門外漢にもわかるようにとか考えると、入門書というのはほんと難物。

ぼくも、これまで何度も『○○入門』的なものの編集を担当したけれど、いざ書き手の側に回ろうとしたら、3年ぐらいかかって結局ものにできなかったという経験もした。ニセ科学は関係なく、自分たちがやってることの一部をまとめるはずだったんだけど、それでもこのていたらく。何度か仕切り直しをしたのに、ついにまとめられず、シリーズ物の予定だったので別の巻から始めることにした。が、2冊で力つきてポシャった。そういう経験。その節は関係者のみなさまに、ほんとにご迷惑をおかけしました。

『入門書』は、それなりに功成り名を遂げた人が手を染めるものだという意見もあって、やっぱそれがいいのかもしれない、なんて思いましたよ、そのときは。いや、実際にはぼくが凡庸でだらしないだけだし、もちろん、きくちくんまでそうだと言うつもりは全くないんだけど、まあ大変なのであります。


そんなわけで、とにもかくにも一仕事終えたところに申し訳ないのだけど、おまけに来月あたり渋研単行本の件でまたきくちくんの力を借りちゃうつもりだったりもするのだけど、きくちくんの健闘を、ついつい何かに祈りたくもなってしまうのだった。うひー、ごめんよう。

さて、ぼくはぼくで、あれこれ溜まっているもの(このブログでさえも、書くと言ったことや書きかけていることが、あれこれと・汗)を、どんどん切り崩して行かないといけないのだった。お待たせしている皆様、すいませんすいません、うひー(><)
posted by 亀@渋研X at 02:22 | Comment(0) | TrackBack(1) | 渋研X的日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする はてなブックマーク - 「科学者にも怖いものはある」最終回
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神秘を感じる
Excerpt: 亀@渋研Xさんの「科学者にも怖いものはある」最終回と云うエントリ経由で、菊池誠のwebちくまにおける連載「科学者にも怖いものはある」の最終回、最後は折り合いをつけるが掲載されたことを知る(なんかハイパ..
Weblog: Chromeplated Rat
Tracked: 2009-03-29 08:47
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