-----引用ここから-------
■タミフル発売の中外製薬、03年承認申請時のデータに誤り(読売新聞 - 12月10日 23:33)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=359281&media_id=20
元記事の方が詳しい。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20071210i316.htm
この記事からわかること。
・中外製薬はドジである。そりゃないよね
・「濃度をまちがって高く見ちゃった」ということは、ひょっとすると処方対象外だった乳児に使っても安全なのかも、という可能性が出てきた
・もしもそうなら、やはり処方対症外だった妊婦さんにも安全かもしれない。わからんけど
いろいろ話題になったおかげで、基本的な情報が大きく修正されることはない(ってことは、上記の期待もスカの可能性が高い)と思う。けど、こういう初歩的なミスは勘弁してほしいなあ。
タミフルについては、あれこれ調べて渋研ブログや連載の「九段下研」でも書いたけど、ややこしいよね。(このブログ内のタミフル関連記事)
以下、これまでにぼくなりにわかったことを簡単に列記。
・ふつうの大人や青少年(基礎体力がふつうにある人)にはタミフルは不要。症状を2、3日短くするだけなので、うっかり治った気になって出歩く方が危ない、てかみんなに迷惑。
・小さな子ども、お年寄り、ほかの病気をすでにもっている人(高リスク群)は、インフルエンザで死んじゃう場合があるので、かかったと思ったらすぐにタミフルでもリレンザでも処方してもらいましょう。
・異常行動は、インフルエンザそのものの症状でもあるので、どっちにしろ周囲の人は注意しましょう。
・タミフルは、むやみに使わないで新型インフルエンザのために備蓄にまわしましょう。パンデミックこわいよ。
・かかったら休めない(つまり保菌者状態で出歩く可能性が高い)という人は予防接種に頼りましょう。高いけど。お金はあるけど「予防接種はリスクがぁ」とか言ってる人は、社会への影響も少しだけ考えるといいかも。多くの伝染病は、今でもうっかりすると人が死にます。
うわ。このニュースをネタに日記を書いている人のなかに「タミフルの販売を中止しろ」とか言ってる人が……。
-----引用ここまで-------
じっさい、報道機関って無責任だなあ、と最近つくづく思います。
追記:
以下、mixi日記のコメントで書いたものだけど、こっちにもペースト。
------その1------
どうせわかりやすい報道とかを目指すなら、「なんかアブねえぞ、こええぞ」じゃなくて、「で、どうすればいいの?」ってところまで踏み込んでくれるといいよねえ、新聞とかテレビとか。
薬害だとかいう人もいるけど、局や報道の人間が理解できなくても、何人かの学者や医者の話をつきあわせて行けば、この結論にしかならないはずだもん。
インフルエンザに関するぼくのオススメサイトは、なんと中外製薬のものであります。
インフルエンザ情報センター
http://influenza.elan.ne.jp/
「インフルエンザ」でググるとトップでヒットするんだけどさ(^^;; 患者のタイプ別に情報が整理されているし、「脅威」「流行の歴史」まで触れているので、わかりやすいです。
-----その2-------
タミフルが悪玉視されるのは、インフルエンザにはあり得る異常行動なのに、タミフルが原因の疑いがあるってことでクローズアップされたうえに、日本での処方が異常に多い(安易に処方しすぎ)ってところで「なんか怪しい」となっちゃたんでしょうね。実際問題、タミフルで異常行動が出ることがある(副作用として明記されている)にしても、それがなかなか判定できないぐらい確率的には低いってことだとしか考えられないんですけどね。
異常行動と言えば、もうひとつのインフルエンザ治療薬リレンザを処方したケースでも異常行動が確認されたというニュースが最近ありましたね。
インフル治療薬 リレンザで少年が異常行動(朝日)
http://www.asahi.com/life/update/1207/TKY200712070329.html
こうなると「やっぱり、あれもこれもインフルエンザ由来の異常行動で、薬は関係ないんじゃないの?」というのがふつうの反応だと思うんだけど、医者や科学者は慎重に慎重に「投薬との因果関係が否定できない」なんて言うしかないんですねえ。歯がゆい。
そうなると、「じゃあ、リレンザもだめなんじゃないの?」という話になりがち。
まあ仕方ないんですが。「関係がない」ということが厳密に確認されたわけではないんだし、確率的には低くても調べもせずに「因果関係はない」なんて言えない。「言ったら非国民扱いされかねない」って意識もあるかもしれない。
ちなみに、この場合「関係ある/ない」を確認するのはかなりやっかい。服用していない患者が異常行動を起こしても、そもそもインフルエンザはそういう病気なので、それだけで「あの薬は関係ない」ことの証明にはならないから。ということは、いろんな薬を服用しているインフルエンザ患者となにも服用していないインフルエンザ患者を大量に追跡調査して、「××を服用した患者に、有意に異常行動が多い(あるいは、多いわけではない)」ということが確認される必要がある。
死亡例やラットで脳にタミフルの成分が到達しているかを調べたりしているのは、そういう大規模調査を短期間に行うのが困難だからでしょうね。しかも、その専門家が調査するための資金を製薬会社が出すとなったら「出来レース疑惑」で潰されちゃいそうな勢いだし(まあ、直接の利害関係者が負担するのが当然な気もする一方、不公正な結果にならない保証も求めたいってのはわかる。しかし、その薬を売りたい会社よりも、国が税金から出せばいいってことなのかというと、微妙だよなあ)。
ああ、なんぼでも書きたくなってしまう。
インフルエンザ&タミフルの問題は、簡単ではないです。
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そういえば、「科学ニュースあらかると」さんが詳しい記事を書いていたのでご紹介。
タミフルはインフルエンザを治さない(07年02月17日)
http://www.mypress.jp/v2_writers/beep/story/?story_id=1251548
タミフルはインフルエンザを治さない B面(07年03月25日)
http://www.mypress.jp/v2_writers/beep/story/?story_id=1586253
「リレンザ」服用患者に異常行動が出た(07年12月08日)
http://www.mypress.jp/v2_writers/beep/story/?story_id=1684631
中国で人から人への「H5N1」型インフルエンザ感染疑い例(07年12月10日)
http://www.mypress.jp/v2_writers/beep/story/?story_id=1685336
最初の記事だけでも読むの大変ですけど(^^;;