ちょっと考えてみてほしい。次のどれがオッケーで、どれがNGだろうか?
- 特定の思想・宗教に基づく歌だったら?
- 「基づく」のではなくて、「連想させる」のだったら?
- 酷似しているとして、それが偶然だったら?
- じゃあ、意図的だったら?
- その内容自体は、公序良俗を乱すとまでは言えないものだったら?
- 思想・宗教というよりも、むしろカルトに近いものだったら?
- オカルトっぽい部分があるとしたら?
- 政党や教団などのような「組織」をもたない人たちのものだったら?
- 共鳴している人たちの多くが、「これはあの思想(宗教、カルトなど)だ」と言い出しているとしたら?
- それがNHKだったら?
- 何度も繰り返し流されるのだったら?
「特定の思想・宗教」とか「カルトに近いもの」がなにかによる?(あなたの知っている、いろいろなものを当てはめてみて下さい)
内容次第? 関係が明らかなら問題? 偶然だったら問題ない? いやあ、悩ましい。
ぼくには答えが出せません。言えるのは、「明らかに特定の勢力と関連が深いものを、それと断らないで放送で繰り返し流すのは、さすがにまずいのではないか、と疑問を提起するだろう」というぐらいでしょうか。
たとえば、キリスト教や仏教によらず、慈愛の精神や平等の精神を説く宗教や思想は、いろいろありそうです。それもNGなのかというとよくわからない。たまたま似てしまうこともあるだろう。だけど、明らかに特定の宗教(かなにか)に基づくのなら、それと明言してほしい。
ちなみに、音楽以外の、たとえば連続ドラマやアニメだったら……と考えると、「強い影響下にあるが、はっきり名言されていない作品」を排除することは、原理的に無理だろうと思われます。
NHKの番組「みんなのうた」を知らないオトナはいないだろう。わざわざ見る人は少ないかもしれないけれども、まあ国民的知名度ですよね。
そこで「クリスタル・チルドレン」という歌が、4月から放送されています。
DVD付きのCDも販売されています。
いずれの紹介ページでも、特定の宗派等の勢力との関連は書かれていません。
「みんなのうた」の紹介ページ(魚拓)
「みんなのうた」商品情報のページ
レーベルによる紹介ページ
レーベルによる特設サイト
AmazonのCD+DVDのページ
YouTubeには、気づいた範囲で4つの音源(いずれもほぼ同内容)がアップされています。もっともアクセス数が多いのは、4/12にアップされたこの音源です。
みんなのうた クリスタル・チルドレン
http://jp.youtube.com/watch?v=VOwftDns1VI
「クリスタル・チルドレン 歌詞」で検索すると、歌詞を掲載しているブログ記事になどに、すぐにたどり着けます。
この歌が登場して、話題になり始めるまでは「クリスタルチルドレン」で検索すると、トップに来るのはドリーン・バーチューという方の著作や考えを紹介するページでした。
エンジェル・セラピー[ドリーン・バーチュー日本語公式Webサイト]
http://doreen.jp/angelguide/007children.html
実は、この「クリスタルチルドレン」については、以前このブログでも言及したことがあります。
mixi日記から:群棲する「星に願いを」(2007年09月01日)
http://shibuken.seesaa.net/article/53484544.html
「クリスタルチルドレン」というのは、前述のバーチューやその支持者によると、「インディゴチルドレン」などとともに「レインボーチルドレン」とか「スターチャイルド」と総称されているようです。歌詞には、インディゴとかレインボーとかは出てきません。
そこで、「NHK レインボーチルドレン」で検索してみるると、少なからずこんな声が見られます。
NHK みんなのうた 「クリスタルチルドレン」 は、
今の時代のクリスタルチルドレンたち、スターチャイルドたちの
とっても素敵な メッセージソングです
私は、長年、学校という枠にはまらない個性的な親子の
サポートをさせていただいてきたこともあり、だいぶ以前から、
「インディゴ・チルドレン」「クリスタル・チルドレン」「レインボー・チルドレン」
の存在を目の当たりにしてきました。
(略)
そして、今、NHKの「みんなのうた」で「クリスタル・チルドレン」が歌われるように
なったなんて、嬉しくて嬉しくて魂が震えてしまいました(^-^)/
NHKみんなのうたで4月5月紹介の歌「クリスタルチルドレン」という歌が
ニュー・エイジ系のサイトで話題になっている。
わたしも聴いてみて、こんな世界になれればいいな、と単純に涙が溢れた。
(略)
クリスタル・チルドレンとは、
インディゴ・チルドレン、クリスタル・チルドレン、レインボー・チルドレンなどと呼ばれている
NHKのみんなの歌で『クリスタルチルドレン』というスピリチュアルに興味がある方にはなじみの深いスターチャイルドをテーマにした歌が放送されています。
先のYouTubeのコメント欄でも、似たような声が散見されます。
「クリスタルチルドレン」の歌詞は、バーチューの主張するところと、とてもうまくかみ合うようです。上記のようなブログ記事では、歌詞やバーチューの主張を一緒に紹介しているものも、少なくありません。
さて、ここで最初の問題に戻ります。
あなたは、このできごとをどう受け止め、どう考えますか?
かなり濃厚な関係が疑えるけれども、関係が明らかとまでは言えませんよね? 内容も、疑問や異論がある部分があるにしても、反社会的とか公序良俗に反するとまでは言えませんよね? いわば、グレーゾーンに位置すると考えますか? あのタイトルでも? 偶然に偶然が重なった?
ぼくはうまく問題を整理できませんが、「NHKがレインボーチルドレンに理解を示したのだ」なんて言われるのだったら、やっぱりやめておいてほしいと思います。
どうしようかなあ。
NHK●メール・手紙・FAXによるご意見・お問い合わせ
http://www.nhk.or.jp/css/goiken/index.html
FAQ 〜 よくある質問 〜(日本語公式サイト)
https://www.nhk.or.jp/minna/request/request.html
>ドリーンはキリスト教徒として育ち、今でも、神や、聖霊や、イエスや、天使と対話しています。ドリーンは、リーディングやセッションの最中、その前後に、そういった存在にいつもアドバイスを求めています。
>ドリーンは、ワークショップや講演会などで、参加者の亡くなった親族や友人と対話することがありますが、〜
>ドリーンは、透視能力者で、スピリットの世界をつぶさに見ることができます。
>また、“地縛霊” は “堕天使”の別の形です。地縛霊とは、亡くなった人間が、地獄に対する恐れや物質への執着など、さまざまな理由により、今だにこの地球に根を下ろした状態でいる存在のことをいいます。地縛霊は、幽霊と呼ばれることもあります。
「クリスタルチルドレン」も、同様の資質を持っているというようなことも書かれています。
ただし、歌詞の中にはそうした主張は出てきません。
1.立場を明確にしないのはよくない。
真意や本音を隠して中立を装うというのは欺瞞であり、詐欺であり、ウソだから。
2.調査不足、無知もよくない。
少なくともNHKのような立場では、知らなかったは怠慢であり許されないのではないか。
と、思う程度です。
イヤだってことと、ダメだってことって、違うよね、とかね。ぐずぐず。
http://d.hatena.ne.jp/filinion/20051014
基本的には、問題視するほどのことではない……と思うんですが……。
確かに、
「この地球(ほし)を光で包む
祈りの愛を持って生まれたんだ」
とか、確かにそう受け取れないこともない部分もあります。
しかしまあ、基本的には詩的レトリックとみなし得るし、普通の視聴者はそう受け止めるのでは。
(「新しい世代は」そのような魂を持っている、というより、「私たち人類はみな」そうである、と理解するのが順当だと思えるのですが)
……ところで、クリスタルチルドレンとかの話、初めて知りました。
読みました。
ええーっと、「光る眼」とか思い出したんですが……。
彼らは一見して私たち人間と同じように見えますが、その精神的実体は異次元からの侵略者であり、人類文明の破壊と乗っ取りを企んでいるのです!
その尖兵となるのが「インディゴ・チルドレン」です。
彼らは既存の社会制度に対して強い敵意を持っており、反抗的・破壊的な行動によってそれを表現します。
しばしばADHDなどと診断され、特別な教育的・医学的配慮を払われさえする彼らですが、実際には彼らは単なる知的障害児ではなく、私たちの社会を破壊するという明確な目的の下に送り込まれた「兵士」なのです。
その他、現在の社会が破壊された後に新たな社会を作る文民階級である「クリスタル・チルドレン」、支配階級である「レインボー・チルドレン」などもすでに送り込まれています。
恐ろしいことに、彼らの多くはテレパシーなどの特殊な能力を持ち、彼ら同士無言で意思疎通ができる上に、こちらの意図を読み取ることさえできるのです。
彼ら侵略者から我々の社会を守る方法は一つしかありません。
注意深い観察によって、このような「異常な」子どもたちを発見し、速やかに(以下略)
妄言はさておき。
西城秀樹の「YMCA」は、同性愛を賛美する歌と見なすべきか、と言ったら、私はそうではないと思うのですが。
いや、今回の場合、実は作詞者がバーチューの関係者で、NHKの内部にもシンパがいる、とかだとしたら確かにイヤな感じですが……(フットインザドア戦術?)。
YouTubeでも聞いたんですが、確かに違和感も感じました。
それは、「この子らの歌、上手いのか?」ってこと。
「みんなの歌」で児童合唱団とかが歌うことはしばしばありますが、普通は大人の歌手と遜色ない素晴らしい水準で。
……でもこれ、すごく下手なような……。
それがテレビで放映されているのは、何か、「裏の思惑」が働いているのでは……とか勘ぐってしまうのは……陰謀論でしょうねえ……。
ジャック・フィニイ? 違った。ウィンダムの『呪われた村』かあ。
フィニイは『盗まれた街』=『ボディ・スナッチャー』ですか。や、昨年また映画化されておる。
しかし、もうどれがどれだったか。あうあう。
>注意深い観察によって、このような「異常な」子どもたちを発見し、速やかに(以下略)
きゃあ! でも、わかります。そういう反応だって出てくるかも知れませんよね。
>……でもこれ、すごく下手なような……。
なんか、オーディションで選んだらしいですよ。
http://www.avex-io.com/kids/IOCD-20252.html
>歌うは、本作の為のオーディションで、全国各地から選抜された、6〜18歳までの特別
ユニット「クリスタルズ」。
だそうですから。
で、その下の方まで見ると、画面や音から想像するよりも、たくさんの子どもたちが関わっているみたいでもあります。
ひのふの……35人もいます。
なんだかなあ。
結局、ぼくは「オカルトあるいはウソ八百な主張との関係が強く疑える」ということが問題なんだろうなあ。で、それは自分にとって「オカルトの類いだけは例外です」なのか。あるいは、単に「オレはイヤだ」というアレルギーに過ぎないのか。
ぼくにもよくわかっとらんのです。ぐずぐず。
今回に関しては、歌の内容そのものはともかく、タイトルだけでアウトと考えていいケースなんじゃないかと思っています。
「クリスタル・チルドレン」と言う言葉はドリーン・バーチューのサイトを見る限り、彼らの思想にとってかなり重要な位置を占めています。
したがって、この言葉だけで彼らの思想に簡単にアクセスできてしまうことになります。
彼らの言うところの「クリスタルチルドレン」と言う概念が問題なのは、オカルトであることもさることながら、これが必然的に子供を巻き込むこと、自閉症という障害に関する理解を妨げること、の2点において容認することが出来ません。
障害者に対して勝手な理想像(と言えば聞こえはいいですが、まあ、妄想ですね)を押し付けているに過ぎないものですから。
特に「みんなのうた」は言わば隙間番組ですから、意識しなくても何となく耳に入ってしまうと言う性質のものです。
そこに、こんな危なっかしい概念を含むタイトルの曲を持ってくるのは、やはり、まずいですよ。
知りませんでした、だとしたら、それはそれでまずいですよ。
NHKは以前、ドーマン法でも失敗したことがあるのに、なんでまた、こんなダメダメなものを持ってくるのかと、不思議にすら思います。
>「光る眼」
ジョン・カーペンター監督のですよね。
ブログの関連エントリも拝見しました。
http://kurizu.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/nhk_b846.html
いつぞやは、どうもです。
>この言葉だけで彼らの思想に簡単にアクセスできてしまう
そうなんですよね。本文でも書いているように、あの歌以前には、この言葉は彼らしか使っていなかっただろうと思われます。
>オカルトであることもさることながら、これが必然的に子供を巻き込むこと、自閉症という障害に関する理解を妨げること、の2点において容認することが出来ません。
これもわかります。
というか、後者についてはぼくの考えが浅かったです。まっとうな対応から遠ざける可能性が高いものに近づけてしまうわけですよね。いわば、ホメオパシーに強く関連づけた歌があったとしたら、それは許されるかというようなものですね。
一般化して考えるから足を取られるのかなあ……。うぬぬ。
私も、バーチューの公式サイトにある、
>インディゴチルドレンは薬物治療を施されると、その優れた感受性や、生まれながらのスピリチュアルな資質、戦士のエネルギーを失うことがあります。
といった記述は、ADHDなどの子への適切な対処を妨げるもので、大いに問題だと思います。
ただ、バーチューの問題と、歌の問題は切り離して考えるべきだと思います。
Amazonのレビューとか見る限り(3つしかないけど)、この歌をスピリチュアルなものとして受け取るのは、すでにスピリチュアルな人だけで、一般人はそうでもないのでは。
「タイトルからバーチューにアクセスできるから危険」
というのは、
「社会主義は危険だから“昆虫の社会”も発禁」
という話に似ているような。
いや、NHKなり作詞者なりが、バーチューの宣伝のつもりでやってるなら、確かに問題だと思うのですが……。
(でも、作詞者がバーチューの本をちょっと読んだことがあって、「言葉の綺麗さに引かれて」「なんかいいなと思った」とか、そういう程度の可能性もありますよね……)
みんなの歌、一体どういうプロセスを経て放送される歌が決まるのやら。
「アフターマンの歌」みたいな、明らかに得的の本の影響を受けた歌もあるし……。
ううむむむ。
なんか、私もよくわからなくなってきました。すみません。
(私も、奇跡の詩人は全くのダメダメだったと思います)
この間の体験から、「あんなとんでもない主張に飛びつく人は、そうそういないよ」とは思えません。しかし、一方で「うかつな人たちはそもそも調べない」ということも知ってしまった。
さらには「公共放送での意図的な宣伝は明白にアウト」だとしても、「影響を受けた」程度のものや「共通点がある」という程度のものはどうか。
いずれにしても、あの歌がどのような経緯で出て来たのかが重要なポイントなので、いま連載のスタッフに、記事にする前提で公開質問状を出してみないかという提案をしています。
意図的に紛らわしくするというのは良くある手法で、オウムがアレフになったりと。「消防署の方から来ました」という訪問販売の裏返しというか。
ぼくは最初から「この歌の作者が意図的に紛らわしくしたのではないか」という疑いをもって見ています。そういうバイアスがあるのですが、それでも、何度読み返し考え直してみても「きっとそうだ」とまでは言えないんですよね。タイトルとパフォーマーの名前にある「クリスタル」「クリスタルチルドレン」だけなので、偶然の一致を排除できない。
しかし、これだけで確実にバーチューにたどり着けます。しかもググるだけで。もしも意図的なのだとしたら、かなり上等な手腕と言ってもいいのかもしれません(あー、ぼくがアホなだけかもしれませんが)。
そのために、あえて一般化して考えてみるということもしてみたわけですが、いわば「足がつきにくい」状態だと、たとえオカルト的なものであっても、なかなか「ダメだよね」とは言えないということに改めて気づかされました。
微妙なケースですねえ。意図的ならば「うまいことやったなあ」と思います。
クリスタルチルドレンと呼ばれる子供たちが問題なのではなく、それを取り巻く、そしてそれを持ち上げる大人たちが問題なわけで、「チルドレン」自身は一種の被害者なんですよね。
この歌はおそらく確信犯で(それも推測にすぎない)、だけど「分かる人にだけ分かる」ように作ってある。なかなか正面切って批判しづらい、その意味でよくできた作品かと思います。
困ったね