2007年03月29日

インフルエンザとタミフル

カワバタさんの

リヴァイアさん、日々のわざ:不都合なタバコの真実@週刊東洋経済(読了して追記)(2007年3月20日)
http://ttchopper.blog.ocn.ne.jp/leviathan/2007/03/post_068b.html
のコメント欄、それから、きくまこ氏の

kikulog:タミフル承認取り消し要求、または、浜六郎氏の言動はあまりにも危険だと思う(2006年3月27日)
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/%7Ekikuchi/weblog/index.php?UID=1174926083

の記事本文とコメント欄を興味深く追っていたのだが、いかんせん長いし論点は多岐に亘るしわからない用語が多いしで、なかなか理解できないでいた。
が、

リヴァイアさん、日々のわざ:タミフル対策、あなたの考えは(2007年3月29日)
http://ttchopper.blog.ocn.ne.jp/leviathan/2007/03/post_ac3c.html

で、「あなたの意見は」なんて話がもちあがったので、なんとか箇条書きにざっとまとめてみた。主としてカワバタさんちの内容中心。「続きを見る」でどうぞ。これから読み直して、自分はどう考えるか、改めて考えてみるつもり。
→4/3になって、やっと考えました。こっち
あっ、「そこは違うぞ」とか、「そこはこういうことだよ」なんていうことがありましたら、ご指摘いただけるとありがたいです。

追記(3/29、20:30):きくまこ氏にさっそくご指摘をいただいたので修正。修正部分は赤字です。

あ、カワバタさんち、トラックバックに失敗した……(泣)

馴染みのない言葉:
疫学」ってのは、かろうじてなんとかぼんやりイメージできていると思うのですが、「オッズ比」「ハザード比」「バンデミック」「交洛」はまるっきりです。
こういう言葉がわからんのが理解を妨げている部分があるとは思うのですが、Webでちょっと調べたぐらいでは解説にたどりつけませんでした。
あ、もちろん、アセトアミノフェンがなんなのかも、よくはわかっていません(汗
アセトアミノフェンは普通の解熱剤です。風邪薬にもよくはいってます。

ちなみに疫学の入門としては、津田さんの「市民のための疫学」を読むといいです。症例対照研究とかコホート研究とかオッズ比とかいう言葉の意味はわかります。
(きくち at 2007年03月29日 19:23)

--------------
1.タミフル服用と異常行動の関係
横田報告書を補正すると「因果関係はある」と言える(厚労省や多くのマスコミの説明はおかしい)。
もともと副作用として明記されているものでもある。
ただし、タミフルを服用しなくても異常行動が出ることはある(服用しなければ異常行動が出ないわけではない)。
服用すると異常行動が出る頻度が4〜5倍増える(「頻度」ということは、異常行動が出現する可能性が高くなるわけではない? もともと異常行動が出る人は出るし、出ない人は出ないという話? この辺、よくわからない)。
1日目の朝にタミフルを飲んで、その日のうちとかに異常行動が起きたのなら、タミフルのせいと思ってよい。
しかし、二日目以降に異常行動が起きたら、インフルエンザそのもののためなのかタミフルのためなのか判定できない。
横田報告書を再解釈すると、発熱初日の朝にタミフルを飲むと「異常行動」の確率が有意に高くなる、という件は、データ解釈に疑問が出てきたので、津田さんにきいています。僕の評価は、現在保留中。(きくち at 2007年03月29日 19:23)
また、タミフルは3日間連続服用するが、上記のような効果(副作用)はどれほど長く見積もっても数日で消える。

「タミフルを飲んで発症した人が、もしタミフルを飲んでいなければ、発症しなかったであろう確率」75%=「タミフルを飲んでいず発症もしていない人が、タミフルを飲んでいれば発症したであろう確率」1.5%(数値は簡易計算による)
(つまり、普通にインフルエンザで異常行動が出ない人にタミフルを服用した場合、異常行動が起きる確率は1.5%=100人に2人いない。1,000人に15人。しかし1万人なら150人……ということ? この辺、よくわからない)

2.異常行動と患者の年齢の関係
駆け出したり飛び降りようとしたりした場合でも、10歳未満の幼児なら比較的容易に取り押さえられるが、10代になるとそれが難しくなる。

3.インフルエンザ、インフルエンザ脳症と死亡率や異常行動の関係、タミフル服用との関連
インフルエンザ患者の死亡率(致死率?)は3%(東南アジアなどでは60%?)
致死率3%というのは、今想定されている「新型インフルエンザ」のことで、普通のインフルエンザはそんなに死にません。
3%というのは、スペイン風邪からの推定らしいのですが、「鳥インフルエンザ」は今のところ、人間に感染すると致死率60%なので、「新型インフルエンザ」も3%どころではない可能性があります。
インフルエンザによる死者は国内で年間数100人。ただし、インフルエンザ後に肺炎で死ぬ高齢者が多くて、その「超過死亡数」は数1000人から10000人くらいになるようです。そこまで含めると、年間10000人くらいというのが目安かなと思います。
新型のほうは、致死率3%として60万人くらい死ぬと予想されています。スペイン風邪は全世界で5000万人死んだのだよ。
(きくち at 2007年03月29日 19:23)
インフルエンザ脳症は日本で特に発症率が高い。
一部の消炎鎮痛剤が原因で重症化することが多い。
解熱剤(消炎鎮痛剤)を使わなかった場合、インフルエンザ脳症にかかる率は低くなる。
タミフルを使った場合にインフルエンザ脳症にかかりにくくなるかどうかはわからない(調査がない?)。
「一部の消炎鎮痛剤」は現在は使われておらず、今はアセトアミノフェンが用いられている。ということは「一部の消炎鎮痛剤」は「アセトアミノフェン以外の鎮痛消炎剤」のことだが、アセトアミノフェンなら脳症になりにくいかどうかは、zusammenさんは研究例を見たことがないのでわからない。
(ええと、つまり、インフルエンザの異常行動の多くはインフルエンザ脳症が原因で、インフルエンザ脳症は「一部の消炎鎮痛剤」が原因のことが多いってことで、じゃあタミフルよりもそっちの方が問題かもってことか? この辺も、やっぱりよくわからない?)
脳症と「異常行動」は違う。脳症の前駆現象としてもあるけど、単に熱が高くても出るもので、実は割と普通に起きるということやね。後遺症も残りません。飛び降りたりしなければ、大丈夫。
一方の脳症の方は、なってしまうと致死率30%で、後遺症率25%とかの怖いものです。
(きくち at 2007年03月29日 19:23)

4.インフルエンザの危険性と年齢の関係
幼児や高齢者など、体力のない人にとっては危険性がかなり高い。
それ以外の世代にとっても一定の危険はあるが、幼児や高齢者ほどではない。

5.タミフルの処方の適正さ
現在は、どの年齢層に対しても検査で陽性であれば、ほぼ全数処方されているらしい。
高齢者、基礎疾患ありの患者、医療従事者以外には処方すべきでない。
若年者に通常のインフルエンザの時にタミフルを飲ませるべきではない。

6.タミフルの備蓄の妥当性(新型インフルエンザ対策)
現在有効な方策はほかに見当たらないので、十分とは言えないとしてもタミフルの備蓄ぐらいはしておかないと、新型インフルエンザに備えることができないのではないか。

7.これまでの調査と分析の妥当性
横田報告書は、本気でタミフルと異常行動との因果関係を明らかにしようとしたとは言えない。
補正しなくとも因果関係は読み取れる。補正するとより明白に読み取れる。

8.必要な調査、おこなわれていない調査はなにか。
タミフルを使った場合と使わない場合の年齢層別の死亡率の比較。
タミフルを使った場合にインフルエンザ脳症にかかりにくくなるかどうか。

9.インフルエンザにかかったらどうする?
水分補給と塩分補給と栄養補給を充分に工夫する。
あんまり熱を下げようとするべきではない(40〜41度を目安として、それ以下なら解熱剤に頼らないほうがよい。42度に達したら解熱剤)。
タミフルを飲ませた場合は、万一に備えて監視する。タミフルを飲ませても飲ませてなくても、インフルエンザにかかって発熱したら(ということは、インフルエンザを疑えるような、全身の痛みなどの症状のある発熱があったら)発熱から2日間は監視する必要がある。(亀 at 2007年04月03日 01:52)

[投稿者が「六@渋研X」になってますが、「亀@渋研X」の誤りです。すいません訂正します。でも、どうやって直せばいいんだか忘れてしまいました。とほほ(2007.4.3)]
posted by 六@渋研X at 18:05 | Comment(2) | TrackBack(0) | 渋研X的日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする はてなブックマーク - インフルエンザとタミフル
この記事へのコメント
脳症と「異常行動」は違う。脳症の前駆現象としてもあるけど、単に熱が高くても出るもので、実は割と普通に起きるということやね。後遺症も残りません。飛び降りたりしなければ、大丈夫。
一方の脳症の方は、なってしまうと致死率30%で、後遺症率25%とかの怖いものです。
 
それから、致死率3%というのは、今想定されている「新型インフルエンザ」のことで、普通のインフルエンザはそんなに死にません。
3%というのは、スペイン風邪からの推定らしいのですが、「鳥インフルエンザ」は今のところ、人間に感染すると致死率60%なので、「新型インフルエンザ」も3%どころではない可能性があります。
インフルエンザによる死者は国内で年間数100人。ただし、インフルエンザ後に肺炎で死ぬ高齢者が多くて、その「超過死亡数」は数1000人から10000人くらいになるようです。そこまで含めると、年間10000人くらいというのが目安かなと思います。
新型のほうは、致死率3%として60万人くらい死ぬと予想されています。スペイン風邪は全世界で5000万人死んだのだよ。
 
横田報告書を再解釈すると、発熱初日の朝にタミフルを飲むと「異常行動」の確率が有意に高くなる、という件は、データ解釈に疑問が出てきたので、津田さんにきいています。僕の評価は、現在保留中。
ちなみに疫学の入門としては、津田さんの「市民のための疫学」を読むといいです。症例対照研究とかコホート研究とかオッズ比とかいう言葉の意味はわかります。
 
アセトアミノフェンは普通の解熱剤です。風邪薬にもよくはいってます。
Posted by きくち at 2007年03月29日 19:23
わあ、お手間をおかけしました。ありがとうございます。
修正します。
Posted by 亀@渋研X at 2007年03月29日 20:17
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