ぼくは読売の昨日の朝刊で気づいた(いま家で取っているのがたまたま読売なのだ)。で、末尾で標題の件にちょっとだけ触れられていた。
「あの世を信じる」は第2回調査(58年)の2倍近い38%だった。ギョッとした。「へ? なにそれ? どういうこと?」てなもんである。「イライラする」若者60%超える…国民性調査(読売新聞)
調査方法や世代別のデータを知りたいなあ、と思ってググったら、データはすぐに見つかった。以下にご紹介する(余談ながら、先般来禁煙に挑戦していて、その影響でニコチンの離脱症状から「集中困難」が生じている。そのため細かい考察まではしない。というか、できない。その点、ご容赦を)。
元データは統計数理研究所のサイトですぐに見つかった。
日本人の国民性調査(統計数理研究所)
調査実施の概要
調査対象と調査方法
「日本人の国民性調査」はすべて、20歳以上 (ただし第11次調査以降は20歳以上80歳未満) の男女個人を調査対象とした標本調査です。各回とも層化多段無作為抽出法で2,254〜6,400名の標本を抽出し、個別面接聴取法で実施しています。
なお、「あの世」を“信じる”(#3.5)という人は1958年の20%から50年を経て2008年は38%へと倍増しており、特に20歳代では49%と半数近くが“信じる”としている。
これらの結果は、閉塞した社会状況の中で、人々が新たな精神的充足や心のよりどころを模索していることの現れと言えるかもしれない。
結果のポイント 4 精神的な充足や心のよりどころの模索
サイトでは個々の調査結果も細かく見られるだけでなく、動的に表示を切り替えるようになっていた。ここでは画面ダンプの形で紹介するが、タイトル部分のリンクで元データのページを参照できるようにしておいた。サイトでは「性別」「年齢層別」「市群別」「地方別」でのグラフも表示できて、なかなか便利。
「あの世を信じますか?」全体比較
全体では「信じる」がほぼ倍増し、4割近くなっている。1958年に「信じる」2割、「信じない」6割だったものが、2008年には「信じる」4割近く、「信じない」3割あまりに変化している。「どちらとも言えない」もかなり増加している。
選択肢の「D.K.」は「わからない」の意味のようだ(Q&Aにあった。「質問の意味を理解しなかった」という意味でのDon't Knowだそうだ)。
1958年(世代別回答)
2008年(世代別回答)
ほぼあらゆる世代にわたって「あの世を信じない」が減り、「あの世を信じる」が増えていることがわかる。
1958年の20歳代が、そのままちょうど2008年の「70歳代以上」に該当する集団なので、そこからなにかが読み取れるような気がしないでもない(第11次調査以降は80歳未満に限定されたため)。なんかもったいない。
1958年(市郡・地方別別回答)や2008年(市郡・地方別回答)を見ると、この変化について、都市部か否か、あるいは特定の地域間で大きな違いがあるということはなさそうだ。
#3.5 「あの世」を信じるか
この項目は50年前の1958(第2次)からの復活項目である。今回2008(第12次)は、あの世を「信じる」が38%、「信じない」が33%、「どちらともきめかねる」が23%となっていて、あの世を「信じる」「信じない」は拮抗している。50年前の1958年は、あの世を「信じる」が20%、「信じない」が59%、「どちらともきめかねる」が12%であり、半世紀前と比べると、「信じる」がほぼ倍増、「信じない」がほぼ半減となり、大きな時代的変化が興味を引く。
項目別解説
こうした質問をする場合、回答者が「あの世」にどんなイメージをもっているかは重要なポイントになりそうだ。またそれについては、先立って下記の質問がされていることが参考になるかもしれない。
「信仰や信心を持っていますか?」全体比較
「宗教か科学か」全体比較
#3.1 宗教を信じるか
今回2008(第12次)は「もっている、信じている」が27%、「もっていない、信じていない」が73%である。全体の3割程度が宗教を信じていると答えている。かつて1958(第2次)から1973(第5次)まで「信じている」が35%から25%まで減少していたが、いったん1978(第6次)に 34%へと回復した。しかしその後、微減傾向にもどり、今回の27%に至っている。
#3.6 宗教か科学か
この項目は25年前の1983(第7次)と55年前の1953(第1次)に調査されている。今回2008(第12次)は、「宗教と科学が助け合う」が 49%でもっとも多く約半数、ついで「宗教も科学も否定」が32%、「宗教を否定・科学を肯定」が9%となっている。「宗教と科学が助け合う」は55年前の1953年には63%であったが、25年前の1983年には54%と、減少傾向にある。一方、「宗教も科学も否定」は、53年8%、83年27%となり、増加してきている。
項目別解説
信仰心というか、宗教への信頼心は、むしろ減じているということのようだ。にも関わらず「あの世」を信じるということは……??
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必ずしも「悪い方向へ変化した」とは思わないのだが、それでも驚いたことは確かだ。4割近い人が「あの世」の存在を信じている……どういう意味で「信じている」のかはさておき。
こうした変化が何を意味するのか、いくらでも解釈することは可能だろう。もうしばらくして、頭の霞が取れたら改めて考えてみるかもしれない。しかし、このデータだけから導ける有用な考察がどれほどあり得るのかは……あまり期待しない方がいいのかもしれない。現代日本社会を理解する際の、ひとつの背景として利用する、ということになるのだろうか。
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各紙の報道
- 国民性調査:「仕事外でも上司と付き合いたい」 20、30代で増える - 毎日jp(毎日新聞)
- asahi.com(朝日新聞社):イライラしつつ、心のつながり求め…若者層、意識に変化 - 医療・健康
- 「イライラする」若者60%超える…国民性調査 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
- 一番大切なものは、「家族」、心のよりどころを求める人増加-国民性調査 | 政治・社会ニュース - 財経新聞
- 時事ドットコム:若年層のいらいら、過去最高=不満「選挙で考慮」−日本人の国民性調査・統計数理研
- 貧しくなる57%・自由減る40%、不満は「選挙で」 国民性調査(日経)
- 経済低迷で自信喪失 日本人の国民性調査 (1/2ページ) - MSN産経ニュース
- 日本人意識「貧しくなる」が57% 過去最高、08年国民性調査 - 47NEWS(よんななニュース)=共同通信
宗教のないあの世なら私も生まれ変わっても良いかもと思いたくもなります。
もしあるとすれば「バカは死んでも治らない」ので、
あの世にもバカはたくさんいてウンザリすることも多いのではないかと思います。
だったら死んでも救われないので、生きていたほうが良いなぁ。
あの世がないのなら、美味しいものが食べられなくなってしまうので、
やっぱり生きていたほうが良いです。
還ってきた人が一人もいないもの。
死んだらすべてが無くなる、魂も脳の働きが
原因だから、死んだらすべて無くなる。
若い人があの世を信じるなぞ人類の末期症状かもしれない。
あと、現代の社会の教育の方針を頭から信じる人が減ってきたのではないかと思います。