有機栽培は「栄養的に優れている」事を意味しない(科学ニュースあらかると 2009年07月30日)
オーガニック(有機)食品に栄養的優秀性みとめず(内科開業医のお勉強日記 2009-07-30)
国内の報道はこれぐらいかな?
「有機」に健康効果なし=一般食品と栄養変わらず−英調査(時事 2009/07/30)
で、これらを見て、ぼくは「???」となっていたのだ。
だって、有機栽培って農薬や化学肥料を使わない(あるいは定められた基準に従って、わずかしか使わない)ということじゃなかったっけ? それって、安全性というならともかくとして、栄養価に影響を与えそうな話ではないですよね?(実際問題としては、安全性の面でだって問題があるなら流通させてられないはずなんで、気にするほどのリスクの差はないと思うけど。昔はともかく)
で、さっき、このエントリを読んで、ようやく少しわかったような。
[FSA]オーガニックについてのレビュー発表(食品安全情報blog 2009-07-30)
有機栽培でもふつうの栽培でも安全面では同等という話がすでにあって、それに対する反論として「オーガニックの方が栄養価が優れていると結論した報告」があったんですね。で、その主張(有機の方が栄養価が高い)が改めて否定されたと。
確かに可能性としては「有機の方が栄養価が高い」ってことがあってもおかしくはないですよね。どういうメカニズムでそんなことになるのか、激しく首をひねるけど、絶対にあり得ないというほどではない気がする。
んでまあ、そのせいかどうか(ていうより、もともと、かな)、安全面も栄養面も含めて、なんとなくオーガニック(有機栽培)が体にいいというイメージがあるんだ、と。
なるほどなあ。健康面での安全性と栄養価、どちらも「体にいい」だもんなあ。うちのバアチャンなんかは、絶対区別してないな。ぼくはもう、90年代ぐらいから「有機=高いだけ」というイメージに (。_・☆\ ベキバキ
ちょっと長くなるけど、「食品安全情報blog」のエントリから大事そうなところを引用(赤や太字による強調はぼく)。
(目新しい発見があるわけではない。FSAがこれまでもずっと言ってきたことと同じ。健康のためとか安全のために有機、というのは根拠がない思いこみ。というか騙されてるんじゃない?という話。経緯がわからないと、話題の意味も重要性もてんでわからないものだなあ……。
日本のYahooニュースについていたコメントがあまりにもひどいので解説
●有機農産物には残留農薬が少ないから健康への悪影響が少ないという主張は残留農薬モニタリング結果によって既に何度も何度も否定されている
有機農産物からも残留農薬は検出される。頻度は多少通常農薬より少ない。しかし基準違反という尺度を用いれば圧倒的に有機農産物の基準違反の方が多い。有機では認められていないはずの農薬がしばしば検出されるから。健康影響に関してはどっちもほぼ影響なし。
ただし英国やヨーロッパの話。日本で怪しげな「資材」を使って「無農薬」と称している人たちの作るものについてはデータがないのでなんとも言えない。
うちの研究所に電話してきた人は農薬として認可されているもの以外を使えば「無農薬」だと主張していた。その人が害虫を殺すために使っていたのは毒性の強いストリキニーネ。使わないでくれと言っても無農薬ではそれが常識みたいなこと言ってた。
少なくとも有機JASですらない「無農薬」と勝手に主張しているモノについては信頼できない。
●通常農産物が有機より有害ではないと言われて有機推進団体が持ち出してきたのが栄養価が高いとか健康に良いとかいう主張。Soil Associationなどがここ数年それを宣伝文句にしてきた。
参照:
http://www.soilassociation.org/Whyorganic/Whatisorganic/Fivereasonstochooseorganic/tabid/334/Default.aspx
今回の報告書はそれを否定している。
●環境影響は食品の安全性とは違う問題なのでFSAは議論していない。
ただし有機農産物のほうが単位面積あたりの収穫量が少ないのは厳然たる事実。ジャガイモで収量半分というデータがある。原野を保護するのが環境保護なら耕作地を増やすのは当然環境負荷が高いということになる。
●英国におけるオーガニック食品のメリットの最後の砦は動物愛護とGM反対[亀注:GM=遺伝子組換え]。
しかしながらオーガニックチキンやビーフや牛乳よりベジタリアンのほうが理論上は圧倒的に分がいい。
GM反対は宗教のようなものだから、例え栄養に優れ農薬使用量が少なく単位面積あたりの収量が多くて環境負荷が少なくても反対するのだろう。
「日本のYahooニュースについていたコメント」というのはこれかな?
http://headlines.yahoo.co.jp/cm/main?d=20090730-00000016-jij-int&s=points&o=desc
ぼくと同様に、なにが論点になってるのかがわからず、それを「マスコミや研究者はわかってない」という指摘にしちゃってる人が多々、ってところでしょうか……。
んー、こういうすれ違いは……難しいですねえ……。
[18:38追記]
報道をもひとつ見つけた。
オーガニック食品、健康効果は一般食品と変わらず=英調査(ロイター 2009/07/31)
[8/1 01:25追記]
食品安全情報blogの続報。
[FSA]オーガニック食品について(食品安全情報blog 2009-07-31)
有機栽培推進団体であるSoil Associationや、その他の団体の反応が紹介されている。
他にもいろいろな団体がメディアでオーガニックの方が健康にいいことは決まっている、FSAの発表は無視しろ、GM企業の陰謀、など喧しく主張している。逆に言うと当然の事実を改めて確認しただけのFSAの報告が、それだけショッキングだったようだ。いかに根拠のない宣伝をしていたかということでもある。
[8/2 18:10 追記]
間抜けなことに「「日本のYahooニュース」をリンクしてなかったので追加(つい、オリジナルを探してリンクしちゃうんだよなあ(-_-))。
「有機」に健康効果なし=一般食品と栄養変わらず−英調査(時事通信) - Yahoo!ニュース
ちょっと意外だが、はてブのコメントが200件あまりついているのだが、上記の経緯を知らないという意味ではボクと同レベルの人が多いようだ。
はてなブックマーク - 「有機」に健康効果なし=一般食品と栄養変わらず−英調査(時事通信) - Yahoo!ニュース
やはり、安全性は同等という話がそもそも知られていない(日本のマスコミがほとんど報じていない)ということなのではないだろうか。
危ない。これは危ない。
よく言われるのは、日本の農薬は世界一厳しい基準で規制されていると謂うことで、その意味では「農薬を使わなければ好い」と謂う発想は本末転倒で、寧ろ農薬を指定通り使っていればまず安全上の問題はないはずです。
その世界一安全な農薬を使わないことそれ自体を目的として、逆に変な薬品を使うと謂うのは沙汰の限りの愚行で、ストリキニーネってたしかに農薬じゃないですけど、単なる劇毒物じゃないですか(笑)。
多分、農薬として使っても消費者に届くまでには自然分解しちゃうとは思いますけど、それより散布中の事故のほうが怖いですね。普通の農薬でも、一番危険なのは残留農薬ではなく散布の過程だと言いますから。これ、中毒するとかなり症状がえげつないですよ、破傷風に似ているらしいですから、相当苦しいはずです。
まあ、この人が命懸けで「無農薬」と謂う無意味な看板に拘るのも馬鹿馬鹿しい話で、付加価値それ自体が目的化すると、実にくだらないことが起きるものです。
こうなってくると、言い訳の詭弁ですよね。> 無農薬
なんじゃ、その曖昧なネガティブ言葉遊びは...。
こうなってくるともはや、妄想の世界の幻覚をみているようだ...。
ちなみに、医療の世界でも、相対リスクの研究の話があり、実際のリスクも結構誤解された話があるのですが、これも何故か固執する人がいたりする...。
たとえば、がん検診は、がんを「予防」しません。(もちろん早期に「発見」するのです。)
なお、がんの早期発見はがん自体が必ずしも悪性化しないものもあったりするため、必ずしも、必須ではなかったりします。(もちろん転移状態まで放置したらダメですが...。)
Not A = ストリキニーネ っということですね。
論理としてあっていても、それは劇薬(農薬じゃないだけ)という話ですね。
人工のもの = Bとして、
Not B = 毒ではない、とかすると、
ふぐ毒 = Not B だけど、でも、これは毒(それも超強力)だったり、蜂刺しは毒じゃないのか? とか、ムカデの毒は無害なのか? とかいう話にも通じたり...。
そもそも、人工のものが総て毒なら、食料を加工できなくなったりしないか? > 論理の展開上
そりゃ必死になって小細工をしますよ。
余計なことをせずに「農薬使ってても有機野菜と嘘をつく」のが一番安全だ、
ってのが笑えますね。
結局、まともに測定できないことがわかって、農家への売り込みを続けることができなくなって、水の方に来た、という話です。多分、90年代後半くらいの話じゃなかったかと。
https://gensenmai.com/shop/f66d0.html#
「自然食品は値段が不自然」
と喝破しておりました……。
誰がうまいこと言えと……。
落語みたい...。
これは違法です
農薬取締法という法律があります
農薬は第1条で定義され、
第11条に、第7条の規定による表示のある農薬と特定農薬以外は使ってはならぬとあります。
違反すれば六か月以下の懲役か百万円以下の罰金ですし、法人ならばもっと大きな罰があります
電話してきた人は、自分が不法行為をしていると告白しているようなものです
>>ストリキニーネってたしかに農薬じゃないですけど、単なる劇毒物じゃないですか(笑)。
大昔に殺鼠剤として使われておりました。江戸時代とかのお話ですが。
外国の古い推理小説における殺人の凶器としてもそこそこポピュラーでした
うちの自治体では本庁の営農関係の担当者が警察同伴で違反者をシバキにいった事例があるらしいですが、
他の自治体の事例はよくしりません
けれど、事実ならば、告発したほうがいいようなお話です
ミネラルやビタミンの量が違うんだと!!
でも、2chのやる夫シリーズで指摘されていましたが、んなの農家ではとっくの承知の連作障害の一種に過ぎないんだとか・・・
まあ、かつての三ちゃん農業で手抜き薬漬けなら土も固くなりますながな。
一昔前の一番悪いケースと比べてどうする!