2008年03月15日

EM菌について福島県が見解を発表

某氏のmixi日記で知りました。

県が初の見解「EM菌投入は河川の汚濁源」(福島民友ニュース 2008年3月8日)

下記のブログには、さらに詳細が載っています。

県が初の見解「EM菌投入は河川の汚濁源」(環境保全型資材 2008年03月09日)

このブログに掲載されている記事と「福島民友ニュース」との関係はよくわからないのですが、後半は手入力のようなので、実際の紙面ではネット版よりも長い記事が掲載されていたということなのかもしれません。

冒頭で触れた某氏の日記によると、こういう判断を自治体が示すのは初めてのことではないとのこと。そこで、少し探してみたところ2003年9月の広島県の見解を見つけました。

EM菌「推進しません」 広島県(中国新聞の記事 '03/9/13 2ちゃんのログから)

同じ記事(中国新聞の記事 '03/9/13 Internet Archivesのログから。文字化けする場合はエンコードを手動でS-JISに)

どちらの報道でも、推進している人たちの反論(?)が出ていますね。2003年には比嘉氏の反論も。ここでもやはり「信じてしまっている人には届かない」のかもしれません。
もちろん他の件と同様、「半信半疑の人に情報が届くことが大事」だと思いますので、こうした自治体の見解などが積み重ねられていくことを期待したいと思います。



ちなみに、広島県の見解は、おそらく同年1月のEM EXPOでのシンポジウム(比嘉氏も出席)で紹介されている「広島県では県知事の支持により、このたび県の環境保健センターで、室内実験ですが、本当にEMは効果があるのか、ということを実証実験することになりました」という事例の結論なのだろうと思います。

シンポジウムプログラム ”提言”近未来型行政力(自主自立×住民幸福度)の指標 琉球大学農学部教授 比嘉 照夫(EM研究機構 > EM-EXPO 2003 > 比嘉教授講演 2003.1.29)

この件について比嘉氏やEM研究機構は、実験の結果そのものは認めるものの「自然環境と全く異なる閉鎖系での実験では、EMの効果を否定できない」としています。また、研究機構はその点をはじめとして、実証実験を行った広島県保健環境センターに対し、再三再四にわたる質問と抗議を行っています。

広島県保健環境センターが行った「EM菌による水質浄化実証試験結果報告書」について(EM研究機構)

ぼくの知識とここで得られる情報からだけでは、どちらの主張が妥当なのかはわかりません。保健環境センターの回答が木で鼻をくくったような調子なのは、ちょっと残念。でも、口頭でのやりとりがあったことは繰り返し述べられているし、その一部は(4)平成15年11月27日の別紙2として公開されています(そこでもまた残念なことが語られていたりするけど)。そこからなんとなく想像できるのは「ああ、押し問答があったんだろうなあ」ということ。歯がゆいけれども、致し方ないのかもしれません。

ただ、保健環境センターは、次年度も同じ主旨の実験を行ったようで、下記の報告書に記述があります。
広島県保健環境センター業務年報 平成15年度2-4 環境解析部 〜 2-6 環境技術部(PDF)のp.33「2-6 環境技術部」の部分から抜粋。
(3)EM菌製剤を用いた水質浄化効果判定試験
目的 EM菌による水質浄化の取り組みが,県内でいくつか行われているが,EM菌の水質浄化効果については科学的に十分解明されていないため,その実証を行った。
方法 EM普及協会から入手したEM菌製剤をもとに,同協会の示す方法によりEM活性液及びEM団子を調整し,室内での実証試験を前年度から引き続き底質改善効果判定試験を行った。
結果 底質減量効果及び底質中の有機物,窒素,燐濃度の低下は認められなかった。これらの結果は,平成14年度の結果と合わせ環境対策室へ報告した。


「同協会の示す方法により」というのが正しいのであれば、そして、それによってEM研究機構が指摘している問題点がクリアされているのであれば決着のはずなのですが、そこはどういう扱いになっているやら、さらに調べてみる余裕が今はなく、わからないままになっています。

どの話も、一筋縄ではいきませんね。


タグ:EM菌
posted by 亀@渋研X at 00:04 | Comment(6) | TrackBack(0) | 渋研X的日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする はてなブックマーク - EM菌について福島県が見解を発表
この記事へのコメント
あ、kikulogでもエントリができた。

EM菌投入は河川の汚濁源(2008/3/14)
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1205503037

うげ、コメント欄によると、広島では結局その後もEM天国なのかな?

http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1205503037#CID1205508044
Posted by 亀@渋研X at 2008年03月15日 00:35
いつものことですが、kikulogコメント欄は情報の宝庫です。本文にもいろいろ追記されています。必見です。

追記の中では
>ここでのポイントは、「EMには効果があるかないか」以前にそもそも「ゴミを勝手に投げ込むな」という話なのだと思います。効果の検証がなされてはじめて、ゴミではなくなるわけで、「検証もせずに、まず投げ込んでみる」というのは非常に乱暴な考えかたです。

が重要かと。きくちくんはコメント欄でも「微生物処理という考え方自体は間違いではないですが、勝手に川に投げ込んでいいはずはないので」と言っていますが、「EMなんか効かない」とか「使うな」という立場ではないわけで。やり方の問題ですね。

以下、本文やコメント欄で紹介されていたURLをこちらでも紹介。

熊本県:24 環境に関するご相談でよくある質問
http://www.pref.kumamoto.jp/madoguti/eco_faq.asp
「Q8  EM菌による水質浄化は効果があるのですか。」に見解が示されています。

「えひめAI」のマニュアル(浄化槽にのみ使うそうです)
http://www.iri.pref.ehime.jp/iri/info/biseibutu/AI-1.pdf

広島EM普及協会
http://jabjab.org/

同サイト内の驚くような主張。

「EMは世界的な鳥インフルエンザの感染を救う可能性がある」
(トップ左のメニュー>公開資料>食と健康コーナー)
http://jabjab.org/EM/life/051018_Influenza.html

EMを使っていた農場では鶏インフルエンザにかからなかった。だから人間も加湿器などで吸引すれば……って、どんだけ飛躍があるんでしょうか。
「可能性がある」という表現なら、なにを言ってもいいってもんでもないと思うんですが……。

「幸い塾全国大会」のサイト
http://www.saiwaijyuku.gr.jp/index.php?%B9%AC%BD%CE%A1%A6%C1%B4%B9%F1%C2%E7%B2%F1

比嘉教授ばかりか「水伝」の江本氏、船井総研の船井幸雄氏まで一堂に会しています。ビデオで講演が見られます。

次は青森県の事例。

小川原湖漁協検討委が「EM投入せず」の方針(デイリー東北 2007/03/10)
http://www.daily-tohoku.co.jp/news/2007/03/10/new0703101601.htm

同報道の件に関する分析。

小川原湖でのEM菌の活用法は正しかったのか(みどりうかブログ 2007/03/10)
http://midoriuka.blog33.fc2.com/blog-entry-2790.html

和歌山では、逆に行政が旗ふり役になっているようです。

EM団子で川を浄化 障害者と住民が協力(紀伊民報AGARA 08/03/01)
http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=141448

うちのエントリ本文で触れたシンポジウムでも、広島県知事が乗り気で、みたいな話が出ていますが、「これだけでいい」みたいなカンタンでベンリな話は、やっぱり人を引きつけるのでしょうか。
Posted by 亀@渋研X at 2008年03月15日 16:03
こちらでは始めましてです。
本文で紹介されていた「広島県保険環境センターの報告書」読ませていただきました。
確かに、おっしゃっている通り押し問答などがあったのかもしれません。ただこれはどちらの意見も分る気がします。
実践している方としては、現場と実験室での実験とは環境があまりに違いすぎるという事、県としては、成分そのものもはっきりしない物を認めた場合、何かあった時の責任問題が生ずるため迂闊に結論が言えないという立場があります。

ただこの広島の場合、文書として出された形を見ますと、確かに活動している人達に対してはあまりにも冷淡な印象をうけ、説得力がありません。これでは活動している人達をよけい奮い立たせる結果になってしまうと思いますし、事実そうなってしまった様に見えます。

ただ活動する側にも問題があり、行政から否定された事により、その活動の拠り所を全面的に比嘉さんの言葉に寄りかかったと見る事が出来ます。
ここで言わば比嘉さんが絶対的な存在となり、彼の主張すべてを全面的に受け入れるという事になったのかと思ったりしています。

今回の福島県の件で、果たしてどのような実験が行われたのか、そしてそれをどのように説明したのかがいまいち分らないので何とも言えないのですが、紹介されたブログ(「環境保全型資材2008年03月09日)の長い方の文の中に登場した、NPOの理事の方のコメント
「汚れた池や河川が目に見えてきれいになるなどの効果が出ている。【理論的には説明できないが】、今後も(利用を)継続したい」(【 】は私)
という部分が一番問題かと思います。
本来、環境浄化活動というものは、その事をしっかり把握した上で行うものだと思います。
その原理も分らずに行った場合、うまくいかなかった時の原因も分らない、つまりその方策の立てようもありません(結果、比嘉さんの言う通り「効くまで使う」などというムチャな事になる訳です)。
このような状態で突き進む事は、やはり危険な事であると言わざるを得ませんね。
Posted by OSATO at 2008年03月16日 01:30
OSATOさん、こんばんは。
おっしゃることに賛同します。

自治体の対応について、うまく言語化できなかったのだけど、同じようなことを思いました。自治体側の対応に「なんだよ、それえ。ちゃんと説得力のある根拠を示せよう」みたいな苛立ちを覚えることが、ボクも多いのです。が、やはりうまく言えないのですが、個々の職員レベルでは致し方ないのかなあなどという諦めも混じりつつありまして。

しかし、説得力がない結果、かえって反論する側を勢いづかせるのは確かで(ぼく自身がそういう立場だったこともあります。そのときのことは今も納得できていない)。

いろんな事情はあるにしても、自治体側が動くぐらいしか「手間ひまかけてちゃんと確かめること」ってできないわけで、そこをなんとかやれたんだったら、頑張って、こらえて、ちゃんと伝えてほしい、そうでないと、まさに「水の泡」ってこともありますよね。

比嘉さんが絶対的存在になっちゃったのではないかとのご指摘は、そうなのかもしれないとも思います。ありがちというか。
でも、比嘉さんの態度はそれでは説明できないですよね。いっしょに推進してきた人たちの期待に応えようとしただけだとしても、学者がそれじゃあまずい。

>その原理も分らずに行った場合、うまくいかなかった時の原因も分らない

ひとつひとつ、「ここまではわかった」ということを積み上げていって、「よりよい方法」にたどりつくのって簡単じゃないですよね。そこら辺を許容するという耐える「辛抱強さ」がないと、環境問題は解決しないはずだと考えています。環境問題はこの件に限らず、もう、関係する要因が無茶苦茶多いんだから。

少し前に、ある雑誌で「印刷物の制作と環境負荷」についての原稿を書いたんですが、もうもう要因が多くて、調べていて泣きたくなりました。

よく言われる「いまできることをする」っていうのは、活動している人のやる気を失わないためには効果的なスローガンなんだとは思うのですが、それによって事態がより混迷することも少なくないだろうと思うんですね。

頭が痛いです。って、それで終わらせちゃいけないんて、環境がらみの話はときどき採り上げたいのですが、なかなか難しくっておいそれと手が出ません。
Posted by 亀@渋研X at 2008年03月16日 04:31
 コメント欄としては、はじめまして、です。

 福島県に住んでいるものですが、今回の話題の記事は、ほとんど県内では注目を受けなかったと思います。

 新聞紙面での記述は、ネットにアップされていたものと同じ文章で、2段見出し(で良いのかな?)でした。

 それから、身近な若い衆(高校生)に聞いたところ、川にEM菌を流す体験をしたものは、相当数いました。

 今回の発表の後も、「川をきれいにするため」と信じてEM菌を投入する学校は、相当数あるものと思います。
Posted by shunsoku at 2008年04月20日 19:55
shunsokuさん、こんにちは。
フジテレビの件ではないですが、すぐになにかが変わったりすることは滅多にないと思っています。思ってはいますが、全然変わらないというのもしんどいですね。
Posted by 亀@渋研X at 2008年04月22日 11:07
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