2007年10月28日

ゲームやネット、ちょっとした方が学力高い?

Safari016.jpg全国学力テストの結果が先頃発表され、家にあった朝日新聞の紙面で「ネットやゲームを長時間やっている子どもは学力が低い」などと、まるでゲームやネットが学力に悪影響を与えていると言いたいかのような見出しを見て「まーた、それかい、あほな」と思っていた。
その後、学校で情報教育に携わっている先生方とお目にかかったときも「『ゲームであれなんであれ、勉強以外のことにハマっている子どもは勉強の成果が上がりにくい傾向がある』という当たり前の話以外のなにが見えるっつうんでしょうね」などと愚痴ってしまった。反応はなかったけど(^^;;

が、なんだかもうちょっと微妙な話をさっき見つけたのでメモっておく。

「全国学力・学習状況調査」の結果から見るテレビゲームとインターネットの付き合い方(ITmedia「オルタナティブ・ブログ」:『ビジネス2.0』の視点 2007年10月27日)
テレビゲームやインターネットの利用も「1時間未満」の一番正答率が高く、「全くしない」と「1時間以上2時間未満」が続いています。それ以上は時間がたつにつれて正答率が下がっていっています。
「全くしない」よりは、少しは利用したほうが正答率が高いということから、子どもたちがテレビゲームやインターネットをほどほどにさせることのバランスが必要であるということがわかります。
(赤字は引用者による強調)
え? えええ?

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posted by 亀@渋研X at 04:04 | Comment(9) | TrackBack(0) | 学校とか教育とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする はてなブックマーク - ゲームやネット、ちょっとした方が学力高い?

2007年09月23日

どこかで見たような「ダメな議論」

TAKESANさんちのコメント欄で話題になっていたので、野村ホールディングスのWebサイトで以下の記事を見てみました。

金融経済教育について、もっと議論を重ねましょう。
http://www.nomuraholdings.com/jp/edu/

これはひどいですね。悪い議論の見本のようです。個々の方の主張はさておいて、全体としてなにがまずいのかを自戒を込めて書き留めておくことにします。

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posted by 亀@渋研X at 22:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 学校とか教育とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする はてなブックマーク - どこかで見たような「ダメな議論」

2007年07月06日

『日本教育新聞』に七田書籍の書評

kikulogのコメントで、こんなことを書いた。その続報。
#85. 亀@渋研X ― July 3, 2007 @19:17:38
あ痛たたた。『日本教育新聞』に七田の本が紹介されているそうです。
ローソクの話の直前のエントリに書かれていました。

七田眞の新刊の案内(2007年06月22日)
http://www.shichida.jp/makotoblog/archives/2007/06/post_124.html

> 日本教育新聞(平成19年6月18日付)のBooks欄(16面)に、
>七田眞著『七田式フィンランドメソッドで「頭のよい子が育つ本」』
>(イーストプレス)の紹介が出ています。
> 日本教育新聞はhttp://www.kyoiku-press.co.jp/ のホームページで
>アクセスできます。

紹介の内容は不明ですが、こんなふうに書かれている以上は好意的な
書き方なのでしょう。
同社のサイトによれば、かなり影響力のある媒体なのかもしれません。
>■日本で最大の教育専門の全国紙です
>「教育」だけに特化し、週刊でこれだけの情報量を提供している媒体は、
>ほかにはありません。全国津々浦々、海外の日本人学校でも読まれていま
>す。しかもその範囲は、文部科学省、教育委員会、各地の学校管理職、教
>師、PTA、議員や民生児童委員まで含み、教育にかかわる人、興味関心
>のある人まで広範です。
http://www.kyoiku-press.co.jp/jep/index.html

こりゃいかん。同紙に苦情メールを準備中。

問題の記事を入手したけれど、問題の本自体は近所にはないでの未見。ネット書店にはあるのだが、こんな本は買いたくないのだ(ビンボだからね)。週末に新宿ででかい本屋で見てみる予定。

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posted by 亀@渋研X at 02:20 | Comment(4) | TrackBack(0) | 学校とか教育とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする はてなブックマーク - 『日本教育新聞』に七田書籍の書評

2007年05月05日

「牛乳神話」神話8■余談:「給食に牛乳」の別の問題



本題とはずれてしまいますが、実は、我が家でも「給食には常に牛乳」は勘弁して欲しいと考えています。年に何度かは給食のメニューを見ながら家族で嘆きあっています。ただし、これは献立との兼ね合いをもう少し考えてほしい、という話です。

給食の、献立としての完成度は、わたしが子どもだった1970年前後に比べると、格段の進化です。米飯のときはそれに即した和風のおかず、洋食風のおかずのときには主食はパン、カレーにはナン(!)などというバリエーションに富んだ、またデザートつきだって珍しくない「ふつう以上にふつうらしい食事」の献立ができています。それなのに、常に牛乳がついているのでは台無しではないかと思えるのです。
悪名高い先割れスプーンも姿を消しました(料理によっては使ったっていいと思うんですけどね)。

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posted by 亀@渋研X at 17:14 | Comment(2) | TrackBack(0) | 学校とか教育とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする はてなブックマーク - 「牛乳神話」神話8■余談:「給食に牛乳」の別の問題

「牛乳神話」神話6■学校給食や栄養指導と牛乳依存



私は、給食に毎食牛乳がついてくるのは、「容易に調達でき、しかも安価だという特徴のために、また栄養価をまんべんなく満たそうとするために、安易に牛乳に頼っている。その結果、あらゆるメニューに牛乳がついている」ということではないかとにらんでいます。続きを読む
posted by 亀@渋研X at 17:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | 学校とか教育とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする はてなブックマーク - 「牛乳神話」神話6■学校給食や栄養指導と牛乳依存

「牛乳神話」神話5■学校給食では「牛乳が主食」か



また、先のコラムのこういう説明はいかがなものでしょうか。
学校給食で、ご飯のない日、パンのない日、肉のない日、魚のない日はあっても、牛乳のない日はほとんどない。「教育の一環」として実施されている学校給食で、ほぼ毎日、子どもたちは飲まされ続けてきたのである。日本の子どもたちの主食は牛乳なのである。
最後の一文以外は事実です。異論はありません。しかし、毎日1本は牛乳を欠かさず飲まされるから「主食」というのもどうでしょう?(ここを問題にするのは揚げ足取りのようなものかもしれませんが) 主食が「食事の中心として主要なエネルギー供給源になる食物のこと」だとすれば、確かに現代において穀物や穀物由来の食品が主食とは限らないとは言えると思います。しかし、牛乳1本から得られる熱量は百数十キロカロリー。そして、手元の給食献立表を確認すると、給食には必ず牛乳と同等かそれ以上の熱量を供給する「穀物由来の主食」がつきます。これはこれでバランスがいいのかどうかと思ってしまいますが、少なくとも「牛乳が主食」とは言えません。

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posted by 亀@渋研X at 17:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | 学校とか教育とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする はてなブックマーク - 「牛乳神話」神話5■学校給食では「牛乳が主食」か

2007年03月12日

よいものを見たのでおすそわけ

よいものを見たのでおすそわけ。

教育の窓・ある退職校長の想い:育つ初任者(9) パワフル算数!(2007年03月10日)
http://blog.livedoor.jp/rve83253/archives/936115.html

小学校2年生の算数の授業でのできごとがつづられている。部分的な引用をすると伝わりにくいと思うので、あえて引用はしない(TBできなくなっちゃうかな?)が、発展的に学ぶというのはこういうことだろうと思う。必ずしも発展的教材を用意するということではないはずだ。

以下、若干の飛躍を含むけれど。

結局、ぼくらは「学ぼうとする主体を育てる」しかないのではないか(自分のなかにも、第三者にも)。自然科学は道徳やしつけの根拠にはなりはしないとぼくは思う。しかし、それは科学やロジックという「方法論」がぼくらの道徳や倫理(あるいは道徳観、倫理観)に対してなんの働きも持ち得ないということではない。初等算数であっても、そこで科学あるいはロジカルであろうとすることを学ぶ姿勢は成長を促すに違いない。

こうやって考える力を磨くこと、異なるレベルの理解をぶつけあって次のステップ(どの考え方が理に適っているか=合理的かを判断する)へ進む体験を重ねた子どもたちは、自分には理解できないあやふやな「ロジックもどきの言説」に盲目的に頼ろうとすることはしないに違いない。少なくとも、そのように育つために有効な体験だろうと思える。

「ロジックもどきの言説」とは、もちろん『水からの伝言』や『ゲーム脳』などといった「ニセ科学」を含むが、それだけではない。統計の恣意的な利用なども見抜けるようになっていく、少なくとも異なる立脚点に基づく議論を自分のなかで再現できる人間に、齟齬を見抜ける人間に近づいて行けるに違いないと思える。

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タグ:教育
posted by 亀@渋研X at 03:50 | Comment(5) | TrackBack(2) | 学校とか教育とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする はてなブックマーク - よいものを見たのでおすそわけ

2007年01月13日

今度はゲーム脳が来ちゃった

またもや小学校です。今度はゲーム脳です。
昨日、下のムスメが持って帰って来た学級通信に、保健の先生がこんないい話をしてくれた、と紹介されていました。「ゲーム脳」という単語は出て来ていませんが、「過度なゲームなどの体験が前頭葉に悪影響を与えることがわかった。気をつけよう」というようなものです。もろに合致しています。「ゲームなど」のなかにはテレビやパソコンも含まれています。
学級通信は担任の先生が書いているので、担任の先生も信じたというわけです。保険の先生の話を紹介した後に、担任の先生の感想として「だからノーテレビデーとか、やるといいんじゃないか」といったことも書かれています。
ムスメには、「この話はウソ」「ただし、ウソなのは『前頭葉に悪影響を与えるとわかった』という部分」「ゲームでもそれ以外のものでも『やり過ぎ』が体にも心にもいいわけはない」「だからパソコンだってテレビだって、体育だって勉強だって、ほどほどが大事」「度を超したら、いいはずのものだって、悪い影響を与える」という話をしました。
学生時代に、麻雀だのパチンコだのを果てしなくやって、残像が寝床の中でぐるぐるしたり、ずっとパチンコ店だのジャンパイをかき混ぜる音が耳について離れかったことがあります。そういう体験の話をしたり。ビビってました。

下のムスメは数年前に「水伝」授業を受けた経験を持っています。なんていうクジ運なんだ……。

しかし、先生や学校には、どう対応したものか……とほほ、またこの問題だよ……(泣)
タグ:ゲーム脳
posted by 亀@渋研X at 08:14 | Comment(3) | TrackBack(0) | 学校とか教育とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする はてなブックマーク - 今度はゲーム脳が来ちゃった

2007年01月05日

ニセ科学が教育に使われると困る理由

「[3tkss]三鷹:教育ウォッチング」というブログにこんな記事がある。

【主張】ゲーム脳だの脳内汚染だのという話が困る理由
http://3tkss.seesaa.net/article/14486525.html
「誤った考証に基づく指導は、なぜ困りものなのか」
というエントリだ(2009年6月追記:元記事はすでにない。Internet Arichives参照)。
ここに書かれている話、ゲーム脳だけじゃなくて、「水伝」でも「百猿」でも「EM菌」でも「マイナスイオン」でもなんでも、ニセ科学を根拠に求めた教育の全般に当てはまるのではないか、と思ったのでちょっとアレンジしてみました。

(このブログを採り上げることについて、なんじゃんかんじゃあるかもしれないけど、申し訳ないがスルーします)

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posted by 亀@渋研X at 07:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 学校とか教育とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする はてなブックマーク - ニセ科学が教育に使われると困る理由

2006年12月10日

教育産業・幼児早期教育で受け得る「被害」ってなんだ

このネタの大元kikulogの方のコメント欄で、「具体的な被害ってなんでしょう」という疑問が。犯罪を連想させる「被害」という表現が適切かどうかは微妙だと思いつつ、端的なものだけコメントとして投稿したのだけど、もうちょっと考えてみた。

考えてみて思うのだが、つくづく教育産業って魔窟だ。早期教育に期待を寄せている方々には申し訳ないのだけど、そもそも早期教育自体が怪しくて、なかでもESPだの波動だの言っちゃう七田式が飛び抜けて変だ、という以上のことは出てこない。
つまり「七田式だからどうこう」じゃないかもしれないものしか思いつかないのだ。

ホメオパシーといい七田式といい水伝といい、「現代人の心の闇とか病的な部分につけ込んでる」って図式なのだなあ、引っかかっちゃう人って誘蛾灯に群がっちゃう昆虫みたいなもんかもなあ、などと思うのだった。そうだとすると、科学リテラシーという問題じゃないよなあ。

って書いちゃうと、以下の具体的な検討はもう蛇足でしかないような。上記の話で納得できない人だけ読めばいいのかも。せっかく書いたからとっておくけど(貧乏性)。

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posted by 亀@渋研X at 19:07 | Comment(1) | TrackBack(0) | 学校とか教育とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする はてなブックマーク - 教育産業・幼児早期教育で受け得る「被害」ってなんだ

2006年12月06日

オカルトな主張がなぜ受け入れられるか

毎度、kikulogのネタです。

kikulog:七田眞はなぜ幼児教育の専門家と思われているのか
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1165332928

標題についてだけいうと「パンフなど自前のメディア等でそううたっているから」ってことが大きそうですが(^^;;

ポイントは「どうしてある種の早期幼児教育や能力開発系の教室では、トンデモどころかオカルトばりばりの言説が受け入れられちゃうのか」というところかと思うので、その辺について。

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posted by 亀@渋研X at 10:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 学校とか教育とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする はてなブックマーク - オカルトな主張がなぜ受け入れられるか

2006年09月20日

食育:相関と因果 その2

武蔵野市議の川名さんちのBlogにこういう記事があった。

武蔵野市議 川名ゆうじの武蔵野blog:米飯給食で非行が0に!?(2006年09月14日)
http://blog.livedoor.jp/go_wild/archives/50586973.html

子供がどういう食生活を送っているかというのは、その家庭がどういう傾向かを示す指標にはなるだろう。学校給食の変更が状況改善の一翼を担うことができるのかもしれないという話は、とても明るい材料だ。

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posted by 亀@渋研X at 04:19 | Comment(1) | TrackBack(0) | 学校とか教育とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする はてなブックマーク - 食育:相関と因果 その2

2005年11月11日

中学生の「実験」

先日、子どもの通う中学校の理科の授業を見た。
複数の液体を観察して、それがなんなのか推論するもののようだ。観察実験そのものは前回の授業で行ったらしく、私が見たときは「実験結果がどうだったか。そこからなにがわかるか」を述べあうというステップ。
これが、実に「学校での実験の悩ましさ」のサンプルのようなものだった。

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posted by 亀@渋研X at 09:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | 学校とか教育とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする はてなブックマーク - 中学生の「実験」

2005年05月27日

kikulogで体験談募集

kikulogで、こんな体験談が募集されている。
(1)会社で「マイナスイオンつきの製品を作れ」と命じられて、泣く泣く作った開発者のかた
(2)「水からの伝言」を使った道徳授業をしたことがあるが、もうやめたという先生
(3)自分の子供が「水からの伝言」を使った道徳授業を受けて困惑した保護者
(4)学校の同僚が「水からの伝言」を使った道徳授業をしたので困った理科の先生(理科じゃなくてもいいですが)
当該のエントリはこちら。
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1117239317

実は、あたしは(3)だったりするので、投稿してみました(^^;;
posted by 亀@渋研X at 23:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | 学校とか教育とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする はてなブックマーク - kikulogで体験談募集
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