2008年03月21日

ビリーバーをつなぐメビウスの輪

かねがね一部で不思議がられていた「どうして『とんでもA』のビリーバーさんと、およそ関連性のなさそうな『とんでもB』のビリーバーさんが手をつなぐというようなことが頻繁に起きるのか」という現象について、NATROM氏が興味深い情報を提供している。

911陰謀論と千島学説の関係は?(NATROMの日記 2008-03-21)
まとめると、千島学説―ケルヴランの生物学的元素転換―常温核融合―純粋水爆―WTCビル崩壊自作自演説というわけ。千島学説―現代医学否定―ユダヤ陰謀論―WTCビル崩壊自作自演説という連鎖もあるので、輪が閉じて一周する。美しい。

うお……、これ、なんてメビウスの輪

半信半疑の人には、これだけでもインパクトのある話だろう。自分がNGとして棄却したものがこのメビウスの輪の中に位置づけられていれば、ほかの話も眉につばをつける動機になるかもしれない(もちろん、いったん棄却したものを再検討する理由にされてしまうかもしれないけど)。


もちろんNATROM氏も書いておいでのように、「単に自然科学の素養に欠けるから、とか、権威に反対するのがデフォルトだから、とか、そういう理由もあるだろう」という指摘は誰しも思いつくところで、それが否定される必要はない。「敵の敵は味方」という勘違いもあるだろう。

ただ、今回の事例を知って「やっぱり」と思うところもあった。ビリーバー氏たちには、彼らなりに合理的だと考える理由があるのではないか、そういう気がずっとしているのだ。酒屋の若旦那の話やらあっちこっちでも書いたように、彼らなりの検分はしているに違いない(「神の手」の写真を波動測定器にかけた人だっていた)。単にそれが「ほかの人にとっても有効とはとても言えない」という部分があるだけの場合もあるのではないか。

たとえば、黒影氏は以前科学というモノサシ(幻影随想 2008年01月28日)で「科学というモノサシの欠如」という言い方をした。これを、ちょっと言い換えて「科学とは別のモノサシを採用している」とか「個人的には科学だと信じているナニか別のモノサシ」とか言ってもいいのかもしれない。

実を言うと、「科学」を軸に持ってきて語れることが自分にはとても少ないと感じている身としては、「科学」の代わりに「合理的判断」あたりを持ってきたいところなのだが、先にも書いたように、彼らは彼らなりに合理的だと判断しているのだとすると、これはおかしな重言もどきになってしまう(「馬から落ちて落馬する」ではなく「馬から落ちずに落馬する」みたいな)。でも、合理的であろうとすることと実際に合理的であることは別のことなので、それでもいいのかな(「馬から落ちまいとして、かえって落馬してしまう」とでもなるか)。

そう言えば、今回のケースのような「個々の事例の中に誤謬が混入しているケース」もさりながら、事例の関係の中に誤謬が混入するケースも多そうだ。典型的なのは「正しいと認められている事例と構造がそっくりだ。だからこちらも正しい」の類いか。相関と因果の混乱もそうか。
これが同時に起きていたら……「なぜ信じるか」「なぜつながるか」は、余人には理解不可能かもしれない。

極端な一般化はまずいけど、ついついあれこれ考えてしまう春の夜なのだった。


posted by 亀@渋研X at 23:09 | Comment(6) | TrackBack(0) | 渋研X的日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする はてなブックマーク - ビリーバーをつなぐメビウスの輪
この記事へのコメント
>これ、なんてメビウスの輪?

見ても驚かなかった私は、かなり非合理な思考に毒されているようです(^^。合理的な思考を持っているお方がどう思うのかは分かりませんが、おそらく突っ込みどころ満載なのでしょう。

ただ怪しい話に振り回されるのはもうこりごりですorz。これからも亀さんの意見を参考に、己の思考を磨きます。なにしろ今の私は、「おとぎ話とこの現実の世界を完全には切り離す事の出来ない人間」ですからね。

もっとも、一抹の不安は感じます。完全に合理的な思考を身に着ける事に。
その後さらに有意義な時間を過ごせるかのは、いまだ完全には予測できていませんから(_ _;)。
Posted by TAKA at 2008年03月22日 06:06
「あるトンデモ理論は、常に別のトンデモ理論によって説明される」

つらつら思うに、この手の理屈の接続の仕方は、ある種のSFでは良く見られるものですね。ヤマトの波動エンジンやら、ガンダムのミノフスキー物理学やら。世界的には、スタートレックが集大成で代表になるんでしょうか。また剣と魔法のファンタジーでは、作品を超えて想像上の理論がつながる傾向がありますね。ミスリル銀とか。

私はよく、SFに触れないで育った人はトンデモにはまりやすいのかもしれない、なんて思ったりします。
Posted by A-WING at 2008年03月22日 10:25
TAKAさん、こんにちは
「有意義な時間」……うーん、ニセ科学とかオカルトとはできるだけ関わらないで生きるといいような。これって、やっぱり不毛だもんねえ……自分で自分の首をしめていますが(^^;;

>亀さんの意見を参考に
うーむーむー。くれぐれも「参考」に留めておかれることを、強く推奨しますです(汗

A-WINGさん、こんにちは

>SFに触れないで育った人はトンデモにはまりやすいのかもしれない

同じことをよく考えます。フィクションの極北だもんね。
「もっともらしさ」はこしらえることができる、っていうことは、学校なんかでも教えていいいいと思うんですけどね。
Posted by 亀@渋研X at 2008年03月22日 13:27
拝読していて太田竜(龍)を思い出しました(笑)

太田竜 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E7%94%B0%E7%AB%9C
マルクス主義→武装テロリスト→アイヌ解放闘争→エコロジー→勝手にグリーンピース→勝手に緑の党→反ユダヤ主義→反フリーメーソン・反イルミナティ、という華麗な遍歴の。

なんというかなぁ、「モノガタリを紡ぎたい」という欲求が高いのかな。

>SFに触れないで育った人はトンデモにはまりやすいのかもしれない

これは同感!!!ホントそう思いますよ。「免疫」がないというか。
Posted by やぶいぬ at 2008年03月22日 21:26
お、太田竜! こんな文脈で出会うとは。

ええと、ぼくは「ほたるいかの沖漬け」が好きでして。「ほたるいかの書き付け」も読んでいます。

http://ameblo.jp/fireflysquid/

あの原典批判のブログです(シリーズ第2弾も進んでいます)。ここで「太田」でブログ内検索していただくと『Hado』2月号での江本×太田対談(の一部)がツッコミつきで読めます。

モノガタリ欲求。そうなんだろうなあ。であればこそ、良質なフィクションをたんと読んでいただきたいものですが……そうじゃないから、ああいうアチャラカに簡単にやられるんだろうなあ……。
Posted by 亀@渋研X at 2008年03月22日 22:50
読みました。わはははははは。

……

ダメだコイツら、なんとかしないと…
orz
Posted by やぶいぬ at 2008年03月22日 23:25
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