2007年07月06日

『日本教育新聞』に七田書籍の書評

kikulogのコメントで、こんなことを書いた。その続報。
#85. 亀@渋研X ― July 3, 2007 @19:17:38
あ痛たたた。『日本教育新聞』に七田の本が紹介されているそうです。
ローソクの話の直前のエントリに書かれていました。

七田眞の新刊の案内(2007年06月22日)
http://www.shichida.jp/makotoblog/archives/2007/06/post_124.html

> 日本教育新聞(平成19年6月18日付)のBooks欄(16面)に、
>七田眞著『七田式フィンランドメソッドで「頭のよい子が育つ本」』
>(イーストプレス)の紹介が出ています。
> 日本教育新聞はhttp://www.kyoiku-press.co.jp/ のホームページで
>アクセスできます。

紹介の内容は不明ですが、こんなふうに書かれている以上は好意的な
書き方なのでしょう。
同社のサイトによれば、かなり影響力のある媒体なのかもしれません。
>■日本で最大の教育専門の全国紙です
>「教育」だけに特化し、週刊でこれだけの情報量を提供している媒体は、
>ほかにはありません。全国津々浦々、海外の日本人学校でも読まれていま
>す。しかもその範囲は、文部科学省、教育委員会、各地の学校管理職、教
>師、PTA、議員や民生児童委員まで含み、教育にかかわる人、興味関心
>のある人まで広範です。
http://www.kyoiku-press.co.jp/jep/index.html

こりゃいかん。同紙に苦情メールを準備中。

問題の記事を入手したけれど、問題の本自体は近所にはないでの未見。ネット書店にはあるのだが、こんな本は買いたくないのだ(ビンボだからね)。週末に新宿ででかい本屋で見てみる予定。

■日本教育新聞
『日本教育新聞』は、やっぱりそれなりに影響力のありそうな新聞だった。同紙を発行している日本教育新聞社のサイトによると「発行部数24.5万部」だそう。媒体資料から算出すると、個人講読している教員数は、およそ全国の教員の16%あまりだが、団体講読では4万5000ほどの学校や教育委員会が講読していることになる。学校でどれだけの先生がちゃんと読んでいるのかはわからないけれど、これは全国の学校や教育委員会の総計の、およそ78.9%、8割近くに相当する。到底無視できない数字だ。

NEN070618.jpgそして問題の記事。やっぱりまずいと思われるものだった。ただ、ここに書評の全文をアップするのもはばかられるので、スキャン画像は見出し程度しか読めないものにした。内容も一部の紹介に留めることにする。

■書評欄の状況
日本教育新聞の「Books」というのは、最終面を一面全部使ったもの。
紙面の3分の2ほどを占めるのがメインであろう「書評」。この号では全部で4冊の本の書評が掲載。明石要一編『生活習慣の改善と子ども力の育成』(教育開発研究所)、大塚康夫『議会人が知っておきたい危機管理術』(ぎょうせい)、松元徳重らの編著『子どもを励ます通知表文例集 1・2年』(民衆社)、そして七田眞『七田式フィンランド・メソッドで「頭のよい子」が育つ本』(イースト・プレス)。
下の方には「新刊案内」「子どもに読ませたい本」というミニコラムもあり、それぞれイッセー尾形・ら編著(って書いてあるんだよなあ)『イッセー尾形とステキな先生たち−−毎日がライブ』(教育出版)、加藤多一『子っこヤギのむこうに』(くもん出版)が掲載されている。
左肩には「人づくり国づくり−出会い編−」と題されたエッセイ(というか訓示というか)の177回。書き手は「木場弘子 千葉大学教育学部特命教授(千葉県浦安市教育委員)」と紹介されている。

書評には署名入りのものもある。文例集と七田の本は署名の代わりにそれぞれ(雅)、(徳)と記されている。編集部原稿ということかもしれない。

■七田の書籍の扱い
見出しは「才能を引き出す思考法を提示」。
本文は微妙なもので、ニュートラルな表現に徹しようとしていることがうかがえる。たとえば「一読を勧める」といった書き方はどこにもされていない。
冒頭の一文は「国際学力テストの結果、世界から注目を浴びるフィンランドの教育−。」。これだけで段落を変え、「本書では」とフィンランドの教育のどのような部分を採り上げているのかと説明していく。
以後、文末を拾っていくと「〜フィンランドメソッドなどを分かりやすく解説する。」「〜など多彩な方法があることを提示していく。」「〜も紹介した。」と続き、最後の一文はこうだ。
「単なるノウハウものではなく、子どもそれぞれの才能をどう開かせる教育が必要なのかを見据え、著者なりの教育のあり方そのものを提起している。」
本書の記述そのものに対する評価は「分かりやすく」の一語以外には、ほとんど見あたらない。見ればわかることを書くに留めようとしているようだ。
また、3段落めでは「フィンランドが取り入れる効果的な学習法の1つとして、「マインドマップ思考法」について、多くを費やす」とわざわざ記している。4段落め末では、七田独自の理論であろうと推測される部分については「七田式と称する」などという書き方をし、「さらに、レオナルド・ダビンチの7習慣も紹介した」と締めくくっている(赤字による強調は、いずれも引用者)。

■どうとらえるか
この形では「肯定的紹介」とみなすべきだろう。

慎重な書き方をしているということは言える。見出しも意味深だ。「提示」というのは推薦図書に使われるにはニュートラルすぎるかもしれないとさえ思える。
この書評欄では、七田以外の3冊は「教育関係者以外の方にも読んでほしい」「〜にとって、本書は有用である」「〜セットでそろえたい」と結ばれている。「新刊紹介」も結語は「〜を、リアルかつユーモラスに表現」、「子どもに読ませたい本」では「文学性豊かな作品」。
七田の本だけが、どこにも推薦するような表現がないのが異例なほどだ。

紙面全体からわかることは、この「Books」面は単なる書籍紹介のページではなく、明らかに「推薦図書の紹介」などの「有用な情報の提供」を目的としたものだということだ。七田の本の扱いが例外なだけで、ほかはすべてはっきりと推薦していると言っていいだろう。
これは、編集部にどういう意図があったということだろうか。

他の本と明確な区別もなく同等の扱いで組み入れられているからには、やはり同書は編集部の推薦図書ということになるはずだ。少なくとも、なんらかの警戒心を働かせなければ、そのように受け止めてしまう読者が出ることは避けられまい。
たとえば、七田がどういう人物であり、どのような言説を展開しているかを知らずに、「これはいい本だ」と推薦したということならば、まだ問題は小さいかもしれない。結果として玉石混淆になったとしても、あるいは紹介に際して下調べが足りなかったのだとしても、それは技術的な問題だ。
あるいはこの手のオカルト的教育産業の片棒だってかつぐのだという編集方針や、さらにあるいはオカルト的主張にさえも編集部が共感してしまうのだとしても、それは「この書評欄の目の高さ(あるいは低さ)」の話だ。まっとうな作り方をしているが、品質が十分に高いとは言えないこともある、という話で済む可能性がある。
しかし、どうも事態はそういうことではないかもしれない……と思わせるのが、この異常なまでに慎重な「推薦図書を推薦しないで紹介する」という手法だ。

繰り返しになるが、編集部にどういう意図があると、こういう書評になるのだろうか。

つまるところ、この扱いは「玉に石を意図的に紛れ込ませたのではないか」と疑わせるに十分なものなのだ。
「紹介した」「提起している」というような表現は、ニュースリリースなど「情報の発信者自身による紹介文」を思わせる。単なる新刊情報の記事ならともかく、まさかに推薦図書のコーナーで、ニュースリリースの引き写しなどということはすまい。
となると今度は、背後に「ほめることまではしないけれども、推薦図書のコーナーに入れるから、それでガマンしてくださいよ」とでもいうような「大人の事情」でもあったのかと邪推したくなってしまう。

慎重に読むとこんな疑いを抱かせてしまうような書評の書き方は、同紙にとっては「百害あって一利なし」ではないのだろうか。

書籍自体を未見なので、同社にはまだメールは出していないのだけど、これはもう「どういう本を紹介したか」という問題だけではないように思うので、週末に現物を確認できなかったら、その段階でもうメールを出してしまう予定。

■余談と謝辞
同紙の入手の過程ではまだ発行部数とかは調べていなかったのだけど、同紙の影響力は、やはり大きいのかもしれないと思わされることがあった。
というのは、図書館を調べても近隣4市ではどこも講読していないので、自分が所属する地元の公立小中学校の先生がたとのMLで「見たいのだけど、とってますか?」と聞いてみたのだ。すると、3校のうち2校からは即座に「講読している」と返事がもらえたのだ。
残りの1校からは、今も返事がないのでわからない。でも「そっちで見られるならいいか」と思われたんだろうと推測している。こういうことは横並びが多いでしょうから3校とも講読している可能性が高いと見ていたりもする。

ところで、結局は中学校で問題の記事を見せていただいたのだけど、職員室の入り口が所定の場所のはずなのに、該当号がない。あれ? とか言っていたら、校長先生がウチのムスメが持ち帰るようにと手配してくださっていたのだった。キャー、すいませんすいません(大汗)。
O校長先生、その節はありがとうございましたー。



posted by 亀@渋研X at 02:20 | Comment(4) | TrackBack(0) | 学校とか教育とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする はてなブックマーク - 『日本教育新聞』に七田書籍の書評
この記事へのコメント
こちらでは初めまして。
私は短い間ですけど、主に高校で教員をしていた事があります。その時の印象では、個人的に購読してはいなかったにも関わらず、私にとって日本教育新聞の影響力は確かにとても大きかったと思います。
ご存知のように、現場の教員は、たとえ望んでも(実際切実に望んでいるのですけど)、なかなか「教育の専門家」に接する機会がありません。講演会や研修会みたいなものには、できるだけ参加し、より良い教育のための情報や知識などを吸収したいのですけど、そもそもそれらが開催されるという情報にさえ接する事ができなかったりします。
そういうとき、日本教育新聞は大きな影響力を持ちました。職員室に置いてあったり、校長や教頭クラスの人が切り抜きを回覧してきたりするわけですよ。恥ずかしながら、これが、私にとって、数少ない「教育の専門家」と触れる機会だったのです。
他の方々がどうかは分かりませんが、少なくともそういう人間もいたという事です。

そんなわけですので、私も、日本教育新聞社に、7月6日(金)付けでメールを送ってみたのですけど、現在までのところ、まったく無反応のようです。亀@渋研Xさんのほうでは、いかがでしょうか。もし反応があれば、ぜひご紹介いただきたいと願っています。
Posted by 田部勝也 at 2007年07月14日 16:35
コメントありがとうございます。
教育新聞へのメールは途中まで書きかけて、まだ出せていませんが、近日中にはなんとかと思っとります。が、なしのつぶてということもありそうかなあ。公開質問状にすればよいのかしらん。

ところで、さきほど同社Web上で同書の書評全文を見つけました。
書評トップ
http://www.kyoiku-press.co.jp/cgi-bin/books.cgi
七田書籍の書評
http://www.kyoiku-press.co.jp/cgi-bin/books_dtl.cgi?no=16

日付をクリックすると他の書評も見られるのでバラバラと見たりサイト内検索をしてみているのですが、ここまであからさまにマズイものは、さすがにないのかな、という感じです(少なくとも「七田」でサイト内検索をすると、これが初出の模様です)。
Posted by 亀@渋研X at 2007年07月15日 21:40
亀@渋研Xさま、はじめまして。

ご紹介のURLでは、今は別の本に行き当たるようです。(個々の書評へのジャンプは、ナンバリングが変更するようです)
多分、こちらの方がいいのかな?

書評トップhttp://www.kyoiku-press.co.jp/cgi-bin/books.cgi?d=2007/6/18
 2008/6/18の分の4番目

(ちなみに6/18の一番目の紹介本は、TOSS関係の明石氏の本です)


Posted by あんね at 2007年08月18日 17:07
あんねさん、ご指摘ありがとうございます。
なるほどそうなってるんですね。気づきませんでした、ありがとうございます。
TOSSも千葉大の明石要一さんも、かなり微妙ではありますねえ。
Posted by 亀@渋研X at 2007年08月23日 04:22
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