
今回のくだけんのお題はプラセボ。勘違いされていることが多いプラセボとプラセボ効果について、ノセボ(逆プラセボといいましょうか)であるとか広義のプラセボと狭義のプラセボだとかといったところまで含めてまとめてみました。よく聞く「焼け火箸だぞとダマして割り箸を当てるとヤケドする」みたいな話、ありますよね。あの論文もご紹介(海外の論文なので焼け火ばしと割り箸じゃなかったりしますが、たぶんこれが元ネタだと思うんだよなあ)。入れ込みすぎて、ちょっとギャグが足りなかったかも。
記事末尾に「参考」として挙げている「西洋医学と東洋医学の統合」は日本学術会議会長・金澤一郎さんの昨年の講演録です。これがまた入門編としてわかりやすいうえに、無料で読めます。
第59回日本東洋医学会学術総会・特別講演
「洋医学と東洋医学の統合」金澤一郎(日本学術会議会長)
『日本東洋醫學雜誌』vol.59, No.6, 2008
全文がNiiのデータベースにPDFで収録されていて、誰でも読めます。
概要ページ>http://ci.nii.ac.jp/naid/110007028480
PDF>http://ci.nii.ac.jp/lognavi?name=nels&lang=jp&type=pdf&id=ART0008953545
A4で10ページほどの短いモノですが、なかなか盛りだくさんで刺激的。プラセボが現代医療にとってどういう意味があるか、概略がつかめると思います。
具体的には、最初に明治以降の日本での東洋医学の扱いについての概略から入り、次いで東洋医学的観点からオーダーメード医療について、そして3番目にプラセボ効果&二重盲検法(西洋医学の中心になっている考え方、とおっしゃってます)と東洋医学の考え方の関係、4番目にEBM(Evidence Based Medicine、エビデンスに基づく医療)時代の東洋医学、最後に首題の「西洋医学と東洋医学の統合」で締め。
お題だけ見ていると難しげなのですが、日本東洋医学会学術総会・特別講演ということで、西洋医学のお医者さんが東洋医学の人たちにお話をしているわけです。聴衆に馴染みの薄い話なので、噛み砕かれているからボクら門外漢にもわかりやすい。
しかも、3番目のプラセボ効果のところで関連する概念としてハロー効果から語り起こされ、ホーソン効果、ピグマリオン効果と進んでプラセボ効果にたどり着きます。おおまかに全体像がつかめる感じ。
今号のくだけんも金澤先生の講演も、どっちもお得だと思いますです(^^;;
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