【4/8追記と訂正】バウマイスターの名前をことごとく間違えてブラウマイスターと書いていました。ビールか。全体を訂正。また、日本で研究者にこうした主張が知られていないとは考えにくいと書いていましたが、ぜんぜんそんなことを言える材料ではなかったことにも気づきましたので、その点も訂正。
先のエントリ「
【求む情報】自尊感情や自己肯定感の効用に関する実証的研究」のきっかけのひとつとなった、2005年の『Scientific American』誌の記事「
Exploding the self-Esteem Myth」の邦訳があった。筆者はバウマイスター Roy Baumeisterほか4人の心理学者。
「前向き思考で成功できるか」(『日経サイエンス』2005年4月号)
http://www.nikkei-bookdirect.com/science/page/magazine/0504/maemuki.html?PHPSESSID=22f3f7f99cc2809ad4219ad7d見つけるきっかけになったのは、先のエントリへのkuritaさんのコメント。kuritaさんに感謝。
■バウマイスターの記事から学べること
同誌には「自己愛に潜む暴力」(2001年7月号)
http://www.nikkei-bookdirect.com/science/page/magazine/0107/violent.htmlという記事もあり、こちらはバウマイスターの単独執筆。
両方の記事から学べることをものすごく単純に言うと、こんなこと。
「自尊心の高さと問題行動の多少は、必ずしも関係しない」
「自己愛が強く、かつ自尊心が高い場合、問題行動を起こしやすい」
「一方で自己愛がさほど強くなく、かつ自尊心が高い場合は、問題行動を起こしにくい」
「つまり、問題行動の背景に『自尊心の低さ』があるとは言えない」
記事中では「自己肯定感」「自尊感情」といった訳語は出てこないが、自尊心と訳されているのは自尊感情の原語とされているself-esteemだ。教育実践の現場では、これらの言葉の定義や意味内容を明確にし、適切な働きかけの方法を考えなければならないことになる。
そして、これらの概念はともかく、因果関係がかなりあいまいな状態であり、選択的な働きかけも難しいというのが現状のようだ。これでは、いたずらに「自尊心self-esteemを高める」ばかりでは、問題行動の原因を作ってしまうことさえあるといえる。
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posted by 亀@渋研X at 14:49
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