2007年12月27日

タミフルと異常行動:各紙の論調【追記あり。亀@渋研Xの誤報でした(-_-)】

【19:50p.m. 追記・訂正】ごめんなさい! このエントリには大きな誤りがあります! 詳細は後述。

25日に厚労省が、「タミフルと異常行動の関連性」について新しい発表を行った。これについて、新聞によってかなり印象の違う採り上げ方がされている。

まず、ニュートラルなところを読んで、事実関係だけを理解することにしよう。たとえば東京新聞(共同通信)。

因果関係はっきりせず タミフルで厚労省調査会(東京新聞 2007年12月25日)

朝日新聞もまあ、ニュートラルかな。
タミフル、10代の使用制限継続 影響なお不明 厚労省

読売新聞は、2つに記事を分けた。
タミフル「10代禁止」継続…厚労省調査会/異常行動 因果関係判断保留(読売新聞 2007年12月26日)
タミフル治療混乱も 厚労省調査会結論先送り/使用現場任せに(読売新聞 2007年12月26日)

ここまでは、まあそんなに大きな違いはないと言ってもいい。下記の2つの記事に比べれば。
実は、同じ話が毎日新聞と産經新聞では、真逆のような話になっている。
【19:50p.m. 追記・訂正】と思ったら、毎日新聞のみが、別のデータに基づく記事「も」出していたのだとさっき気づいた。詳細は下記。

毎日新聞は「これで異常行動がタミフルによるものだということが明らかになった」というような論調で報じた。

タミフル:規制後、異常行動の割合減少 厚労省データ(毎日新聞 2007年12月25日)(魚拓

【19:50p.m. 追記・訂正】上記の記事とは別に、同日および翌日に、厚労省発表に関する記事が別途出ていました。
タミフル:異常行動との関係、結論先送り 厚労省調査会(毎日新聞 2007年12月25日)
タミフル:異常行動との因果関係、決着つかないまま(毎日新聞 2007年12月26日)
「同じ発表に基づく記事だ」との思い込みと「なんでこんなに違うの?」という驚きから、うかつな記事の読み方をしてしまったようです。すぐ下にリンクがあったのに気づきませんでした。
25日の記事自体はニュートラルで、ごく短いものです。26日の記事は、他紙と比べても詳細で慎重な内容と言えます。

とは言うものの、自分がうかつだったことを棚に上げるわけではありませんが、また、「タミフル:規制後、異常行動の割合減少 厚労省データ」は単にスクープ(とは言わないのかな。「独占記事」ぐらい?)なのかもしれないですが、正直言って「なんで毎日だけがこのような記事を、まぎらわしいタイミングで出しているのか……。ひょっとして、わざとぶつけたのか?」なんてこともちょっと考えてしまいました。でも15時と22時の記事だから、いくらなんでも邪推か?


一方で、産經新聞は「これで異常行動がタミフルによるものではないことが明らかになった」というような論調だ。

タミフル異常行動「服用者の方が少ない」(MSN産経ニュース 2007.12.25)(魚拓[Yahooニュース版])

毎日新聞は「10代への投与規制が働いた結果、全体としてはタミフル服用者の異常行動が減っただけ」と解釈したわけだ。一方の産經新聞は、他紙では「有為有意な差は見つからない程度の違い」とさえ書かれている部分を採り上げて「タミフル服用者の方が異常行動は少ない」と解釈している。見出しを含めて考えると、毎日・産経両紙の報じている内容はほとんど正反対だということがおわかりいただけるだろう。

【19:50p.m. 追記・訂正】同じニュースソースによる、同じ問題についてのデータとはいえ、まったく別のデータを扱っているのだとすれば、真逆の解釈になること自体はあり得るのかもしれない(正直、素人考えでは釈然とはしないのだけど)。
これ以降については、特に修正の必要はない……かな。


ぼくなりに考えると、これはやっぱり厚労省の研究班が言うように「タミフルの服用と異常行動の因果関係は大規模調査でもわからない」ということでしかないんだろう。
ここで思い出したのが、血液型と性格の関連がどの程度か、という話だ。つまりは、大規模調査(ということは慎重な確認)をしたら、わずかばかりは関係があるかもしれないという程度の違いは見つかった、逆に言えば関係をどうこう言えるほどのはっきりした違いは見つからなかった、ということだ。

2005年頃にこの問題が注目されて以来、いろいろな研究結果が出ているが、そのほとんどで「わずかに関係があるかもしれない」か「因果関係はわからない」だった。ということは、「いろいろ調べてみたけど、タミフルの服用と異常行動の間には、関係が見つからない」のだから、実用上は「ほとんど関係ないと考えて差し支えない」「あんまり気にしなくていい」ということになるしかないんじゃなかろうか。

※もちろん、仮にタミフルを服用することで危険性が増すわけではないとしても、現在のような乱用はされるべきではない。高リスク群や特別な事情のある患者以外には、基本的に処方しない方がよいということも変わらない。

誠実な科学者・研究者としては「関係がない」とは言えない。それはわかるけれども、まだるっこしいことではある。で、マスコミはそのまだるっこしい部分を増幅したり、自分が言いたいことを言うための素材にしているケースがあるように見える。
せめて、報道と意見表明や問題提起、解釈は、別々の記事にしてほしいものだ。そのうえで、できれば市井の人に役に立つような噛み砕き方をしてくれれば、なおうれしい。

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インフルエンザとタミフルについては、「科学ニュースあらかると」の関連記事が詳しく、かつわかりやすいのでオススメ。


posted by 亀@渋研X at 14:52 | Comment(4) | TrackBack(0) | 渋研X的日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする はてなブックマーク - タミフルと異常行動:各紙の論調【追記あり。亀@渋研Xの誤報でした(-_-)】
この記事へのコメント
 う〜ん。
 毎日だけは、明らかに違うデータを論拠にしていますよね。データの取捨選択に差があれば、結果が変わるのは当然だと思います。
 次の段階は、そのデータを論拠とするのは妥当か?という問題になると思います。

 私はタミフル問題について、あまり知りませんが、とても同じニュースを報じたものには見えませんね。
Posted by newKamer at 2007年12月27日 18:43
あっ、すでにコメントが(大汗
すいません、大きな早とちりがありまして、記事に追記をしました。

>毎日だけは、明らかに違うデータを論拠にしていますよね。

それもそのはずで、毎日のその記事は、厚労省の発表に関する記事とは別物でした。すいませんすいません。
Posted by 亀@渋研X at 2007年12月27日 19:57
今日は。

 >他紙では「有為な差は見つからない程度の
 >違い」
これは、「有意」、ですよね。
すみません、細かい事で……結構重要な概念だったりするので。

タミフルの問題は、押さえておきたいとは思っているのですが、相当気合を入れて調べないといけないので、手付かずです…。疫学についてもカバーしなくてはならないですし。
Posted by TAKESAN at 2007年12月28日 12:46
あ、これはいかん。ご指摘ありがとうございます。
直したつもりだったのに(大汗

タミフル、ややこしいです。連載で扱ったので、もったいない精神で追い続けていますが、正直、手に余る部分も多々(滝汗
Posted by 亀@渋研X at 2007年12月28日 15:53
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