Yahooの記事でも触れられているように、きっかけはこれ↓です。
幸運を呼ぶ「神の手雲」のメールに注意(G DATA 2008.3.17)
「G DATA」というセキュリティ関係の会社が、上記内容で危険を警告するニュースリリースを出したようです。そこには代表の方の談話として、こんな話が。
こういった捏造写真は「嘘」(この場合は合成であることを本当に撮影したと思わせること)によって信じた人達を傷つけるだけではなく、具体的な犯罪の温床になっている場合があります。
広告により収入を得る海外系ブログの中には”効率よく訪問者を増やしたい”という欲望に支配されているブログが、残念ながら少なくありません。その手段としてブログ作成者は”目を疑うような画像”を捏造し意味ありげなタイトルをつけチェーンメールとして配布し、その解説を自身のブログで行い、検索サイトの上位に上がってくるまで”鴨を待つ”のです。
目的は自身のブログに訪問させ、それで利益を得ることですから、利益率の高い”悪質な”広告が、そこに並んでいる確率が格段と高くなっています。こういった広告のリンク先にスパイウェアやフィッシング詐欺が潜んでいるリスクはかなり高いものと推測されます。
(略)
また、こういったブログを解説するブロガーの方々も、出典先のリンクやセキュリティについては十分確認をしてほしいと思います。(以下略)
これは緊急性の高いトピックだ、という判断でしょうか、G DATAの「警告」をネットメディア各紙が時間差で報じています(後述)。たまたまの時間差なのでしょうが、それで結果として連日の報道にも見えるのかもしれません。
ちょうど『AERA』2008年3月24日号(03月17日発売)に「都市伝説化した『神の手雲』の正体」という記事が出ているという話は、コメント欄へのAnonymousMさんの3月16日の投稿(早っ!)で教えられて知っていましたが、それとの相乗効果もあるのかもしれません。
でもですねー、例えばこの件を報じたITmediaの記事の最後には、こう書いてあるんですよねー。
コミュニティーWebサイト「mixi」上で神の手雲が一部に出回ったことを受け、「mixiに掲載されると影響が大きいと判断して注意を呼びかけた」(同社広報)という。
同社は約200のリンク先を調べたが、マルウェアなどが仕掛けられているサイトはなかったとしている。
どうなんでしょうねー。
どうも、ネットの読者に限らず「見出ししか読まない」率は高いので、これが新たなデマにならないといいんですけどねー。
以下、順不同で各サイトの記事をご紹介。
各ニュースサイトとも、G DATAの「警告」内容に合わせて「危ないかも」という主旨の記事です。ITmediaとインターネットコムは、見出しでも「マルウェア感染の可能性も」「スパイウェアやフィッシングの手先かもしれない」などと書いています。
神の手雲メールに注意 マルウェア感染の可能性も(ITmedia 2008.3.21)
幸運を呼ぶ「神の手雲」と呼ばれるチェーンメールに注意呼びかけ(アメーバニュース 2008.3.21)
「神の手雲」はスパイウェアやフィッシングの手先かもしれない――G DATA が注意を喚起(インターネットコム - 2008年3月18日)
神の手のような雲は幸運を呼ばない--G DATA、チェーンメールに注意喚起(CNET Japan/ZDnet Japan 吉澤亨史 2008/03/18)
チェーンメール「神の手雲」が流通 - G DATA Softwareが注意呼びかけ(Security NEXT - 2008/03/19)
ちなみに、ぼくが知っている限りでは、「神の手」ネタで海外のサイトを紹介している日本のWebサイトは、それほど多くないです。最もたくさん紹介しているのは、もちろんウチでしょう(^^;;
で、ぼくはMacユーザーなので、ぼくが被害に遭っていないということはなんの安心材料にもなりません。
だけどさー……そらぁ「可能性はある」と思いますよ。絶対ないなんて言えない。でもでも、そういうのに引っかかるリスクと、便乗ネタを増やすリスクとどっちが大きいんだろうなあ……。
こういう「どっちのリスクを重く見るか」って、セキュリティホールなんかが見つかる度に話題になりますけどねー。こういう、使い古しの「おもしろ画像」をネタにするって言うのが、どうにも解せないなあ……。
史上初、チェーンメールを使った売名? (メカAG 2008/03/21)
http://www.asks.jp/users/mechag/157043.html
この企業のことは初めて知りました。
うーん。この記事の出し方は、ちょっと悩ましいですね。
該当記事は「最新ニュース」というコンテンツの一部ですが:
http://www.gdata.co.jp/press/#
URLの文字からしてもここは「プレスリリース」であって、いわゆる「警告情報」 _ではない_ ようです。
ちょっと紛らわしいんじゃないですかね。
正規?のウィルス情報ページははココです:
http://www.antiviruslab.com/newentries.php?lang=jp
で、このプレスリリース記事は、以下の3種類に分類されるようですが:
1.製品情報・イベント情報
2.調査結果など事実と数値に基づく記事
3.ユーザー向けの一般論的な「啓蒙記事」
今回の「神の手」記事は3番にあたるもののように思えます。
この「啓蒙記事」のタイトルを列挙してみると:
幸運を呼ぶ「神の手雲」のメールに注意
http://gdata.co.jp/press/archives/2008/03/post_29.htm
ジーデータによる2008年のウイルス警戒ポイント
http://gdata.co.jp/press/archives/2007/12/2008.htm
スパム・ビジネスの実態に迫る〜アルバイト感覚でも一攫千金
http://gdata.co.jp/press/archives/2007/10/post_20.htm
夏期休暇中のセキュリティ対策〜外出先でのネット使用には最大の注意を〜
http://gdata.co.jp/press/archives/2007/07/
国が仕掛けるトロイの木馬にウイルススキャンは無反応? 〜捜査当局のスパイウェア使用について
http://gdata.co.jp/press/archives/2007/07/post_13.htm
なんというかなぁ、スキャンダラスな「煽り記事」っぽい印象の記事が多いですね。今回の「神の手」記事も、そういう一連の「煽りっぽい啓蒙記事」の一環のような印象があります。
これがこの会社のカラーなのかな。
たとえば同じプレス記事でも、マカフィーの論調とカラーはだいぶ違いますね。もっと落ち着いている。
http://www.mcafee.com/japan/about/prelease/prelease.asp
ユーザーへの啓蒙はもちろん非常に大切なことですが、「手法」としてはちょっと感心しないなぁ、というのが正直な感想です。
なんか、どっかの記事によると本社がドイツにあるらしいです。日本での知名度を上げたいという切実な欲求でもあるんでしょうかね。
しかし、おもしろいほどに影響が1日程度で終わりました。ニューあきばドットコムよりも影響期間が短い感じです(^^;;
で、日曜日に図書館でアエラの記事を見てきました。AnonymousMさんが言及しておいでの「福岡県の自営業の男性」のコメントだと、どっかの写真投稿サイトには「『白人男性が両手で自分のお尻を広げようとしている写真に、空の写真を合成してみた』と説明がありました」って言うんですが、そんな説明、見たことがありません。そういう意味での合成ではあり得ないと思うんですよねえ。
まあ、「福岡県の自営業の男性」が英文の説明を誤読したとか、記者が間違って要約したとか、そういうことかもしれませんが。
せっかくお天気の森田さんのコメントまで取ってるのに、この説明は残念だなあ……。
----引用ここから--------
結果、沖縄方面にも問い合わせが相次いでおり、沖縄気象台や沖縄県観光協会には、今年に入ってから週に数件のペースで問合せが寄せられているそうだ。気象台職員は言う。
「本物だったら見に行きたいんだけど、というような感じの方が多いですねえ」
----引用ここまで--------
いや、大きな実害ではなさそうなのがなによりですが、本当にこういう現象があるとしても「見に行きたい」って出掛けて行けば、ちゃんと見られるってもんじゃないだろうと思うんですけどねえ……。