前にも書いたけど、今回はマイナスイオンです。
で、記事には入れ込めなかった事例を思いだしたので、こっちに書いておきます。と言っても、打ち合わせ用のMLで書いたことをコピペするだけですが(汗
まず、担当編集さんから、マイナスイオン製品について「ヨドバシのサイトで検索してもかなりの数がヒットします」と、下記のURLが提示されまして。
http://www.yodobashi.com/enjoy/search.jsp?narrowtype=%90%B6%8A%88%89%C6%93d&key=%83%7D%83C%83i%83X%83C%83I%83%93&go2=%8C%9F%8D%F5
いま表示してみると、各製品カテゴリーごとに、こんだけの製品がヒットします。
デジタルカメラ(112) フィルムカメラ(14)重複してヒットする仕様なので、これだけの数の製品があるわけではないけど、でも、多いよね。
パソコン(2) パソコン周辺機器(3)
パソコンサプライ(35) AV機器(110)
生活家電(395) ゲーム(2)
ホビー・おもちゃ(3) 時計・ブランド(7)
健康・スポーツ(272) オフィス・ビジネス(43)
で、それを受けてみんなであれこれ語っている中で、あたしがこんな話を投稿しています。
At 7:53 AM +0900 07.11.1, KAMEO Atsushi wrote:
ヨドバシではマイナスイオン計測器も買えます。
7万円台の手持ち式。
http://www.yodobashi.com/enjoy/more/i/4090798.html
ところが、メーカーのサイトでは
マイナスイオンとは書いていない。
http://www.andes.co.jp/exec/viewService.do?path=/home/product/ctAirIon/srzInti/prdItc201a
「正負の大気イオン」を計っていると称しています。
これ自体は、本当にそうなのかもしれない。
いわゆる「怪しい製品」じゃないかもしれないと思うんです。
でも「プラスイオン」と言っちゃったら、
「マイナスイオン業界」ではダニなんかも入っちゃう。
ふつうの人にとっては、なにを計っているのか、
こうなるとナゾな計測器のはずなんだよね。
このことだけからも、「マイナスイオンは商業語」
「実態は大気イオンのこと」と言うだけでは
なんの解決にもならないのは明白です。
ヨドバシは、もちろん、負の大気イオンと「いわゆるマイナスイオン」がイコールだと考えているから、ああいう説明になる。
計測器を作っているメーカーもその点では同じで、だからだと思うけれども効果については「いわゆるマイナスイオン」の話をしている。
だからこんな説明をしているページもある。
負イオン効果じゃあ、「負の大気イオン」で「リラックス・集中効果」を得られるのかっていうと、それはわかってないわけで。
独自開発のinti-fion方式<日米特許取得>を使用。
オゾン、電磁波の発生を限りなくゼロに抑えました。自然界のイオンバランスに近づけることにより、リラックス・集中効果が得られます。
http://www.andes.co.jp/exec/viewServiceDetail.do?id=22357
いや、研究されてないとは言いませんよ。しかし、確認されてはいない。
でも、ほかの製品カテゴリのものが、みんな同じ「負の大気イオン」のことを言ってると、考えられますか? セラミック炭がマイナスイオンを出すとか、マイナスイオンが汚れを落とすとかうたってるものだってあるわけで。ドライヤーのふんわり感とかもそうですけど、これを混乱と言わないで、なにを混乱というのだというぐらい、話がよじれています。「マイナスイオンは商業語」「実態は大気イオンのこと」なんて言って済ましてしまうと、購入者だけじゃなくて、お店もメーカーも迷惑でしょうよ、ってぐらいです。
というようなスタンスで、「マイナスイオンの話はぜんぜん終わってないよ」という話をしているのが『家電批評monoqlo』4号の「PSI九段下ニセ科学研究所」ってなこってございます。よろしく。
★PSI九段下ニセ科学研究所について
(1)116ページ。ヘアドライヤーや空気清浄機のマイナスイオン装備が標準だと紹介した直後に、無関係な「マイナスイオンが体にいい」という言説につなげた意図は何ですか?
(2) 117ページ。大気負イオンと「同じだけの大気正イオンも作られるはず」という根拠は? 負電圧をかけてコロナ放電させると多彩な負イオンが生成し、正電圧をかけて放電させると、主にヒドロニウムイオンが生じるという知見があります。
(3)118ページ。放電で生じる硝酸イオンは水和しています。これを即NOx扱いするのは短絡ではありませんか?
(4)NOxもオゾンもからだに悪影響を与えるほどの高濃度か否かを議論する必要があります。濃度について十分に検討していますか?
(5)119ページ。外国の通信社が大手メーカーにインタビューに答えたくだりは、菊池氏や小波氏がたびたび引用しているものですが、たかだか広報担当者の言葉であり、しかも2002年のことです。2008年の技術系雑誌で引用するのは不適切だと思います。現在の認識を大手メーカーの技術陣に確かめましたか?
(6)イオンドライヤーによる髪の「ふわふわシットリ」について、たとえ主観的であれ、ユーザーの感想はそれなりに尊重すべきでしょう。頭ごなしに否定すると『家電批評』は成立しないのではありませんか?
(7)イオンドライヤーについて、メーカーが明らかにしたことをどこまで把握しているのか、この文面ではさっぱり分かりません。何も調査しないでメーカーをあげつらっているのではありませんか?
★それ以外
(8)27ページ。生活家電を神機が出にくいジャンルと位置づけ、「シェーバーやドライヤーといった性能よりも個人との相性が大きい理容製品や性能が実証しにくいダイエット機器などから神機を選出することは困難である」としながら、大ヒット商品である松下のEH5441やジョーバの写真が使われているのは違和感があります。神機の定義がイマイチ呑み込めないのですが、少なくともドライヤーには個人の相性を超えて大勢のユーザーの支持が集まっていると思います。
(9)65ページ。酸素水が神水として紹介されていますが、これこそ典型的なニセ科学商品ではありませんか? 企画・編集のセンスを疑います。
(10)164ページ。チューイングガムレビューは主観的な感想を排して、味とか噛み心地とかはデジタル計測されたものでしょうか?
以上、ざっとですが指摘させていただきました。回答はあってもなくても構いません。
ヘアドライヤーは生活に密着した家電製品なんですから、『家電批評』は各社の主要製品の性能・特徴をきちんと紹介し、チューイングガムレビューのような分析も含めたうえでフェアな批評をしてほしいと思います。そうすれば、ニセ科学批判ギョーカイでまかり通っているイオンドライヤーにかかわる偏見が少しは収まるでしょう。
また、それ以外の件は編集部に伝え、今後の編集方針の参考にさせていただきます。今後ともよろしくお願いします。