とりあえず作ってみた(Archives 2009/05/04)
http://www.cml-office.org/archive/?logid=359
ニセ科学まとめ — Y.Amo(apj) Lab
http://www.cm.kj.yamagata-u.ac.jp/lab/pseudoscience/ps-comments
「まだ制作中」とのことですが、読んでいくと頭が整理される部分が多々。ありがとうございます。
で、重箱の隅というか老婆心が刺激されてしまったところがあったので、ちょっとその話など。
〈「ニセ科学批判」とは何か〉のなかの、〈4.「ニセ科学批判」という括りを必要としたのは誰か〉から、〈7.生じている混乱〉あたりの話題についてです。端的には
「ニセ科学批判」という括りを必要としたのは、メタな「ニセ科学批判批判」の議論ををしようとした人達である。
「ニセ科学批判」という括りを必要としたのは誰か
という部分。
注意深く読めば「必要とした」なので、その語彙を生んだと言っているわけではないとわかるんですが、うっかり者は「批判批判が生んだ言葉ではないぞ」「責任をなすりつけおって」などと言い出しかねないかな、などと危惧してしまいました。
「ニセ科学批判」という言葉そのものは、それなりに早い段階で「なにをしているのかを端的に伝えるための自己紹介」のような文脈でも使われることがあったと理解しています。というか、2005年にそういう文脈でぼく自身が「『ニセ科学』批判」という表現を使っています。併せてその他の例も紹介します(これ以前の例は、まだ見つけられていません)。
出発点(PSJ渋谷研究所X 2005年05月25日)
http://shibuken.seesaa.net/article/4455160.html
>お題は月々変わるけれども、基本コンセプトは「ニセ科学」批判。
伊庭 ― May 31, 2005 @14:25:43
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1116994204#CID1117517143
>ニセ科学批判の範囲を限定したほうがよい,といっています.
きくち October 3, 2005 @19:54:32
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1127866706#CID1128336872
>やはり一般の科学者にとってニセ科学批判は
AERAに『水からの伝言』の批判記事(2005.11.28)
http://www.nobuotakahashi.com/regelation/2005/11/aera_015b.html
>ブログでニセ科学批判を続けている大阪大学の菊池誠さん
「ニセ科学」シンポジウム(物理学会) 2005/11/30
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1133343027
>物理学者が社会とかかわっていくありかたのひとつとして「ニセ科学批判」の問題を議論します。
実際には2007年頃から起きている「ニセ科学批判批判」の方々が使い始めてから浸透したかもしれません。また、誰が使い始めた言葉かは重要ではなさそうにも思います。「ニセ科学やその蔓延を問題にしている」といった文脈が一方にありさえすれば、誰でも「ニセ科学批判」という語彙をこしらえそうなものですから。
自己紹介のような文脈でも、「○○や△△、□□など、ニセ科学と呼ばれるものを批判する」という話を短くまとめて「ニセ科学批判」とやっちゃうことは、前述のようにあったわけだけど、語彙としてはさほどポピュラーではなかったのではないか,とも思います。たとえばぼくのブログでは、次に出てくるのは2007年なんです。
消費されないニセ科学批判(PSJ渋谷研究所X 2007-01-11)
http://shibuken.seesaa.net/article/31216053.html
これ以降はちょくちょく出てくるけれど、「ニセ科学問題」という表現も08年半ばまでは同じぐらいの頻度で出てくる。
ちなみに,うちのブログのエントリ数は年によってバラバラです。
05年 34
06年 27
07年 193
08年 271
09年 52
エントリ数が増えると出てくる、という解釈も可能かも(^^;;
あまり意味はないかもしれないけど、うちのエントリで「ニセ科学問題」「ニセ科学批判」という用語がエントリ中で使われているケースを全部並べてみます。
【ニセ科学問題】
2007-01-16 実のところ「ニセ科学問題」とはなにが問題なのか
2007-05-15 気づかなんだ
2007-05-19 ICU「科学史フォーラム:ニセ科学問題」
2007-08-27 私にとってのニセ科学問題
2007-09-05 仕事とニセ科学
2007-12-04 「ニセ科学と似て非なるものがあり得る」という主張
2007-12-19 【種】〈ICU「科学史フォーラム:ニセ科学問題」〉のプレゼン画面
2008-01-12 実用としての「ニセ科学の見分け方」3
2008-02-11 【種】書く前に調べる
2008-07-25 通り魔事件2:なんで増えた?
【ニセ科学批判】
2007-01-11 消費されないニセ科学批判
2007-03-10 メモ:区別がつきにくいかもしれないあれこれ
2007-05-05 「牛乳神話」神話7■「批判」に..
2007-05-05 水道橋+宮崎+唐沢+ニセ科学
2007-07-31 2つの「正しさ」とニセ科学
2007-12-23 【種】ニセ科学に関連する解説サイト
2008-01-12 実用としての「ニセ科学の見分け方」3
2008-02-11 【種】書く前に調べる
2008-02-11 【種】ニセ科学批判のFAQ
2008-02-11 【種】科学知らずがニセ科学商品を見抜く法
2008-02-13 FAQのインタフェイスにマトリクスを(黒猫亭さんの提案)
2008-06-06 ニセ科学批判や懐疑主義の元になった体験
2008-09-06 【種】超常信念
2008-11-24 謝罪と撤回
2008-11-30 「正しさ」について語ることと単純化すること
2009-01-22 【FAQ】「ニセ科学=効果なし」とは言えない【追記あり】
2009-01-25 【FAQ】ニセ科学はなくならない:バクスター効果を例に
どっちも05年から06年にかけては出てきていません。kikulogではそうじゃなくて、06年でもそこそこ出てくるだろうなあと思います。調べてないけど。ベタな話ばっかりしてるときには出てきにくい用語であり、メタな話ってうちのブログではあまりしてきていなかった、ということかもしれません。
ところで、「科学でない」の判定について、
http://www.cm.kj.yamagata-u.ac.jp/lab/pseudoscience/ps-comments/guideline-tentative
というものを書いてみました。
科学哲学の問題にされてしまうといろいろ使いづらいので、それならいっそ事細かに「科学でない」を判定するとはどういうことなのかを決めてしまった方がすっきりするかと思いまして……。
新しい記事、こちらでも早めにエントリに採り上げたいと思います。