
■フィデル・カストロ『チェ・ゲバラの記憶』
(トランスワールドジャパン 2008/05)
http://www.amazon.co.jp/dp/4862560113/
カストロが語るゲバラ。原書は多分これですね。
(Consortium Book Sales & Dist 2007/04))
http://www.amazon.co.jp/dp/1921235020/
ちがったこっちだ。
■Che En La Memoria De Fidel Castro
(Ocean Press 2002/2/27)
http://www.amazon.co.jp/dp/1875284826/
監訳者・柳原孝敦氏のブログYUGO DE LETRAS(日々の記録)でも、本書について触れられています。
赤いカバー(2008/5/25)
http://diary.jp.aol.com/applet/2mufbhzppwq2/20080525/archive
彼我の差(2008/5/11)
http://diary.jp.aol.com/applet/2mufbhzppwq2/20080511/archive
ブログでも触れられていますが、柳原氏は昨年もカストロ本を手がけています。

■フィデル・カストロ『少年フィデル』
(トランスワールドジャパン 2007/10)
http://www.amazon.co.jp/dp/4862560105/
実はこれも六さんのお仕事。どちらの本も英訳版からの翻訳ですが、六さん情報によると(ブログ記事からもうかがえますが)、柳原氏がスペイン語の原書にも当たって精度を上げているとのこと。頭が下がります。
後者は昨年の本なので、すでにWeb上で見られる紹介もあります。
本「少年フィデル FIDEL my early years」フィデル・カストロ 著、柳原孝敦 監訳(Gori -ふどうさんやのおやじ- 2008年02月14日)
http://blog.livedoor.jp/ppdwy632/archives/50880862.html
asahi.com>BOOK>ニュースな本
少年フィデル [著]フィデル・カストロ(週刊朝日2008年03月14日号)
http://book.asahi.com/topics/TKY200803100131.html
こちらは、幼少期からモンカダ兵営襲撃失敗で逮捕・投獄・恩赦釈放される28歳までを語ったインタビュー集。さまざまな媒体に掲載されたものを一冊にまとめたものです。原書は多分、"FIDEL my early years"(Ocean Press, September 1, 2004)。
チェ・ゲバラ、今年で生誕80年なんですね。生誕の地、ブエノスアイレスでは巨大な銅像が建立されるようです。
チェ・ゲバラ生誕80周年、出身地に巨大銅像を建立(ロイター 2008年 05月 28日)
http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPJAPAN-31990120080528
先日は、ムスメさんが来日もされました。今、日本各地を講演中のようです。
【人】アレイダ・ゲバラキューバ革命の英雄、チェゲバラの娘(MSN産経ニュース 2008.5.25)
http://sankei.jp.msn.com/world/america/080525/amr0805252242005-n1.htm
生誕80年だからでしょうね、映画の話題も。
チェ・ゲバラの真実に迫るバイオグラフィ映画『CHE』(OhmyNews 2008-05-25)
http://www.ohmynews.co.jp/news/20080525/25509
監督はソダーバーグ。主演のデル・トロは、この作品(なんと4時間半の大作!)でカンヌの主演男優賞をとりましたね。
Wikipediaを見てもAmazonを見ても、ゲバラ関連書籍って、ずっーと出続けているんですね。特別なポジションの人なんだなあと、改めて思います。
六さんと柳原氏が丁寧に作った2冊の訳書、埋もれずに売れてくれるといいなあ(^^)
ちなみに原書はどちらも、キューバ以外でのゲバラやカストロの著書の版権を管理している、オーストラリアのオーシャン・プレスが英語版として編纂したものです。
契約の関係もあり、英語版を底本にしていますが、英語だともともとのスペイン語のニュアンスが生かされていないので、スペイン語版も取り寄せての作業になりました。
結果としては、原語のスペイン語にかなり忠実な訳になっています。「監訳」というクレジットはいささか過小表示かもしれません。
最近出ているゲバラの著書も、おなじ契約で、たぶん英語版を底本にしていますね。訳者も英語の人みたいだし。
でも、重訳はむずかしいです。
ただでさえ翻訳作業では、語義の幅もあるし、文化的な背景の違いもあるので、そのズレを埋めるのがたいへんなんですが、二度の翻訳をへていると、微妙なずれが広がりますから。
おなじものを指しているはずなのに、なんだか噛み合わなくなるというのは、ニセ科学と科学のあいだの用語をめぐる争いにも共通しているような、いないような……
片っぽ違ってたんで修正しておきました。
>重訳はむずかしいです。
ですです。いつぞやの『ダ・ヴィンチの宝物』でも、ラテン語やイタリア語からの重訳の部分は難物でしたね。あっちの連中は、平気で逐語訳をしてくれちゃうしなあ……。
フィデルは独裁者としては特例の存在です。老衰で死にそうになるまで生きている独裁者ってなんか下手な冗談のよう(あるいはマルケスの小説の登場人物)。ぶちあげる理想論をほとんど曲げず(しかも現実的な視点を失わず)、あの国体を維持していて、しかもやけに国民に愛されている魅力あふれる「コマンダンテ」。なにものなんだか正直わかりません。
チェは民衆のヒーローとしては完璧です。ルックスも、行動も、人間味も(身近な人間には煙たいところがあったそうですが)。しかも若くして「民衆のため」に義に殉じた。多くのひとが評するとおり、前世紀でアイコンになる条件をいちばんたくさん持っていたひとです。
フィデルはアイコンとしてのチェを徹底的に利用した(している)と思います。それは友情と矛盾しない。偶像化は死んだチェに任せて、自分自身の偶像化は(法律で自分の銅像や肖像画を禁じてまで)拒む。
政治家を、その個人的な姿勢や人間的な魅力で評価するのは絶対に間違っています。でもぼくはフィデルの徹底したダンディズムにどうしても痺れてしまう。困ったもんです。