2009/5/31
コメント欄でご指摘をいただき、「遺伝子検査」について加筆とか修正とか。
というわけで、「自分の地域で感染者が確認されたらできそうなこと、その前後にやっとくとよさそうなこと」をずらずらと書いてみました。家族ができること、周囲ができること。
考えが足りないところなど多々あると思うので、ツッコミならびに情報やアイディアを歓迎。自分がそうなので「子どものいる家庭」についてしか考えられていないし、自宅で仕事なので通勤についても考察できてない。単身者は、とか、いろいろバリエーションもありだと思う。
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インフルエンザ対策って言うよりも、インフルエンザが流行しているんだかなんだかよくわからない状況で休校・休園になっちゃったら、って感じの話です。発症したら所定の手順でとか、予防するにはどうしたら、とか、そういう情報はよそにおまかせ。
今回のA/H1N1がいったん沈静化しても、秋以降に第二波、第三波が来る可能性もあるし、そのときに備える意味でも。もちろん将来H5N1由来のが流行する可能性もあるし。そのとき、まだ社会が学んでいなくて、同じことが起きるかもしれないし。
次はそこだぞ、とか、用心しろって言うのともちょっと違う。
実際どうなのかはともかくとして「すでに感染者はどこにでもいる,次はうちの方かも」と思っていれば、いざ近所で感染例が確認されて「臨時休校だ」とかなんとかなっても、心の準備ができますよね? 「よし、来たな」って言える状況になってると、落ち着いて対処できるじゃないですか。そういう話。
- 休校になったら
- 家族が発症したら
- マスクはどう考えよう
- 子どもの暇つぶし対策
- 小中学生の自宅学習サポート
- お留守番について
- 企業経営者や管理職へのお願い
- 回復したら
- 関係行政やメディアへのお願い
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休校になったら買い物に出る回数を減らそう
急に休校になったら、お子さんを連れて買い物に出たいかもしれない。でも、もしも可能なら、家族を動員したりして回数を減らす工夫をしましょう。
- 今日の晩御飯ぐらいは買い置きでしのぐ
- その間に、明日の買い物をほかの家族にしてもらう(ex.会社帰りのトウチャンとか、大きいお兄ちゃんお姉ちゃんとか)
- そのとき買い置きできるものも買っておいてもらう(インスタント麺とかレトルト食品とか日持ちするもの。高野豆腐なんかも高栄養でいいみたい)
- 宅配サービスなども利用する(スーパーやコンビニ、デパートもデリバリーがあるようですよ)
H5N1が来ちゃったら、2週間の備蓄とかって話もあるけど、今はそこまでは必要ないと思います。「外出を減らせるように」ってぐらいのイメージ。
なんでかって話は末尾の方で。
家族が発症したら全員自宅待機だと考えておこう
子どもたちが発症したら、新型インフルエンザは弱毒とかいうことよりも、インフルエンザは異常行動を起こし得るということを思い起こそう。発熱から数日間はできるだけ目を離さないようにしよう。
家族が発症したら、それが小さい子どもでなくても、全員が自宅待機になる可能性を考えておいた方がいい。外部にうつさないために保健機関や勤務先などからそのように指示されてもおかしくない。
休校期間をしのぐだけなら買い置きやデリバリー頼りの生活は1週間程度かもしれない。でも、家族が発症したら家庭内で次々に発症する可能性がある。全員が寝込んだときでも簡単に食べられるレトルトのおかゆとかスープとか、枕元に置いておけるペットボトルの飲料水とか、そういうものもストックに入れておいた方がいいだろうと思う。
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マスクについて
発症した場合はもちろん、熱が治まっても3日ほどはウイルスをバラまいている。その間は出歩かないのが原則。それでも飲食物を買いに出たりする必要に迫られるかもしれない。そういうときはマスクを忘れずに。万一のための用心で症状がないうちからマスクをするのもよいけれど、こういうときが本来のマスクの出番。
感染者が確認された地域では、あっという間にマスクが払底しているらしい。もしも買い置きがある人は、症状が出たけどマスクをしていない人とか入手できないで困っている人がいたら、少しわけてあげてください。特にお年寄りや赤ちゃん、既往症のあるハイリスク群を,少しでも支えて上げてください。
払底してからマスクを入手するのは難しい。ネット経由で高価なN95マスクは買えそうだけど、一般家庭がそんなものを使うのはバカバカしい。使い捨てタイプが手に入らないときのために、昔懐かしいガーゼマスクの1、2点ぐらいはストックしておくのが現実的かもしれない。頻繁に洗うのは面倒だし、飛沫を飛ばす量を少しでも減らす、何もしないよりもマシ、という発想でしかないけど。また、そのレベルなら、バンダナとかハンカチでもいいのかもしれないけど。
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子どもの暇つぶし対策1
テレビのニュースで、休校になっちゃった子どもの退屈しのぎにDVDのセットをレンタルする人とかを映していたけど、こういうときこそ大河小説的な読み物とかの出番じゃなかろうか。
ハリポタとかかいけつゾロリとか『七時間目』シリーズとか大きな森の小さな家シリーズ(ロー・インガルスの物語ね)とかムーミンとか、子供向けだってシリーズ物はたくさんあるよ。
児童書 ロングセラー20(読み物シリーズ)(出版業界の豆知識 > ベストセラー ジャンル別)
児童書読書日記
図書館で借りてくる手もある。ネットでも買える。
あとゲーム。言われないでもやってそうだけど、うちみたいに「ゲーム機はないもん」という場合は忘れられてそう。でもネットゲームがある。これだと簡単に終わらないし。それでハマっても責任はもてないけど。本ばっかりビデオばっかりよりは、アクセントがいろいろあった方がいいんじゃない?
子どもの暇つぶし対策2
新聞に、小1の例で近所の同級生から泣きながら遊んで〜って電話がかかってきたなんて話が(T^T)。人混みとか密閉空間で長時間ていうんでなければ、何も症状のないうちから、絶対に一歩も外出しちゃいかん、とまで考えることもないと思うんですよ。可能なら、近くの児童公園でちょっと遊ぶとかね、それぐらいで感染リスクは上がらないんじゃないかな、いいんじゃないかなあ、と思うんですけどね。どうでしょうね。
#この辺、うっかり紛れ込んだネタがあったので22:21に削除。
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小中学生の自宅学習サポート
新型インフルエンザの感染例が地域で確認され、学校が休校になった場合、小中学生が下記の学習サービスが無償で利用できるようになりました。いつもは有償なんだけど。
新型インフルエンザによる休校で自宅待機になる小・中学生への学習支援コーナー - Yahoo!学習
提供している株式会社がくげいのニュースリリースは下記。
がくげい、新型インフルエンザによる休校で自宅待機になる小・中学生へ学習支援コーナーを開設 - 学習ソフトのがくげい
対応OSは「Windows Vista, XP, 2000 Macintosh MacOS 10.2〜10.5」とのこと。下記経由で知った。
New! Mac Trouble Hunter ~Macのトラブル解決
サイト運営者の大黒さん、GJ! がくげい、GJ! 「家でじっとしていられない」「勉強が遅れる」などといったことが解決されるわけではないけれど、サポート手段がなにもないよりはずっといいですよね。
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お留守番
どうも働く親へのサポートがほとんどないようです。保育園や小学校(ことに学童保育)がお休みになってしまい、小さな子どもを置いて出勤もならず、さりとてどこにも預けようもなくベビーシッター・サービス等も受けられず……というご家庭はどうしているのだろう。一部の認可保育園などが、指導を振り切って開園しているらしいですが、預けちゃって大丈夫なのかという不安もなきにしも。
上の子がいたって、一緒に留守番すればだいじょうぶなんてことはないと思ってた方がいいと思う。発症してたらもちろんだけど、朝は発症してなくても、仕事から帰って来たら、下の子は高熱で息も絶え絶え、上の子は何も知らずにソファですやすや、なんてことになってたら心臓止まりますよ。上の子だってトラウマになりますよ。
となると、なんとかしてオトナが近くにいるしかない。実家が近くても、親御さんの年齢にもよるし。自力でできそうなことって、近所のママ友さんと交代で預け合いっこぐらいですかねえ……。妊婦だったら自分がハイリスク群……。キビシいなあ。
企業経営者や管理職のみなさま
というわけで。
全国の企業経営者の方々は、休業補償や体制を整えていただきたいと、ほんとに思う。完全にお休みじゃなくても、自宅でも仕事ができるようにするとかって方法だってないよりマシ。自分や家族に発症したらもちろん、そうでなくても感染発生地に在住してたってだけで従業員は上記のような状態になります。すぐに休ませられるようにしておかないと、いざってときに目が回ります。
まだコストを国だの自治体だのにまわす手続きができてないから、なんていう理由で後手に回ると、なんか起きたときに企業バッシングだって起きかねない。って、脅すつもりはないけれど、感染者バッシングや感染者発生校バッシングどころじゃないかもしれないじゃないですか。企業としては、その方が被害甚大になりかねない。
おそらく、ここ数日は感染例が新たに確認された地域では休校が実施されるでしょう。それが全国どこであってもおかしくない、とぼくは思ってます。「関東では相変わらず渡航歴がない患者の検体は、
※遺伝子検査(2009/5/31加筆修正)
ここで遺伝子検査と呼んでいるのは「PCR検査」のこと。被験者から採取したインフルエンザ・ウイルスを培養し、その遺伝子を解析することで、新型インフルエンザ(新A/H1N1)であるかどうかを判定する。
毎日新聞には、検査・診断手順が次のように図解されている。
回復したら
いったん感染して回復したら、もうこのインフルエンザにはかかりません。
そしたら、周囲の感染家庭などのサポートにも回ってあげてください。保育園だけじゃなくて、介護施設なんかも閉まっちゃってて大変みたいです。
もちろん病み上がりにすぐに、じゃないですよ。休んでいた間の遅れを取り戻さないといけないとか、いろいろあるとは思うのだけど、ひとつよろしく。
具体的なサポートはなにもできなくても、口コミ以外に地域のボランティア情報を探す方法を調べておくのもいいですね。社会福祉協議会とかに情報があるとは思うけど、こういうときはそこに限ったものではないと思うし。H5N1のときは、真剣に夜討ち朝駆けでサポートに走り回らなきゃいけないかもしれないし、ぼくらがお世話にならないといけないかもしれない。いろいろ予行演習をしておこう。
関係行政やメディアのみなさま
もっと上記のような話をしてください。具体的に、どう動いたらいいかという話をしてください。手洗いやうがいの話、感染者数の話もいいんだけど、企業や団体に働きかけて、対応策の周知を促してください。
病院勤務の人やライフライン関連企業勤務の人、学校の先生なんか、ぜったいに無理しちゃうはずなんだから! 「あんたがいなくても会社は回る」とか、「従業員のリスク管理や、緊急時の地域への配慮も経営者の仕事」とか、周知してくださいねー。感染を広げるリスクと、休校・休園などでそういう機能を止めるリスクと、その感染症のハザードと、もう一度ちゃんと案配しましょう!
いったんかかって治った人も、そのままだと「自分はもうだいじょうぶ」ってことを忘れちゃうに違いないんだし。
メキシコなんかでは、貧困のために受診しなかったケースが危惧されています。日本では、そういうことのないように「重篤化が懸念される感染症の場合は、医療費免除」とかの対策を考えておいてください。貧困者を守るだけじゃなくて、ハイリスク群を守るためにも、社会の機能を守るためにも。
医療現場の問題もあれこれ指摘されています。診療現場もそうですが、感染症専門家の不足(とくに地方ごとの格差)が指摘されています。せめて大きな病院の医療従事者が、国立感染症研究所での1年間の研修に参加できるぐらいの就労環境を!
そういうことって、行政とメディアが動かなきゃ社会が動かないんだから。
たぶん、すでに医療・行政・メディア関係者は疲弊し切っているでしょう。それでええんかってことも含めて、今回のA/H1N1をちゃんと教訓化する準備を始めてくださいね。
特に、感染者の出た現場に取材に行くメディアの方々にお願い。
「高病原性鳥インフルエンザ感染経路究明チーム報告書の概要について」(PDF)には「移動規制が行われる前に既に報道関係者が初発農場を訪れており、周辺の養鶏農家へも立ち入っていたことも確認されており、これらの人や車両が農場周辺へウイルスを運んだ可能性も否定できない。」と書かれてるからね!(天漢日乗さん情報)
メディアが感染症の媒介(メディア)になんかなるなよ!
情報のハブが感染症のハブになってどうするよ。頼むよ、朋輩。
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ちょっと注釈。
できるだけ子連れで出かけない方がよさそう
当たり前だけど、スーパーとか買い物に連れていくのはやめたほうがいいです。子どもたちが感染していないように見えても、連れ歩かない方がいい。そのためにも、できるだけ上述のような方法でしのぐことをオススメします。
感染例が確認された地域で、風邪ひきっぽい小さなお子さんを連れて買い物をしているお母さんの姿を見たという話もありました。見た人を不安にさせています。疑心暗鬼を誘っています。
感染例が確認された地域とそうでない地域で、どれぐらい感染者の数が違うのかは、正直言ってまったくわからないと思う。高校生に感染例が多い理由は、ひょっとすると「把握されやすいだけ」かもしれない(専門家はそう言ってないけど)。しかし、そういった憶測がどうであれ、感染例が確認された地域では、ほかの地域よりも感染する可能性は高くなっているのではないかしらん。休校が実施されているからだ。つまり、そうした地域では、日中の街中に通常のオトナ+児童生徒学生がうろうろしているに違いない。通勤電車は空いたけど、町は人が多いってことになる。まだ発症してない感染者「かもしれない」彼らを止められるはずの親は、仕事に行ってて不在かもしれない。ウイルスに遭遇する可能性は高まっているんじゃないでしょうか。
子どもが連れて歩ける程度の風邪症状であればインフルエンザ感染を危惧しないという判断は理解できます。「感染しても高熱を発さない例もある」とは言いながら、そういうケースが多いとまではまだ言われていませんし。しかし、風邪で体力が落ちているならば、いまは風邪で済んでいる子をインフルエンザにしちゃう可能性もありますよね。やはり避けた方がよいと思うんですよ。
◆
「感染が確認されてない」ということは、ぜんぜん「感染者がいない」って意味じゃないですよね。検査対象の条件を少し緩和して片端から
「だから政府が悪い」とかいうんじゃないです(だってリソースは限られてる。一方でハイリスク群は守りたいし、感染経路とかもできるだけ把握しておきたい。日本でだって、H5N1とかのときに今回の検疫のデータは絶対役に立つよね。疫学調査って言うんでしょ?)。用心しろって言うんでもありません。
すでに感染者はどこにでもいると思っていれば、いざ近所で感染例が確認されて「臨時休校だ」とかなんとかなっても、心の準備ができますよね? 「よし、来たな」って言える状況になってると、落ち着いて対処できるじゃないですか。そういう話。
まあ、ウィルスだから遺伝子情報しかないけどね。(苦笑)
コメントありがとうございます。
PCR検査の意味で遺伝子検査と書いていました。
PCRだとなんのことだかわからないので。
粗雑だったでしょうか?
http://plus.yomiuri.co.jp/article/words/%EF%BC%B0%EF%BC%A3%EF%BC%B2%E6%A4%9C%E6%9F%BB
http://www.kaimayo.com/tb/0508.html
http://www.wowow.co.jp/drama/regenesis/glossary/glossary_49.html?TB_iframe=true&width=300&height=220
上記なんか見る限りでは、遺伝子検査と言っちゃっても良さそうに思えます。
ひょっとして、単に遺伝子検査と呼ぶと、またなにか違うものと勘違いされる可能性があるとか?
政府の、というか空港のでも各地域のでも、結局は感染研に送られて検査されるのだと思っていたのですが……考えてみると違うのかな。
ううむ。自分がよくわかっていないことに、改めて気づく。
この辺、「区別した方がいいよー」とか、ご存知の方がおいででしたら、ご教示いただけるとうれしいです。
ここらへん、まさに認知科学の話になってしまうのだけど、具体名のほうが誤解しにくいかと。
なるほどです。
その線で修正しましょう。
私は、検査者本人の遺伝子を検査するイメージが浮かんでしまいました。何故かなあ。そういうスキーマがあるみたい...。
ちなみに、ここ良いページですね。
私の趣味的(認知科学、認知心理学と論理療法)にも。
簡易的な迅速キットでの検査でインフルエンザAかBかどっちでもないかをチェックして、Aで要請だったらナニやってカニやって、最後に感染研で検体(ウイルス)の遺伝子をチェックするPCR検査……というような手順らしいんですよ。
なので、単に検査じゃまずいし、ウイルスの検査といえば、ずーっとウイルスの検査だし、もうイヤっ! てな感じです。
ご趣味に合うようで、なによりです。
「論理療法」……はあ、まったく知らない概念でした。Wikipediaの「イラショナル・ビリーフをラショナル・ビリーフに変えて行く」なんて話は、私も好むところです。
今後ともごひいきに。
該当の検査、文章表現が難しいですよね...。