2009年05月07日

【種】ニセ科学判定ガイドライン試案

apjさんによる、ニセ科学か否かを判定するためのガイドライン(試案)が公開された。

ニセ科学判定ガイドライン試案(Y.Amo(apj) Lab)

内容に関する議論は、関連エントリの方へ誘導されている。

ニセ科学判定ガイドライン試案(Archives 2009/05/06)

ブログのエントリの方で、目的についてこう述べておられる。
 「ニセ科学」を問題とする立場から、ある程度具体的な判定基準を決めることを試みたのは、「科学である」「科学でない」というstatementに対し、科学哲学の議論が行われることで、実際の判定に使いづらいものが出てくることを防止したいという目的による。
科学哲学的な議論の必要性・有用性はともかく、これは方向としては理解できるし、ぼくのような者には助かる(ここで言う「ぼくのような者」というのは、無学な者というか血の巡りの悪い者。この問題を生活実用レベルで考えたい者でもある)。

すでにTAKESANさんが関連エントリを挙げておられる。

メモ:ガイドライン試案を見る(Interdisciplinary 2009年5月 7日)

たぶん、TAKESANさんがやっておいでのように、いろいろな「ニセ科学っぽいもの」に当てはめてみることで、うまく機能するかどうかの検証もでき、より実用的になっていくだろう。近日中に(うまく地獄を脱したら)挑戦してみたい。みなさまも、いろいろとお試しあれ。



ところで、前述のような目的を掲げると、おそらく「科学とはなんぞやという問題を避けて通ろうとするならば、ニセ科学判定自体がニセ科学に堕すであろう」とかなんとか、そういった反応もあるだろうことは想像できる(こういうことを書くと、逃げを打っている、みっともないとかね)。

しかし、あるものが科学というモノサシ((C)黒影さん)に合致するか(測れるか)といった類いの検討と、そのモノサシにどんな意味があるのか、別のモノサシ(「別の原理によるモノサシ」とか「もっと有効なモノサシ」とか)はないのか、という検討は、同時に行うのは難しい。

これは、ある事柄について考えるときに、それが法的にみてどうか(適法・合法・違法のいずれか)という検討と、それ以外の論点を切り分けることにも似ている。法的な面だけでなく、倫理的・道徳的にどうかとか、社会通念と照らしてどうか、自分の美学・行動指針に照らしてどうか、そしてその法律が上位の法概念や社会通念と照らし合わせたときにどうか……といった複数の問題が生じることは珍しくない(法律じゃなくて、仕事でもそうだよなあ)。基本的にはそれぞれについて切り分けて考える必要があるだろう。その種の問題の扱いに慣れている者はともかく、不慣れな者は問題を同時に検討しようとすると切り分けられずに混乱する。同時に検討してはならないわけではないが、論点ごとに切り分けて検討したほうが混乱しにくい。それと同じことだ。

「ニセ科学全般についての専門家」などというものは、いまのところ存在しないし、おそらくこれからも存在しない可能性が高い。であれば、別々に検討した方がよさそうなことは別々に検討できるように準備を整えて行くことは、十分に有意義だろう。

いまはとりあえずの(と言っては失礼かもしれないが)実用的尺度として、apjさんが提案してくれたモノサシを使ってみて、その精度や使い心地を確認してみよう。


余談めくが、実はこうした構図は「『○○を信じているんですか? あれはニセ科学(オカルト)だと言われていますよ』といった指摘をどういうふうに進めればいいのか」なんていう話とだって、瓜二つだ。それがニセ科学だのオカルトだのであるか(あるいは、どの程度の確かさがあるものであるか)ということと、その人の人生(あるいは立場)にとってどのような意味があるのか=その人はなにを必要としているのか、社会(公序良俗)とどのように切り結ぶか、またそれをほかの誰かに勧めても差し支えないか等々といったことは、それぞれ別々の事柄だ。

それぞれは密接に結びついているし、できごととしても連続している。けれども、それでも別々に検討しないとぼくのような凡人には荷が重い。別々にしても、荷の重さを実感するだけだったりもする。それでもまあ、ひとまとめに考えるよりは、どういう問題かを把握しやすくなるだけでもマシというものだ。

であれば、いろんな事柄について「切り分けて考える」ための格好の練習にもなりそうだ。


というわけで、科学哲学や信仰など別の観点から関心がおありの方も、こうした検討をベースにして、あれこれ考えてみることもできるのではないだろうか。なんだか幼稚なたとえしか思いつかないが、たとえば「ある主張が科学的か否かといった検討は、どのような場面において、どのような意味があり得るか」「ほかの検討方法はないか、それを比較するとどうか」などといった問題設定をしてみたり、「どのような人にとって、どのような問題についてであれば適用可能か(あるいは適用が無意味か)」「○○といった限界をどうやって回避できるか」とかなんとか。そんな検討を加えてみてくれたらうれしい。

これば別に「邪魔すんな」とか「ちゃんとやれ」とかいう話ではない。そうじゃなくて、それはきっと、なぜ現代人がニセ科学やオカルト的なものを必要とするか、必要ではないのだとしても、なぜそこにハマるかといったことについての知見につながるのではないか。そう勝手に期待しているからだ。

なにはともあれ、いろいろな思考実験のベースにもできそうなので、みんなで使い倒して、あちこちで相互にお披露目してみましょう。ぼくも近いうちチャレンジしてみます。
posted by 亀@渋研X at 21:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | ニセ科学対策教材の種 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする はてなブックマーク - 【種】ニセ科学判定ガイドライン試案
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