2006年02月18日

「ゲーム脳」「脳内汚染」など:相関と因果

『サンデー毎日』2月26日号(2/14発売号)に「ベストセラー『脳内汚染』で注目される ゲームで脳が壊れる説に学会はブーイング」と題する記事が出ているらしい。

kikulog■ゲーム脳・脳内汚染・サンデー毎日(2006年2月15日)
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/%7Ekikuchi/weblog/index.php?UID=1139970054

『脳内汚染』は1/15の毎日新聞書評で大いに持ち上げられていた(すでに毎日のサイトでは閲覧できないので、Googleのキャッシュ)。サンデー毎日の記事でもこの書評から語り起こされているが、ネット上でも多くのツッコミの的となった。

kikulogの上掲記事でも触れられているが、どうも「相関と因果の違い」が世間、とくにメディアの執筆者の間で理解されていないことが多い。また、統計調査を行った側もその点に鈍感だ。

とかいって、ぼく自身も「ああ、この主張、なんか飛躍がある」と思っても、以前はどこに飛躍があるのかをうまく説明ができなかった。「その一点だけでは説明できないでしょ」と言ってもわかってもらえないのだ。
今は、kikulogのおかげで「相関関係があるってことと因果関係があるってことはイコールじゃない」という突っ込み方を覚えたのだが、そう言えばわかってもらえるってもんでもないよね(-_-)

で、相関と因果についてはkikulogの下記の記事とそのコメントで学びました。頑張って読破してね(^^;;

kikulog■惑わされないための練習問題(2005.9.11)
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/%7Ekikuchi/weblog/index.php?UID=1126449378

コメントの中にも相関と因果をごっちゃにしている例として「朝食と学力」って話が出てくるけれども、この手の例はほんとにたくさんある。例えば下記の記事なんかでも小見出し〈テレビゲーム利用時間長いと「がまんできない」〉は完全にアウト。

MSN毎日新聞■携帯メールで知り合った人と直接会った高2、17% 都調査(2006年1月31日)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/net/news/20060131org00m040023000c.html
(前略)
◇テレビゲーム利用時間長いと「がまんできない」

 テレビゲームをする子は小学生が最多で6割を超え、15%は1日あたり2時間以上だった。小学生全体で「がまんすべきことをがまんしない」の子は約3割だったが、テレビゲームを1日に2時間以上する子は48%で、しない子の23%と比べ、利用時間が長い子ほど「がまんできない」傾向があった。

 ゲーム時間が1時間未満の小学生で、家庭でのルールがあるのは6割だが、2時間以上では割合が逆転。ルールがない子が6割になり、ルールがない子ほど長時間使う傾向があることが分かった。ゲームやパソコン・インターネットを使うときのルールがある子供は、小4が最多で学年が上がるにつれて減少した。
ゲーム時間が長いからがまんできないのだ、なんてことはこんなデータからは言えないはずだ。もっとも、後の本文を読むと「家庭でのルールの有無」が出て来るので、記事本文を書いた人はなんぼかわかっていたのかもしれない(細かい話になるけど、見出しをつけた人=整理部がアウトだったんだ、という見方もできる。単にその辺に鈍いのか、あるいは字数制限があるからしょうがないよとか、キャッチーな見出しにしたかっただもんとか、理由はわからんけど)。

誰か、相関と因果について、わかりやすくまとめといてくれないものか。自分でやるべき?(^^;;
タグ:ゲーム脳
posted by 亀@渋研X at 16:48 | Comment(2) | TrackBack(1) | 渋研X的日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする はてなブックマーク - 「ゲーム脳」「脳内汚染」など:相関と因果
この記事へのコメント
脳内汚染、怖いですね。この本の内容が事実なら、日本政府はゲームそのものを発禁にするくらいの処置が必要だと思います。そこまでいかなくても、ある程度の規制は必要になってくるでしょうね。
Posted by 三毛ネコ at 2007年04月04日 06:17
三毛ネコさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
私はこの本の主張については批判的な立場です。
このエントリで「相関と因果の問題」として採り上げているのは、仮に「ゲームなどをよくやる子どもに粗暴な子どもが多い」(両者に正の相関がある)としても、それだけで「ゲームなどが原因(あるいはゲームなどを頻繁に長時間することが原因)」(両者に因果関係がある)ということにはならない、それなのに、そこを区別できていない言説が多い、これはまずいのではないか、という話です。
また、同書で前提とされている少年犯罪の増加や凶悪化という言説は、ある種の誤解に基づくものだろうと考えています。その辺は、過去のエントリ(http://shibuken.seesaa.net/article/13583681.html)をご覧下さい。別の記事(http://shibuken.seesaa.net/article/33341840.html)で紹介している『犯罪不安社会 誰もが「不審者」?』も参照いただけると、目からウロコだと思います。

同書についての評価については、ここで長々と書くよりも、よくまとまっている「読み解き」をいくつかご紹介しますね。
ひとつは、エントリ本文でも話題にしているサンデー毎日の記事にも登場しているカワバタヒロトさんのブログの記事(http://ttchopper.blog.ocn.ne.jp/leviathan/2006/02/post_ade9.html)。かなり慎重な表現をとっておいでですが、根本的な疑義の提出でもあります。
もうひとつは、「たこの感想文」さんの記事(http://takoyaki-tako-tako.de-blog.jp/takotako/2006/01/post_545e.html)。的確な指摘だと思います。
Posted by 亀@渋研X at 2007年04月05日 00:54
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Weblog: PSJ渋谷研究所X
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