2/1に警察庁が去年の犯罪統計を発表したんですが、殺人の認知件数は1,199件で平成3年の1,215件を下回って戦後最低を記録しました。まったく面目次第もない。
検索した限りでは新聞はどこも報道していないようなんですが、テレビでもあつかってないでしょうか。これは大ニュースだと思うのですが。
(略)
情けないことに、ブログでも記している人が見つかりません。ウェブ上の人々はジャーナリストと同じくらいの低レベルだということなんでしょうか。ウェブにアップされてる警察統計さえたどりつけない方が、マスコミ批判とかしているわけです。(以下略)
恥ずかしながら、報道されたことについて一次資料を調べようとすることはあっても、ブログ記事のために自分からデータを探すというところまでは、ボクの頭は回っていなかった。いや、商売の原稿を書くときでも、そこまで積極的だったことは……報道には出てこないような話題のときだけ、だっただろうなあ。まずは過去の報道をくっていたと思う。
いや、治安や警察統計についてそこまでの関心を持っていなかったと言ってしまえばそれまでなのだが。
同エントリによると、昨年末、ニューヨーク市の殺人事件数が最低記録を更新「しそうだ」ということはマスコミも報道していたという(ちなみに、実際に更新したかどうかの続報はなかったそうな)。
さらに驚くべきことがある。結局ニューヨークの記録は494件/800万人(これは全米10都市で最低なのだとか)。一方の日本はというと、1,199件/1億2000万人。
10万人当たりで比較すると、ニューヨーク6.17人/10万人、日本は0.99人/10万人……6分の1以下だ。[15:30p.m.追記: すいません! 最初、小数点が抜けてました! orz]
平成19年の都市別の統計は見つけられなかったが、平成18年、17年のものを引用しているブログがあった。
殺人発生率都道府県別ランキング(平成18年、平成17年)(Transition 2007/10/09)
平成18年、東京は1.07人/10万人で17位、大阪が1.54人で2位だった。ちなみに第1位の沖縄県だって2.05人、「大都市ほど殺人が多い」ってわけではないことまでわかってしまった。リンク先には詳細はもちろん、元データの所在もちゃんと記されている(どちらのブログも)。
どっかと比較してどうこういうのは乱暴なのかもしれないが、「日本の警察も誇らしくやればよさそうなもん」という 管賀江さん(少年犯罪データベースの中の人)のご指摘はもっともだと思う。
なお、このエントリ、コメント欄のやりとりも興味深い。
それにしても、本当に警察もマスコミも、気づいていないんだろうか???
小数点が抜けてますよ!
10万人あたり100だとすると……ぶるぶる。
ごめんなさいごめんなさい。調子に乗りました。
こういうときに限って寝てるし(大汗
ありがとうございます。修正しました m(_ _)m。
上記統計の日本の殺人認知件数には、強盗殺人が含まれてないので、厳密に比較することはできません。
しかし、私が書いたブログ記事である
http://supplementary.at.webry.info/200611/article_2.html
を読めば
・日本の殺人発生率(平成10年〜14年平均)は、殺人の定義を、殺人(未遂を含む)とすると、1.07である。
・日本の殺人発生率(2001年)は、殺人の定義を、殺人及び強盗殺人(未遂を含む)とすると、1.1である。
がわかり、単純に考えて、強盗殺人を入れても、1.1−1.07=0.03しか、上昇していません。
したがって、強盗殺人の分の上昇を考慮しても、ニューヨークの殺人は、東京都、大阪府、沖縄県の殺人よりも、はるかに、発生率が高い と推定されます。もちろん、年の違いを考慮する必要はあるが、1年しか、違わないから、こう推定してよいでしょう。厳密に論証すると、こうなります。
件数の把握と言うか定義が違うんですね。そこには思い至りませんでした。
http://blog.americaclub.jp/ryugaku_ny/index.cgi?eid=9
それに対して日本の殺人認知件数は
(殺人+殺人未遂)−(強盗致死+13歳未満の少年による殺人)です。
ただし、強盗致死は実は年間数銃件程度、13歳未満の殺人は皆無に近いです。
ご教示ありがとうございます。
わずかな違いかもしれませんが、ニューヨークの定義に合わせると、日本の殺人発生率はさらに下がるということですね。
こういう情報がメディアに採り上げられれば、いわれのない不安にとらわれている人たちなかにも、少しは安心できる人がいるのでしょうにねえ……。
人間、刺されても中々死ぬもんじゃないでしょう
どうなんでしょうね。
たとえば、同じ「ナイフで刺して致命傷になりかねない怪我を負わせた」という事件でも、傷害になるケースも殺人未遂になるケースもありますよね。それって殺意の認定で決まるのでしょうけど、多いのやら少ないのやら……。