定義の水準(Chromeplated Rat 2008-06-07)とそのコメント欄、それから言及先「
『疑似科学入門』:疑似科学と科学は明瞭に区別可能か」(やまもも書斎記 2008/06/06)を読んで。
「やまもも書斎記」のほかの記事をほとんど読んでいないので、早計かもしれないけれども、
科学そのものから話しははずれる。私自身は、文字の研究者(のつもりでいる)。文字について、「正しい文字」「間違っている文字」を定義できるだろうか……一見すると、簡単そうなことだが、意外と、難しい。
と出てくる「正しい文字」のくだりを読んでぼくが真っ先に思い浮かべたのは、漢字の「異体字」の問題だ。
「異体字」と言ってもピンと来ない人でも、「異字体」「別字」「正字/俗字」などというと見当がつくかもしれない。
たとえば「吉(キチ)」という文字は「士+口」でできているが、「土+口」と表すことがある。細かい部分の形は異なるのだが、ぼくらはどちらも「キチ」の字と認識する。こうしたとき、「土+口」の「キチ」は、「士+口」の異体字だとか別字だとかいうことがあるのだ。
パソコンが表示する文字やJIS規格に詳しい人なら、森鴎外の「鴎」の字の話なんかが記憶にあるかもしれない。「區+鳥」(JIS78の例示字形)と「区+鳥」(JIS83の例示字形)があって、JIS83のほうは従来の一般的な活字ではほとんど使われたことのない字形だったもので、「JISウソ字」なんて呼ばれたときもあったのだ。でもまあ、「区+鳥」は「區+鳥」の異体字とか別字だと言うことはできても、一概に「間違っているぞ」ということが正しいのかというと、これがまたよくわからない(かつて全然使われたことがない字形で、JISが例示するためにこしらえたと言うのならば、「間違い」といえるかもしれないけれども、前例があるのであれば「例示字形としては不適切」と言えても、「文字として間違い」と言えるかというと微妙だ……というような話になる)。
続きを読む
posted by 亀@渋研X at 08:18
|
Comment(4)
|
TrackBack(0)
|
渋研X的日乗
|

|